23 / 28
22話
しおりを挟む
パチン。
扇子を閉じる音で私は我に返った。
騒がしかった部屋がその音で静まり返る。
扇子を手に持ち、ジッとラフリィード侯爵夫人がラフリィード侯爵を見ていた。
「確かに息子の結婚も大切ですが、娘のルティアンの相手探しも大切な事ですわよね? あなた」
「あぁ、もちろんだ」
静かに言ったラフリィード侯爵夫人の言葉は、凄く響いように感じる。
「でしたらルティロンは婚約も決まった事ですし、ルティアンの今後を話し合いません事?」
ルティアン嬢の? え、今日の集まりは私とルティロン様の事を話し合う場では?
「それは、後で……」
「後で? それでは困ります。あなたもわかっておいででしょう? ケイハース皇国にもルティアンの醜聞が届いておりましてよ。確かにこの国においての脅威はなくなりました。ですが、これから相手を探すルティアンの身にもなって頂きたいわ。こんな事ならずーっと、向こうで生活している方がましでしたわ。この国に帰って……」
「帰ってこないだと? どこの国の外交官の妻なのだ!」
なんとラフリィード侯爵夫人とラフリィード侯爵が喧嘩を始めてしまったわ。どうしましょう。お父様、止めて下さい。
そう思いお父様を見れば、ジッと二人のやり取りを静かに見つめているだけではありませんか。
「そうは言いますが、今回の事はルティアンの事を考えてではなく、聖女の件に方を付ける為ではありませんか。命さえ助かればそれでいいのですか?」
「仕方がないだろう。これは陛下の命でもあったのだから!」
どうしましょう。ヒートアップしてきているわ。
今度は、ルティロン様を見ると、困り顔になる。
そして、バンと両手でテーブルを叩きながら立ち上がった。
「いい加減にしてくれ、二人とも。母上の言いたい事はわかるが、今日は俺の為に来てくれたのではないのですか」
「違うわ。ルティアンの為に来たのよ。噂のルティアンは、今日帰国しましたよと、アピールしつつね」
「でしたらもう解決しているではないですか!」
ルティロン様の言う通り、もう解決済みだった。
「ルティロン。そんなわけないでしょう。ルティアンは、こちらには味方はおりませんのよ。本来なら先に来たお二人が地盤固めをするものでしょう。それが、その逆をするなどあり得ません! ルティロン、あなたは幸せを手に入れたから良いかもしれませんが、妹の幸せも考えてあげて欲しいのです!」
「そ、それは、そうだけど」
ラフリィード侯爵夫人が言っている事はごもっともだわ。
本来なら私も力にならないといけないのに、学校にも行かないしそれこそ信頼がおける令嬢の友人もいない。
私、令嬢としては全くの役立たずだわ!
「ふむ。だったらすぐにでもこの二人を結婚させようではないか」
珍しく静観していると思っていたらお父様が突拍子もない事を口にした。
「ハルサッグ伯爵? 今までのお話を聞いておりました? 一先ずルティロンの結婚はおいておきましょうと……」
「それで丸く収まると言っています」
「おやまあ。二人の結婚で噂を消そうとおっしゃいますの? 確かに噂になるでしょうが、逆に片方のルティアンはという噂になるのではありませんか?」
「いいえ、ご婦人。二人の結婚式を早急に執り行うのです。あの噂は、ルティロンが騎士に変装しメロディーナと大瀬をしていたいう噂を流せばいいのです。幸い、ルティアン嬢が今日こちらへ来たとアピールして下さったのですから上手くいくでしょう」
「「結婚式!?」」
お父様の言葉に全員が驚いた。
結婚は、紙一枚で出来ますが、結婚式はそうは行かないでしょう。
まずすぐにと言っても三か月、いえ半年後でも会場を抑えられるかどうかわかりません。
外交官の息子の結婚式なのですよ。海外からのお客様もいるから大きな場所が必要です。それに、この国の顔ですから、結婚式の準備が不十分だったからとショボイ結婚式は行えません。
「あなた! この方、全然話が通じませんわ」
「おい。言い方があるだろう。あ、いや、色々と無理な点が多すぎます」
「無理な点とは?」
ラフリィード侯爵がお父様に言えば、それはどこだと平然として返している。これはもう、頭の中には何かしらの策があるようね。
でもここは仕事場ではないのですから、ごり押しはできませんからね!
「お、お父様? ここに居る方は隊員ではありませんよ」
「当たり前だ。わかっている。で、無理な点を述べてみて下さい、ラフリィード侯爵殿」
「それは……」
ラフリィード侯爵が、お父様の気迫に押され言葉に詰まらせた。
あぁ、どうしましょう。
このままだと、結婚を早急行うところか婚約を白紙に戻されるかもしれません。
扇子を閉じる音で私は我に返った。
騒がしかった部屋がその音で静まり返る。
扇子を手に持ち、ジッとラフリィード侯爵夫人がラフリィード侯爵を見ていた。
「確かに息子の結婚も大切ですが、娘のルティアンの相手探しも大切な事ですわよね? あなた」
「あぁ、もちろんだ」
静かに言ったラフリィード侯爵夫人の言葉は、凄く響いように感じる。
「でしたらルティロンは婚約も決まった事ですし、ルティアンの今後を話し合いません事?」
ルティアン嬢の? え、今日の集まりは私とルティロン様の事を話し合う場では?
「それは、後で……」
「後で? それでは困ります。あなたもわかっておいででしょう? ケイハース皇国にもルティアンの醜聞が届いておりましてよ。確かにこの国においての脅威はなくなりました。ですが、これから相手を探すルティアンの身にもなって頂きたいわ。こんな事ならずーっと、向こうで生活している方がましでしたわ。この国に帰って……」
「帰ってこないだと? どこの国の外交官の妻なのだ!」
なんとラフリィード侯爵夫人とラフリィード侯爵が喧嘩を始めてしまったわ。どうしましょう。お父様、止めて下さい。
そう思いお父様を見れば、ジッと二人のやり取りを静かに見つめているだけではありませんか。
「そうは言いますが、今回の事はルティアンの事を考えてではなく、聖女の件に方を付ける為ではありませんか。命さえ助かればそれでいいのですか?」
「仕方がないだろう。これは陛下の命でもあったのだから!」
どうしましょう。ヒートアップしてきているわ。
今度は、ルティロン様を見ると、困り顔になる。
そして、バンと両手でテーブルを叩きながら立ち上がった。
「いい加減にしてくれ、二人とも。母上の言いたい事はわかるが、今日は俺の為に来てくれたのではないのですか」
「違うわ。ルティアンの為に来たのよ。噂のルティアンは、今日帰国しましたよと、アピールしつつね」
「でしたらもう解決しているではないですか!」
ルティロン様の言う通り、もう解決済みだった。
「ルティロン。そんなわけないでしょう。ルティアンは、こちらには味方はおりませんのよ。本来なら先に来たお二人が地盤固めをするものでしょう。それが、その逆をするなどあり得ません! ルティロン、あなたは幸せを手に入れたから良いかもしれませんが、妹の幸せも考えてあげて欲しいのです!」
「そ、それは、そうだけど」
ラフリィード侯爵夫人が言っている事はごもっともだわ。
本来なら私も力にならないといけないのに、学校にも行かないしそれこそ信頼がおける令嬢の友人もいない。
私、令嬢としては全くの役立たずだわ!
「ふむ。だったらすぐにでもこの二人を結婚させようではないか」
珍しく静観していると思っていたらお父様が突拍子もない事を口にした。
「ハルサッグ伯爵? 今までのお話を聞いておりました? 一先ずルティロンの結婚はおいておきましょうと……」
「それで丸く収まると言っています」
「おやまあ。二人の結婚で噂を消そうとおっしゃいますの? 確かに噂になるでしょうが、逆に片方のルティアンはという噂になるのではありませんか?」
「いいえ、ご婦人。二人の結婚式を早急に執り行うのです。あの噂は、ルティロンが騎士に変装しメロディーナと大瀬をしていたいう噂を流せばいいのです。幸い、ルティアン嬢が今日こちらへ来たとアピールして下さったのですから上手くいくでしょう」
「「結婚式!?」」
お父様の言葉に全員が驚いた。
結婚は、紙一枚で出来ますが、結婚式はそうは行かないでしょう。
まずすぐにと言っても三か月、いえ半年後でも会場を抑えられるかどうかわかりません。
外交官の息子の結婚式なのですよ。海外からのお客様もいるから大きな場所が必要です。それに、この国の顔ですから、結婚式の準備が不十分だったからとショボイ結婚式は行えません。
「あなた! この方、全然話が通じませんわ」
「おい。言い方があるだろう。あ、いや、色々と無理な点が多すぎます」
「無理な点とは?」
ラフリィード侯爵がお父様に言えば、それはどこだと平然として返している。これはもう、頭の中には何かしらの策があるようね。
でもここは仕事場ではないのですから、ごり押しはできませんからね!
「お、お父様? ここに居る方は隊員ではありませんよ」
「当たり前だ。わかっている。で、無理な点を述べてみて下さい、ラフリィード侯爵殿」
「それは……」
ラフリィード侯爵が、お父様の気迫に押され言葉に詰まらせた。
あぁ、どうしましょう。
このままだと、結婚を早急行うところか婚約を白紙に戻されるかもしれません。
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる