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第二十話:最終決戦。
28最終決戦。
しおりを挟む「ま、待ってください。魂は政府の男ですが、記憶をさっきの薬で消してるらしく、ほぼ別人だと思ってもらって大丈夫です。彼は、何度も私を助けてくれました」
「……そう」
紗紀の言葉に、ようやくミタマは殺気を消した。
紗紀はホッと安堵の息を吐く。
「それで、ユウリくん達は何をしているの?」
そう、二人して両手いっぱいに布を抱きしめていた。
「春秋の手伝いだよ。下に行ったら春秋がカプセルに入った人間達を救出してたんだ。服着てないからその変わりになる布を集めて来てって」
紗紀達は二人揃って納得する。
ならばあの地下から聞こえていた“割れるような音”は春秋がカプセルを破壊していた音だったのかもしれないと推測した。
「地下はカプセルの人だけ?」
「ううん。たくさんの動物に、食料庫があったよ」
紗紀の問にユウリは首を左右に振ってそう答える。
ミタマはしばし考え込んだ。
「ならば、動物達も救出しないとここを燃やすわけにはいかないね」
「そうですね」
けれど、今外へ逃してしまえば、外には怪物たちと鴉天狗達が戦っている。
巻き込まれるのは間違いない。
「とりあえず僕たちはこの布を春秋に届けて来るよ。紗紀姉ちゃん達の無事も伝えたいし。後、動物、逃がすんだよね?その件も伝えて置くよ」
「ありがとう。よろしくね」
走って行くユウリと優一を見送り、紗紀はミタマを見上げる。
「とりあえず、一旦怪物達の状況を見て来よう。終わっていれば動物たちも逃せるし」
紗紀が頷くのを確認すると、ミタマはその手を取り走り出した。
今の所、敵という敵には出くわしていない。
紗紀は少しだけほっとした。
扉を開けて、舟の端から下を見下ろす。
そこでは鴉天狗達が未だ怪物達と戦闘を繰り広げていた。
「怪物の数は少なくなっているね。後一刻も経たずに終わりそうではあるけれど……」
「むしろ敵と出くわしていない今のうちに逃した方が良いかもしれません」
紗紀の言葉に、ミタマもそれもそうだと思う。
「地下へ行ってみようか」
「はい」
今度は紗紀がその手を引いて、先程出てきた扉へと向かった。
◇◆◇
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