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元勇者VS魔法陣使い
二度目の戦い
しおりを挟む「どうだ?気に入ってくれたか?この魔法陣は。」
彼は単刀直入にそう訊いてきた。
「って、この魔法陣は君が描いたの?」
「そうだぜ。」
そういって彼は口角を上げた。
「すごい巧妙な魔法陣ですね・・・。」
「いや、これ失敗作なんだ。
時間停止の魔法陣なんだけど、発動した術者も時間停止しちゃってさ。使えないんだよ。
これ作るのに2年間もかかったんだけどな。
2年間の歳月が水の泡さ。」
彼は自嘲した。
「へぇ。」
「そうだ、俺の魔法陣研究所行ってみないか?」
そして、彼に誘われた。
『行っても大丈夫かな?』
念を押して、シアルに訊いてみる。この誘いが危険じゃないかどうか。自分一人だと判断を誤るかもしれないからね。
『敵意は検出されませんでしたし、大丈夫かと。』
その言葉に従い、僕は行きたい、と言った。
そして、彼について行き、教室から出ると魁斗がいた。
「わ!なんでここにいるの?」
「いや、普通に帰ろうとしたら、君と菊池悠斗の会話が聞こえて、立ち聞きしてたんだ・・・。」
魁斗は横を向きながら言った。というか、気配消すなよ。魁斗がいるってこと気づかなかったじゃないか。
「君も俺の魔法陣研究所に行きたいのか?」
菊池悠斗が訊いた。
「興味はあるから、行きたい。」
「ああ、いいぜ。」
彼は許可を出した。
そして彼は階段に行き、二階の踊り場で止まった。
彼は青色のノートから一枚の魔法陣をだした。
その魔法陣を踊り場の中央に置くと、その場所に黒い亜空間の穴ができた。
『こんなのがあったなんて気付かなかった・・・。』
昼休みにこの階段は通ったのに。
『ああ、俺もだ。』
魁斗も二ヶ月ほど学校生活をしていたが、知らなかったらしい。
『というか魁斗って魔法とかできるの?』
『お父さんやお母さんぐらいには使えるし、戦えるぜ。』
拳をグーにして言った。
「おい、何してんだ?」
悠斗から声が掛けられた。
「今行く。」
そして僕と魁斗はその亜空間に入った。
そして、気付いた時には、封印術式が張り巡らされていた牢獄の中にいた。
『なんだ!?ここは!?』
『毒ガスが充満しています!』
『俺も紫苑も絶対環境のスキルを持っているから数分間は大丈夫だが、早く封印術式を解かないと不味いぞ!』
僕とシアル、そして魁斗は封印術式を必死で解いた。
脳がパンクしそうな計算量だ。
しかも、その間に爆発が起こる。
『何だ!?』
シアルが瞬時にバリアの魔法を展開したことによってなんとかなった。
しかも、何回も爆発が起こる。
その爆発は一回だけで何千キロトンもの威力を持つ。
広島に落とされた原爆の威力は20キロトンである。
その何百倍もの威力がこの爆発に含まれているのだ。
さらに、その爆発が何十回も起きている。
もはやバリアは限界寸前であった。
だが、持ち前のチートな魔力量でなんとかゴリ押しをする。
この牢獄は和也さんの使った無限牢獄ではない。
よって、封印術式を解くことができた。
封印術式を解き、牢獄を脱出した。そして爆裂式で壁を破壊し、外へ出る。どっかの草原のようだ。傾きつつある太陽が見える。そして、十メートルほど先には菊池悠斗がいた。
「睡眠魔法陣が効かない上に、催眠魔法陣も効かない。
さらには最高級の封印術式まで効かない、か。」
そう言って彼は戦闘態勢をとった。
『これだけ敵意むき出しなのに敵意を検出してない!?』
シアルが驚愕している。
確実に敵意があるのに、敵意が検出されない。
それは砂わち、それだけの隠蔽魔法が使えるというわけだ。
それに、敵意を封じる魔法は隠蔽魔法の中でもトップクラスに難しい。
・・・結構な強敵かもしれないぞ、これは。
僕と魁斗も戦闘態勢をとった。
そして、地球帰還後二度目の戦いの幕が開けた。
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