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第十九話:話し合い。

12話し合い。

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七曲の言葉に、みんなが一斉に朱雀すざくを見た。

彼は腕組をして目を閉じたまま何も言わない。


(ザックンに対して反論は無いんだ……)


きっとみんなも同じ気持ちだったに違いない。


「朱雀さんは使役しえきしていませんよ。以前、安倍晴明さんが使われていた御札をお借りして力を貸して貰っているので」

「そっか~。見てみたかったから残念」


七曲がしゅんとして見せる。


「さて、時間もあまりありませんし、順番に血を飲んで貰って、進化を確認したらそれぞれ休みましょう」


紗紀が両手を打ち鳴らして仕切り直した。

ユウリから順にお皿に口を付けて、紗紀の血を飲む。

順に光に覆われて、姿を現した時にはそれぞれ容姿が変化していた。

一番大きな変化があったのはユウリだった。


「……ユウリ、だよな?」

「……うん。なんか、目線がいつもより高い」


不思議そうに自分の手を見る。

その手も普段より大きくなっていた。

小学生低学年のような見た目が、今や高校生くらいになっている。


「大きくなったね……!」


身長なんかは紗紀を抜いていた。

驚いてマジマジと見つめてしまえば、何を思ったのかユウリに抱きしめられた。


「ええっ!?ユウリくん!?」


ユウリはニヤリと笑ってミタマを見る。

想像通り、べりっと引き剥がされた。


「どういうつもりだい?」

「ちょっとした実験?この姿なら、嫉妬対象に入るんだね」


どこか愉しげに笑うユウリに、ミタマは至極不満げだ。

背後から「大人げない」と野次が飛ぶ。


「本当に容姿が変わるんじゃな。服装まで違うと身が引き締まるな」

「姐さんステキ~!」


服装の変化を楽しむ雪音に、七曲が黄色い声をあげた。


「そう言えば、最近気づいたんだケド~、見た目は戻ったりも出来るみたい。ほら」


七曲はそう言うとまるで変化を解くかのように姿を変えて見せた。

出会った当初の彼の姿だ。


「え!そうなんですか!凄い……」

「それで、策は練ったんだろう?その件について詳しく話せ」


九重が今後の動きについて説明を求めた。

みんなが紗紀へと視線を向ける。


「はい。春秋さんとのお話で、白狼と鞍馬さん、そして鴉天狗数人は一度政府側の状況を見てきてもらおうと思っています。もしかしたら分身の私もそっちに居るかもしれないので」

「はぁ!?鞍馬とかよ!」

「文句を言うな黙って聞け」


白狼を一喝いっかつする九重。

話の腰が折られるのは面白くないのだろう。

白狼は文句を言い返そうとして、押し黙った。


「んでボク達は~?」


七曲が続きをうながす。


「七曲さん、九重さん、雪音さん、ユウリくん、ミタマさんは分身の私をよろしくお願いします」

「あの怪物とかまた出てくるよね?」


ユウリが恐る恐る問いかけて来た。


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