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第十二話 トリプルデート1
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次の日の日、隆はベッドから出たくないと言うばかりに布団から時計を見ていた。予定の時間は十時半に駅に集合ということもあり、余計に出たくないし誠也、武とのラインでも同じようなやりとりをしていた。ちなみに誠也の番の男の名前は、加藤陽介と言って自分と圭太と同じように幼馴染らしい・・・
他人事のようには思えず同情はしていた。すると部屋をノックされて返事をすると母が申し訳ないとばかりに入ってきた。
「圭太君・・・来てるわよ?」
「マジかぁ・・・」
まさかの突撃訪問、逃がさないとばかりに迎えに来るとは思わなかったが、圭太ならやりかねないと思う。昔から俺が嫌がる行事には迎えに来ていた時もあったが、結局のところ圭太に引っ張られて行事に強制的に参加となっていた。
「どこか行くの?」
「聞いてんだろ?誤魔化さないでよ」
「・・・ごめんなさい。でも、隆の口から言ってほしかったのもあるのよ。番として認めてほしいって圭太君も言ってたしね?トリプルデートって言ってたけれど、薬持って行ってね?ヒートが来る前に薬を飲むのよ?」
「判ってるから心配しないで。はぁ・・・」
重いため息をつくと着替え始め、昨日の事を思い出した。陣兄さんと保険医の・・・えっと、太田先生か、まさか番だったのかな?というか本当にΩに変わるんだなぁ・・・。いやそれ以前に陣兄さんもαだったのか。と昨日の二人の声や光景を思い出し顔が真っ赤に染まる。
階段を下りて玄関を開けると大きなバスケット思った圭太がラフな格好でありながらも着こなしている男前に見えた。いつもは若干だが女性の色気も出ていたが、今日は色男に見える。これがαの本気かと隆はげんなりした。
「たかちゃ~ん、これどうかしら?似合ってる?」
「はいはい。行くぞ~」
「あ~ん、冷たーい」
集まる場所に到着すると誠也の番と武が到着していた。どうやら誠也は最後まで抗うつもりのようだ。腕組みをしながら待つ洋介は血管が浮き出るほどイライラしているよで、何度も時計を見ている。こちらも良い格好をしようとしたようだが服装が似合っていない。それを見かねた圭太が
「あら~?えっと洋介君、服装が似合ってないわ。今から少しだけ買い物しましょう」
「なよなよとしたやつに決められたくないわ!!黙ってろやろうオカマ!!」
怒鳴った瞬間に洋介は地面に倒れこんでいた。どうやら圭太が蹴飛ばしたようだ。頭から行かなかっただけ良かったと安堵した。
「失礼しちゃうわね?良い?こっちではオネェと言うのよ?今度は頭から落ちるようにするわよ?」
「お・・・おぅ・・」
「と言うわけでお買い物行きましょうねー」
ズルズルと洋介の体を引きずって圭太は店があるほうへと向かっていった。時間まで暇はあるし、こちらは誠也を呼び出すことに専念しようか。あと・・・加納は・・・キョロキョロとすると電柱の後ろにスーツ姿の女性が立っているのが見えたので、腕を引っ張り頬を膨らませて抗議の眼を向けると、ため息をついた加納も引きずられるように隆の元に帰って来た。
「わーい、加納先生だー。今日は俺とデートね」
無邪気な笑顔に加納は、更に大きなため息を吐くと諦めたらしい。
そこに生気のない誠也が隈を作った状態で現れ、明らかに嫌々来たなぁと三人は思った。声を掛けるべきかと悩むが、後ろからのαの空気に気づき走って逃げるようにして自分たちから逃げようとしたので、首の骨が折れない程度に腕で首元を捕まえた。
「誠也くん、私のコーデどうかしら?」
「ど・・・どうだ?」
先ほどとは違い、清潔感のある紺のシャツにジーンズと言ったラフな格好になり、それなりに先ほどよりマシになっているのだが、先ほどを知らない誠也だったが少しだけ胡散臭そうにしていた。
「お前はセンスがないからなぁ、圭太にやってもろたんやろ?」
「・・おぅ・・」
「はいはい、今日は楽しいデートなんだから、仲良くしましょうねー」
(気乗りしない)
三人の意見がまとまった。
他人事のようには思えず同情はしていた。すると部屋をノックされて返事をすると母が申し訳ないとばかりに入ってきた。
「圭太君・・・来てるわよ?」
「マジかぁ・・・」
まさかの突撃訪問、逃がさないとばかりに迎えに来るとは思わなかったが、圭太ならやりかねないと思う。昔から俺が嫌がる行事には迎えに来ていた時もあったが、結局のところ圭太に引っ張られて行事に強制的に参加となっていた。
「どこか行くの?」
「聞いてんだろ?誤魔化さないでよ」
「・・・ごめんなさい。でも、隆の口から言ってほしかったのもあるのよ。番として認めてほしいって圭太君も言ってたしね?トリプルデートって言ってたけれど、薬持って行ってね?ヒートが来る前に薬を飲むのよ?」
「判ってるから心配しないで。はぁ・・・」
重いため息をつくと着替え始め、昨日の事を思い出した。陣兄さんと保険医の・・・えっと、太田先生か、まさか番だったのかな?というか本当にΩに変わるんだなぁ・・・。いやそれ以前に陣兄さんもαだったのか。と昨日の二人の声や光景を思い出し顔が真っ赤に染まる。
階段を下りて玄関を開けると大きなバスケット思った圭太がラフな格好でありながらも着こなしている男前に見えた。いつもは若干だが女性の色気も出ていたが、今日は色男に見える。これがαの本気かと隆はげんなりした。
「たかちゃ~ん、これどうかしら?似合ってる?」
「はいはい。行くぞ~」
「あ~ん、冷たーい」
集まる場所に到着すると誠也の番と武が到着していた。どうやら誠也は最後まで抗うつもりのようだ。腕組みをしながら待つ洋介は血管が浮き出るほどイライラしているよで、何度も時計を見ている。こちらも良い格好をしようとしたようだが服装が似合っていない。それを見かねた圭太が
「あら~?えっと洋介君、服装が似合ってないわ。今から少しだけ買い物しましょう」
「なよなよとしたやつに決められたくないわ!!黙ってろやろうオカマ!!」
怒鳴った瞬間に洋介は地面に倒れこんでいた。どうやら圭太が蹴飛ばしたようだ。頭から行かなかっただけ良かったと安堵した。
「失礼しちゃうわね?良い?こっちではオネェと言うのよ?今度は頭から落ちるようにするわよ?」
「お・・・おぅ・・」
「と言うわけでお買い物行きましょうねー」
ズルズルと洋介の体を引きずって圭太は店があるほうへと向かっていった。時間まで暇はあるし、こちらは誠也を呼び出すことに専念しようか。あと・・・加納は・・・キョロキョロとすると電柱の後ろにスーツ姿の女性が立っているのが見えたので、腕を引っ張り頬を膨らませて抗議の眼を向けると、ため息をついた加納も引きずられるように隆の元に帰って来た。
「わーい、加納先生だー。今日は俺とデートね」
無邪気な笑顔に加納は、更に大きなため息を吐くと諦めたらしい。
そこに生気のない誠也が隈を作った状態で現れ、明らかに嫌々来たなぁと三人は思った。声を掛けるべきかと悩むが、後ろからのαの空気に気づき走って逃げるようにして自分たちから逃げようとしたので、首の骨が折れない程度に腕で首元を捕まえた。
「誠也くん、私のコーデどうかしら?」
「ど・・・どうだ?」
先ほどとは違い、清潔感のある紺のシャツにジーンズと言ったラフな格好になり、それなりに先ほどよりマシになっているのだが、先ほどを知らない誠也だったが少しだけ胡散臭そうにしていた。
「お前はセンスがないからなぁ、圭太にやってもろたんやろ?」
「・・おぅ・・」
「はいはい、今日は楽しいデートなんだから、仲良くしましょうねー」
(気乗りしない)
三人の意見がまとまった。
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