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第六話:九尾狐。

06九尾狐。

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紗紀『私は大丈夫ですよー』

灯『駄目駄目!甘やかしたらこの子、社会不適合者になるから!駄目なところは駄目だって教えなきゃ』


その灯の言葉に紗紀はなるほど、と納得する。

確かにその通りだ。

なんでもいいよいいよと許し甘やかせば、駄目な所も分からないまま後で苦労する事になるだろう。

それはきっと優しさでは無い。

紗紀はふとミタマを思い出す。

確かに彼は甘やかすけれど駄目な事はでも引かない所があった。

それもまた彼なりの優しさだったのかもしれない。

そしてそう言う対応の出来る灯はとても素敵な女性だと思った。

そして自分もまた、そうなりたいと思う。


楓『悪い所は指摘してきしてくれていいから。さっきは悪かった。……で?管狐くだぎつねってなんだ?』


嫌われてるわけじゃないと知りほっと胸を撫でろした。

考え過ぎるのは紗紀の良くない癖だ。

楓のその言葉に紗紀は自分の思考回路の浅さを恥じた。


灯『管狐はまぁ、竹筒たけづつつがいで入ってる細長い狐なんだけど。キシマいわく予言とか出来るらしい。後、相手の隠し事とか心の中が探れるって』

楓『何だそれ怖』


灯のメッセージに紗紀はふと想像してみた。

竹筒に入る程に細いなら、変化したらただでさえ細い灯がもっと細くなってしまうんじゃないかと。


(変化が気になり過ぎる!)


楓『でもそうか、予言は気になるな』

灯『でしょ?後で何か予言してみるよ。とりあえず一旦いったん落ちるね』

楓『ああ、俺もやる事ある』

紗紀『了解です』


落ちるって離脱りだつするって事かな、と紗紀は思いつつグループを閉じた。

せっかくなので昨日の事を日誌へと綴っていく。


(そういえば……)


そして不意ふいに昨日のミタマの発言を思い出した。


(確か使役しえきした御札に名前を書く必要があるんだっけ?)


新たに使役した雪女はおろか、化け狸も塗壁も未だにその札には自分の名を書いていない。

今後、転移装置に新機能が加われば、他の神社へ加勢に行く事も来てもらう事も可能となる。

そうなるならば、御札に自分の名を入れておいた方が良さそうだ。

紗紀は胸元から御札を取り出して、返しそびれていた筆ペンを手に取る。

名前を記入していくと、最後のミタマの札で手が止まった。

三狐神と漢字で書いてある。


(何て読むんだろう?)


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