～巻き込まれ少女は妖怪と暮らす～【天命のまにまに。】

第五話:友達と雪女。

08友達と雪女。

「ミタマ、本当か？」

「……ああ。妖達も彼女に懐いており、彼女の為にと戦闘は愚おろか家事炊事まで手伝ってくれているよ」

「……ふむ」


顎あごから首を撫でながら政府の人は厳しい視線を紗紀へと向けた。

ドキドキと心臓の音がやけにうるさい。

怖い、逃げ出したいと紗紀はそう思った。

けれど何も悪い事なんかしていない。

紗紀はもう一度強く拳こぶしを握にぎりり直して政府の人を見る。


「神社を襲おそって来た妖怪達は皆何者かに操あやつられているようでした。本人達も記憶が無く、突然神社に居たことにむしろ驚いていました」


紗紀は必死に声を絞り出し得た情報を伝える。

しん、と辺りは静まり返り、そして少し間を置いてから政府の人は言葉を紡つむいだ。


「封ふうじられた妖怪に関係したモノが動いたならば、封じられた場所を把握はあくしているはずだ。となるとやはり操られた無関係の妖だからフェイクとも分からずわざわざ仮想世界かそうせかいまで追いかけた、と。より強い封印に惹ひかれたのか」


政府の人がそう呟つぶやきながら一人頷うなずく。


「結界が中々破壊されない、となると妖を操っているモノが本来の神社を襲おそいに来る可能性があるな」


それじゃあフェイクなんて無意味なんじゃ……とまた周りがざわつき始める。

何より既に死者が出ている。

それが次は自分かもしれない、とそう思うと尚更不安は募るばかりだ。


「本物の神社がいつ襲おそわれても大丈夫なように、この場所以外にも転移出来るようシステムを早急に準備する。それが完了すれば強い敵が現れたとしても呼び出し一つでここにいるメンバーを転送出来るようになるだろう。力を合わせれば必ず敵にも打ち勝てる！」


確かに一人で強い敵と戦い神社を守るのはいくら狛犬の力があると言えど難しい。

でも、応援が来れるとなればこれほど心強い事はない。

少しだけ希望が見えて来た気がする。


「すみません！紗紀……白花さんに一つ質問してもいいですか？」

「あ、はい」


隣に立っていた灯がスッと真っ直ぐに手を挙あげて次に紗紀を見た。

紗紀は咄嗟とっさに身構えたものの相手が灯だと思うと少しだけホッとした。


「使役しえきってどうやるの！？あたしも妖と仲良くなりたいんだけど！！それに一緒に戦ってくれる妖が増えたら心強いよね！」

「それさ、逆に妖に騙だまされて寝首を掻かかれたりはしないの？」


キラキラと目を輝かして聞く灯に対し、楓は訝いぶかしげに紗紀を見る。

二人以外にも興味を示す者達が紗紀を見た。


「使役しえきすれば妖は使役した者の言う事を聞くので裏切りは無いと思います」


紗紀はミタマを見る。

彼も力強く頷うなずいて見せた。

その表情はどこか誇ほこらしげで優しい笑顔だ。

それを見て紗紀は安心と共に自信が持てて来た。