134 / 368
第十話:疑念。
08疑念。
しおりを挟む「はぁ、ハイハイ。ご主人サマ」
「白狼、命令です。誰が怪物を生み出してるの?」
珍しく怒気の孕んだ声音で命令をする紗紀に、思わず周りが紗紀を見た。
今まで知っている彼女とはまた別の人のようにも感じる。
相当彼女を怒らせたのだとみんながそう思った。
「へぇ~?オマエ、そんな怒り方もするんだ?怖い怖い」
「ふざけないで」
「へえへえ。この怪物を作ってるヤツ、ねぇ。そーだなァ。……ニンゲンだって言ったら……どうする?」
白狼はそう言うと紗紀の様子を伺うように見やる。
紗紀は不可解そうに眉根を寄せて白狼を見返した。
他妖メンバーも白狼の発言にどこか納得のいかない様子である。
てっきり妖怪関連が騒がせているものだとばかり思っていたからだ。
灯と楓は無言でそのやり取りを見守った。
「……ふざけないでと言ったはずでしょう?」
「ふざけてなんかんかねぇよ」
冗談だと思いたくて、紗紀が声を少しばかり荒げれば、白狼も吐き捨てるように言い返す。
「オマエだって察してるんだろ?自分達がニンゲンたちに捨て駒扱いされてるってさァ?だから、俺様に指摘されてメソメソ泣いたんだろ?違うのか?」
「!」
「それなのになんでニンゲンなんかの肩持つワケ?そっちのが訳わかんねー」
白狼の言葉に返す言葉が見つからず、黙り俯く。
偶然では無い。
現にミタマもそれを知っていたし、本当の事なのだろう。
(でもじゃあ何の為に……?)
「政府が私達を集めたのに、その政府が妖怪達を使って神社を襲ってるって事……?」
「そうだ、って言えば信じてくれんの?」
彼がどこまで本気で発言しているのかとんと分からない。
白狼自身を信頼出来るかと言えば、決して信頼には値しないけれど、彼の言うことはどこか怖いくらいに辻褄が合う。
「あたしも、政府には思うとこあるよ。彼の意見を蔑ろには出来ない。あんた……白狼だっけ?確信はあるの?証拠とか」
確かに目に見えるものなら信用も出来そうだ。
白狼は視線を逸らすと一瞬だけ唇を噛んだ。
そして何か思い当たったのか怪しげに目を細めて笑う。
「まぁ、そうだわな。言葉なんかいくらでも言い繕えるし?証拠ねェ……お望みとあらば近い内にでも見せてやるよ」
「どうして今は駄目なのよ?」
更に深く突っ込む灯。
さすがだ。
みんなが感心したように彼女を見た。
「今は手元に無いってのが正しいな。後、無理強いは好まねーからだ」
含みを持たすように白狼はそう言う。
「灯、話しは気になるけど、俺らの神社の無事も確認しねぇと」
睨み合うように灯と白狼が対峙してる中、隣に居た楓が肘で突いて小声でそう告げる。
灯は忘れてた、と言わんばかりに目を丸くして紗紀を見た。
「ちょっとごめんよ!あたしら自分の神社も気になるから一旦戻るわ!また何か進展あったら連絡して?こっちも何か情報掴んだら報告するわ」
「あ!分かりました。今日は本当にありがとうございます」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
どうせ俺はNPCだから
枕崎 純之助
ファンタジー
【完結しました!】 *この作品はこちらのスピンオフになります↓
『だって僕はNPCだから』https://www.alphapolis.co.jp/novel/540294390/346478298
天使たちのゲーム世界である「天国の丘《ヘヴンズ・ヒル》」と対を成す悪魔たちのゲーム世界「地獄の谷《ヘル・バレー》」。
NPCとして鬱屈した日々を過ごす下級悪魔のバレットは、上級悪魔たちのワナにハメられ、脱出不可能と言われる『悪魔の臓腑』という深い洞窟の奥深くに閉じ込められてしまった。
そこでバレットはその場所にいるはずのない見習い天使の少女・ティナと出会う。
バレットはまだ知らない。
彼女が天使たちの長たる天使長の2代目候補であるということを。
NPCの制約によって強さの上限値を越えられない下級悪魔と、秘められた自分の潜在能力の使い方が分からない見習い天使が出会ったことで、2人の運命が大きく変わる。
悪魔たちの世界を舞台に繰り広げられるNPC冒険活劇の外伝。
ここに開幕。
*イラストACより作者「Kotatsune」様のイラストを使用させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる