心、買います

ゴンザレス

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1章

1-25

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「どうしたんだ、一条」
「僕たち生徒会が頼んだ形と違います!! 直ちに剥がす許可をいただきたいです」
「えーと、生徒会からの依頼は四月一日先生に任せたんだが・・・・・・四月一日先生は今日は欠席なんだ」
「そんな!!」
「ただでさえ、テストの採点とその結果を統計データとしてまとめなきゃならんのに、依頼のせいで仕事が増えて無理がたたったんだろうな。熱発されている」
「・・・・・・っ」
「あれだけ大変な作業を一人で行ってくださったんだから、本人の許可なしでアレを剥がすわけにはいかんだろう。それに、アレの何がいけない? 誤字でも見つけたか」
「いいえ、僕たち生徒会は成績上位者のみの掲示を頼んだんです。下位の人も名指しで掲示されています!」

 手前にいる教員と押し問答を繰り返すが、埒が明かない。そこで、教員側が教頭を差し込んできた。

 「おやおや、生徒会っていうのは生徒の代わりに教師に楯突く役割じゃないんだよ。義務も果たさないで権利ばかり主張して」したり顔で奥から出てくる。

「平均を底上げするには、平均よりプラスの者、マイナスの者の自覚がいるだろう。丁度いいじゃないか。どうせ四月一日先生本人がいないんだし、今日一日くらい貼っておいたらどうだ?」
「下位になりたくてなっている人はいません。だから、早急な判断をさせて下さい!」
「そりゃ誰だってそうだ。不真面目な奴でさえ、採点ミスがあったとしても点数が下がるような自己申告はしないだろうさ」
「そんな人も中にはいるでしょう。人間は千差万別なんですから。でも、勉強が苦手でも努力を惜しまない人もいることを忘れていませんか」
「何か勘違いしてないか? 一条君、生徒のトップになったからといって、現実離れした感覚をもってしまってはいけないよ。そもそも努力をすれば結果はおのずとついてくるもんだ。とくに、勉強なんかはバカでも数字が取れるものもあるだろう。つまり、一条君のいう努力しても勉強ができない子っていうのは、努力を履き違えた子じゃないのか?」
「・・・・・・っもし、そうだとしても、努力の仕方を教えるのが教育ではありませんか。結果だけを求め、押し付けて、やる気をそぎ取ってしまうのは如何なものでしょう。本来上位者のみの掲示にして、報奨を与えることで生徒全員のやる気を図るつもりでいたんです」

 「あくまで自由を主張するための義務を果たすつもりで、数字を皆でとってもらう予定でした。これで期末考査に期待しようと思っていたのですが」一条は長期プランを語る。これで学校側が求める模範校としての「数字」をとって義務を果たし、それから自由であることの権利を謳う算段であった。

「・・・・・・そうかい、じゃあ期末考査に期待してるよ。私も教育についてもっと精を出さねばな」

 ほくそ笑む教頭は「どちらにせよ、今日は剥がすことはできない。明日以降、先生の許可をとって判断するように」とセリフを言い残して会議に戻っていった。
 本鈴が鳴る。HRに顔を出す気がなくなった一条は、再度エントランスへ向かう。
 
 見れば見るほど悪意のある表し方だ。
 そして目に留まる「柳瀬」の文字。

 「3日間まともに勉強した姿見たことなかったし・・・・・・」

 ワースト1位に堂々と柳瀬がランクインしている。去年もそうであった。カースト制度がまだ健在の頃、毎度のようにビリを飾り、その度に生徒会にいびりのターゲットにされていた。
 だから、カーストを撤廃しようがスタンスは変わらないと思っていたが、やはり、尻叩いてでも登校させねばならないようだ。
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