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一夜明けた、土曜日の翌朝。矢口警部補は、部下の若杉刑事を連れて、須藤一郎の自宅へと向かった。中古の一軒家であった。インターホンを鳴らすと、須藤一郎がにこやかな顔で出迎えてくれた。
「ニュースでやってましたよ。林君たちを殺した犯人が捕まったって。これで、彼らも少しは報われますね」
「須藤さんは、落合が犯人だとお思いですか」
矢口のこの言葉を聞いてか、須藤の表情が少し曇った。
「だって、刑事さんたちが逮捕したんでしょう」
「それはそうですがね。ところで、例の原稿はありますかね」
「例の原稿というと」
「佐藤修二さんが、林さんたちに酷評された小説のことです」
「どうしてその原稿が必要なんですか」
「いや、私も読んでみたくなりましてね」
「そう言われても、捨ててしまいましたから」
「それはどうしてです。せっかく貰ったのに」
「捨てるのは自由ですから」
須藤はややいらだった口調で言った。隣の若杉が横槍を入れる。
「本当はお持ちなんじゃありませんか。コピーだけでなく、オリジナルも」
「どうして、私がオリジナルを持っているんですか、コピーだったらともかく」
「あの小説は佐藤修二が書いたものではなく、あなたが書いたものだからですよ」
矢口は、須藤の目を見据えていった。
「ニュースでやってましたよ。林君たちを殺した犯人が捕まったって。これで、彼らも少しは報われますね」
「須藤さんは、落合が犯人だとお思いですか」
矢口のこの言葉を聞いてか、須藤の表情が少し曇った。
「だって、刑事さんたちが逮捕したんでしょう」
「それはそうですがね。ところで、例の原稿はありますかね」
「例の原稿というと」
「佐藤修二さんが、林さんたちに酷評された小説のことです」
「どうしてその原稿が必要なんですか」
「いや、私も読んでみたくなりましてね」
「そう言われても、捨ててしまいましたから」
「それはどうしてです。せっかく貰ったのに」
「捨てるのは自由ですから」
須藤はややいらだった口調で言った。隣の若杉が横槍を入れる。
「本当はお持ちなんじゃありませんか。コピーだけでなく、オリジナルも」
「どうして、私がオリジナルを持っているんですか、コピーだったらともかく」
「あの小説は佐藤修二が書いたものではなく、あなたが書いたものだからですよ」
矢口は、須藤の目を見据えていった。
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