【完結】ミキって書かせて頂きます

すみ 小桜(sumitan)

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39話 仰ぎ見た先に見えたもの

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 そのままミキ達は、一旦会社に戻っていた。

 「あのミキさん。ごめんなさい。でも、万が一の為に……」

 ミキは、チラッと弁解する浅井を見た。
 言いたい事はわかるが、結局無駄になったのだ。

 「いいわよ別に。警察は頼りになるものね。私、七時ぐらいに現場の聞き込みに行ってくるわ」
 「七時って夜の七時ですか?」

 ミキは頷いた。

 「そうよ。事件が起きた同じ時間帯に行ってわかる事もあるから。でも一人で行きたいから、浅井さんはここで写真の整理でもしていて」
 「え……」

 そう言ってムッとした顔で仕事をするミキに、浅井は何も言えなかった。写真の整理などもうとっくに終わっていたのである。
 勿論ミキもそんな事はわかっていた。


 ○ ○


 夜七時過ぎにミキは、一人で事件の取材をしていた。

 「ありがとうございました」

 ミキは、佐藤宅の向かいの佐々木宅をもう一度訪ね、話を聞いた。
 ブルンっと自動車のエンジンを切る音が聞こえ見ると、隣の家の前にトラックが止まった。
 配達員がトラックから荷物を取り出し、隣の家のベルを鳴らす。

 「北カルガモ便です。再配のお荷物お届けにきました」

 そういう声が聞こえて来た。
 話を聞いた配達員の飯田だ。

 ――ちょうどいいわ!

 荷物を渡し戻って来た飯田に、ミキは話しかける。

 「こんばんは。飯田さん」
 「あ、あんた! 警察じゃないんだろう? 騙したな!」

 ミキを見た飯田の第一声は、文句だった。
 やはりミキを警察だと思っていたようだ。

 「騙しただなんて。私は質問をしただけで、警察だとは名乗っていませんけど?」
 「……で、あんた何者? 俺に何の用?」
 「私は、見兎社けんとしゃ若狭かかさせです。今日は、写真を確認してほしくて……」

 飯田は、首を傾げる。

 「見兎社? 何屋さん?」
 「え! 知らないの? 記者よ。私は!」
 「なるほど!」

 飯田は、やっと納得した様子だ。

 「取材だったのか! で、写真って?」
 「あなたが見た男の人が、この人物か見てほしいの」

 ミキは、家族写真から佐藤だけを拡大して、プリントアウトした写真を見せた。

 「どう? 彼?」

 飯田は、ジッと写真を見て、うーんと唸る。

 「たぶんこの人だと思うけど、絶対という自信はないな。で、誰この人?」
 「ご協力ありがとう」

 飯田の質問には答えず、ミキはそう言うと頭を下げた。そして、顔を上げ更に質問を投げかけた。

 「で、最終確認だけど、彼を見たのは木曜日で間違いない? 違う日だったって事は?」
 「間違いないよ。しかし、あんた、警察より素早いな」
 「それは、どうも。これで質問は終わりです。忙しい中ありがとう」
 「じゃ……」

 飯田は、トラックに乗り込むと、軽く手を上げその場を去って行った。
 それをジッとミキは見送る。

 「やっと、収穫があったわね。後はもう一度、佐藤さんに確認するだけなんだけどなぁ……。早くしないと、警察に捕まっちゃうわよね。その前に会いたいな。うーん」

 ミキは、空を仰ぎ見る。
 日が落ちた空には、星が瞬いていた。

 「東京よりよく見える……。浅井さんに謝るか」

 星空を見ていたら、そんな気分になったのである。よくある、ちっぽけに感じるというやつであった。


 ○ ○


 「ただいま。はい、夜食」

 ミキは、そう言って浅井に渡す。勿論、彼は驚いた顔をしていた。

 「あ、ありがとうございます」
 「悪かったわ。完全に八つ当たりよね。あなたの判断は、正しかったわ。ありがとう」

 ミキは、軽く頭を下げ、それから、自分の席に座った。
 その動作をまだ驚いて、浅井は見つめている。
 そして、ボソッと呟く。

 「よかった。僕、嫌われたかと思ってました……」

 浅井はそう言ってからやっと、ミキから受け取ったお弁当に目を落とす。

 「あなた変わってるわね。普通なら、怒ってるところでしょう」
 「怒る?」

 浅井は、不思議そうな顔をした。

 「本来なら感謝されるべきなのにって」
 「僕、ヤクザに立ち向かえるほど強くないし、警察の人がいた方が安全かなって思って……。でもミキさんは、最初から佐藤さんから話を聞くだけのつもりだったようだから、余計な事したんだなって……」
 「まあ、あそこに組長の息子がこなければね。でも、あんなタイミングで来たんだし最初から鉢合わせするように、はめられたのは確かよ。佐藤さんも知らなかったみたいだし。あなたがした事は、結果正しかったのよ」
 「ありがとう、ミキさん」

 浅井は、嬉しそうに言った。
 ミキは頷いて、ニコッと微笑む。

 「さあ、食べましょう!」
 「はい!」

 二人は仲良く、弁当を食べた。
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