拝啓 突然ですが、聖女になりました。あと、地球で元魔王や悪魔神との同棲生活始めました。by勇者(♂)

有栖川結城

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元勇者VS元魔王

魔王VS勇者アゲイン

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 戦闘の火蓋を切ったのは、またしても魔王だった。

 元魔王和也は1/20秒という速度で剣を振るった。その速度は、普通の人間の目では処理できない速度である。僕はその剣の威力を嫌という程思い知っている。

 なので、元魔王和也が剣を振るってくることを予知していた僕は身体強化魔法を最大までかける。そして、バックステップでなんとか逃げる。魔王討伐時みたいに剣をもろに受けたくはないので。

 その間にシアルが熱力最上級魔法と電磁気最上級魔法の合わせ技、『神気火炎雷』の術式を構成する。

 あの世界にいた頃はシアルも僕も使えなかった。なぜなら、魔力量が足りなかったからだ。なんせ、神話級の魔法である。だが、今では使える。魔王を倒し物凄くレベルアップしたからだ。

 だが、元魔王和也はその神気火炎雷を剣で粉砕。さすが魔王の魔剣だ。褒めてる場合じゃないけど。

「三次元カラーテレビにそんな高火力魔法当たったらどうするつもりなんだ!あれ高かったんだぞ!」

 などと元魔王和也は言った。ずいぶん怒っている様子の元魔王和也は、僕の周囲に牢獄作成の術式を展開した。それも、封印術式を張り巡らした牢獄である。その大きさ2メーター四方。牢獄は定期的に光りながら闇の魔力を漂わせている。

 シアルはその魔法を解こうとした。しかし、一瞬で封印術式が解けないと判断した。あまりにも封印術式が複雑すぎたからだ。そこで、短距離転移魔法の脳内詠唱を始める。だが、すでに牢獄は僕の周囲を覆っていた。しかし、牢獄の上部がギリギリ空いていたため、間一髪で牢獄から逃れた。

 ちなみに短距離転移は術式の構成に時間はかからない。だが、莫大な魔力を消費する魔法である。よって、今ほど多くの魔力を持っていなかった魔王討伐時には使えなかった。

 それとあとで判明するのだが。元魔王和也が使ったこの技は悪魔王や悪魔神の技である。その名も無限牢獄。その技で作り出した牢獄は、物理的な脱出や魔法を使った脱出が不可能である。いわゆる必殺技である。

 それはともかく、僕は短距離転移で元魔王和也の後ろに回り込む。そして、背後から剣を振るい、襲った。

 が、元魔王和也は僕が短距離転移したことを瞬時に把握。寸分の隙も見せずに対応された。

 それに対抗するため、僕は剣に莫大な魔力を注入していく。
 負けじと元魔王和也も膨大な魔力を剣に注入する。

 だが、これが元魔王和也の誤算だった。

 魔法を同時に2個並行して術式・詠唱構成ができない。それと同じように、物に魔力を注入している最中に魔法を使うことはできない。

 よって元魔王和也と僕との戦いが保有魔力量の戦いになった。かのように見える。

 だが、僕にはもう一人の味方がいた。

 シアルだ。

 僕が元魔王和也と剣で戦っている間に、もう一度神気火炎雷の術式を構成してもらっている。

 そして、元魔王和也は僕との剣の打ち合いに夢中になっている。なので、魔法に対する防御が疎かになっていた。

 僕は剣に常に魔力を送っていた。
 そして、元魔王和也はそれを見破っていた。
 見破っていたがために敵は魔法を使えいないだろう、と元魔王和也は考えていた。

 だが、僕にはシアルという反則な存在がいる。

 彼女が神気火炎雷の術式を構成し、魔法を発動した。

 元魔王和也は敵が魔法を使うなど予想してなかった。
 そして、神気火炎雷の対応に遅れた和也は魔法をもろに受け、感電により失神した。

 よって、地球帰還後初の戦闘は勇者タカトin聖女アルテイシアルの勝利となった。
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