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臨場
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警視庁捜査一課が、通報を受けて、藤木荘に急行した。刑事たちは、通報者の、管理人の谷合によって、三階にある、被害者の部屋まで案内された。
捜査を担当することになった、主任警部補の、矢口は、玄関に入ってすぐの、畳の上で刺殺されている被害者の遺体を見下ろした。木嶋修一、年齢は45歳、無職。遺体のすぐ隣には、使用された凶器の刃物が残されていた。検視官の報告によれば、死因は、ナイフによる腹部の出血死である。死亡推定時刻は、午前七時から午前8時ごろの可能性が高いということである。発見者の管理人の証言によれば、発見した際に、部屋のドアには鍵がかかっていなかったらしい。鍵穴に細工した跡がないことから、インターホンの音で、被害者がドアを開けて犯人と鉢合わせをしたということになる。その犯人は、被害者の知人の可能性が高いだろうと、矢口は思った。もし、これが強盗目的の犯行なのであれば、部屋は荒らされて、金品が強奪されているはずである。だが、室内には荒らされた形跡がない。また、部屋の机の引き出しには、現金数千円の入った財布と通帳、身分証明書などが入っていた。
『主任、ちょっと来てください』部屋の押入れの方を調べていた若い刑事が興奮した口調で言った。『どうした』矢口が行くと、若い刑事は、新聞紙に包まれた、血が乾いてべっとりとした古びたナイフを、上司に見せた。
『これが押入れの中に入っていました。』
『随分と前に使用された凶器だな。この部屋に住んでいた被害者が、隠し持っていたということになるが、問題はなぜ、被害者が隠し持っていたか』
この部屋の被害者を殺した犯人が、室内の押し入れに、もう一つの凶器を、わざわざ入れる訳はない。そうする理由が見つからない。当然、この凶器を使用した犯人は、今回の犯人とは、別人ということになる。
遺体は、大学病院に運ばれて、二つの凶器は、それぞれ科捜研に送られた。
捜査を担当することになった、主任警部補の、矢口は、玄関に入ってすぐの、畳の上で刺殺されている被害者の遺体を見下ろした。木嶋修一、年齢は45歳、無職。遺体のすぐ隣には、使用された凶器の刃物が残されていた。検視官の報告によれば、死因は、ナイフによる腹部の出血死である。死亡推定時刻は、午前七時から午前8時ごろの可能性が高いということである。発見者の管理人の証言によれば、発見した際に、部屋のドアには鍵がかかっていなかったらしい。鍵穴に細工した跡がないことから、インターホンの音で、被害者がドアを開けて犯人と鉢合わせをしたということになる。その犯人は、被害者の知人の可能性が高いだろうと、矢口は思った。もし、これが強盗目的の犯行なのであれば、部屋は荒らされて、金品が強奪されているはずである。だが、室内には荒らされた形跡がない。また、部屋の机の引き出しには、現金数千円の入った財布と通帳、身分証明書などが入っていた。
『主任、ちょっと来てください』部屋の押入れの方を調べていた若い刑事が興奮した口調で言った。『どうした』矢口が行くと、若い刑事は、新聞紙に包まれた、血が乾いてべっとりとした古びたナイフを、上司に見せた。
『これが押入れの中に入っていました。』
『随分と前に使用された凶器だな。この部屋に住んでいた被害者が、隠し持っていたということになるが、問題はなぜ、被害者が隠し持っていたか』
この部屋の被害者を殺した犯人が、室内の押し入れに、もう一つの凶器を、わざわざ入れる訳はない。そうする理由が見つからない。当然、この凶器を使用した犯人は、今回の犯人とは、別人ということになる。
遺体は、大学病院に運ばれて、二つの凶器は、それぞれ科捜研に送られた。
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