29 / 58
第28話
はあ。大変な噂になってるわ。
たぶんフランシスク様は気付いていない様子。
そもそも、私が在籍する伯爵家クラスはフランシスク様の味方だから彼に噂が届かない様にしている。
フランシスク様が葬儀参列したのは事実。でもあのタイミングで噂を流したのは、アンナしかいない。
ユゲット嬢が知っていたなら、前の噂の時に流しただろうから。
噂を流されたタイミングが悪かったわ。
婚約が解消され、私がフランシスク様の馬車に乗った次の日だもの。
アンナが、噂通りにフランシスク様が葬儀に参列していたと言えば、皆が確証を得る。
そもそも本当の事だけど。
そして、婚約が解消されてすぐに、フランシスク様が私の家に通い詰めているのも事実だから否定できないし、アンナも彼が来ていると肯定しているはず。
たった数日で、ユゲット嬢とフランシスク様が婚約破棄になるように、私が手を回した事になってしまっていた。
この噂は下級生の間に広まっている様で、白い目で見ているのは下級生が多い。
後は、アンナのクラスメイトかしらね。
昨年までは、アンナと私が従姉妹だと知らなかったのに、知れ渡っていた。
「グリンマトル令嬢、少し大切なお話がありますの」
「はい……」
子爵家クラスのご令嬢達が、怖い顔で話しかけて来た。
とりあえず聞いておきましょう。
「グリンマトル令嬢、あなたに婚約者がいというの本当の事かしら」
「はい」
「まあ。では、マスティラン様があなたの家業を手伝っているのも本当なのかしら」
「はい……」
嘘ではない。だから否定できないのよね。
でもその理由までは、誓約書に関わるから言えないのよね。
他人に誓約書の事を言うのはご法度。だからこそ、今回の事は厄介なのよ。
「酷いですわ! 事故でご両親がお亡くなりになったのは気の毒とは思いますが、マスティラン様のせいではありませんわ。タダ働きさせているというのではありませんか!」
「え!」
なぜそんな事まで知っているの?
私の家に来ている事を見た者がいるだろうし、アンナに確認すればわかる事だとは言え、タダ働きをしているかなど聞いてくるはずもない。
つまり、アンナから言わないとそういう噂は流れないわ。
どういうつもりなのよ!
「一学年に弟がおりますの。今、あなたの話で持ち切りだそうよ。従姉妹の家族があなたの為に一緒に住んでくれているそうね。その従姉妹を脅し、婚約者を押し付けているとか」
「そんな事をしていないわ!」
「嘘をおっしゃい。マスティラン様が来るからと彼女はすぐに家に帰れず、不憫に思った婚約者がマスティラン様が帰るまで彼女と一緒にいてあげていると聞いたわ」
なんでそんなデタラメな噂まで流れているのよ。
他の事が事実だけに、それだけが事実ではないと言っても信用されないじゃない。
「気持ちはわからなくもないわ。伯爵令嬢でいれるかどうかの瀬戸際ですものね」
「え?」
「マスティラン様を傀儡しようとしているのでしょうけど」
「どういう意味ですか?」
「薬師が家業だとか。卒業後に学校に通うとなれば、多額の資金が必要よね。その資金はどうやって調達するおつもりかしら?」
そういう事か。
一般的には、貴族学園を卒業後に資格を取る為に学校に通う。私が、既に卒業して資格を持っているなんて知らないものね。
もし彼女の言う状況になっていれば、親戚のウルミーシュ子爵家か婚約者の家から借りる事になる。
けど、従姉妹であるアンナもいるのに、子爵家が二人分を出すのは難しい。と思ったわけか。
というか、そんな家庭の事情、彼女達に関係ないじゃない。
「ご心配頂けるなんて、お優しい方なのですね」
「はい? あなたの心配などしていないわ。マスティラン様を心配しておりますのよ」
「そうですか。よくお考えになって。マスティラン様にタダ働きをさせて、その浮いたお金を学費に回す? そんなまどろっこしい事をせずとも、直接マスティラン領主に、資金の提供をお願いした方がよいでしょう。タダ働きをさせるという発想は、一体どこからでたのでしょうか」
「え……」
子爵令嬢達は、ハッとした様子をみせた。
ずっと肯定していたから、噂が全部本当だと思ったのね。でも考えてみれば、フランシスク様がそんな事を了承するわけがないという事に気が付いた。
まあ、本当はなぜかタダ働きしているのだけどね。
たぶんフランシスク様は気付いていない様子。
そもそも、私が在籍する伯爵家クラスはフランシスク様の味方だから彼に噂が届かない様にしている。
フランシスク様が葬儀参列したのは事実。でもあのタイミングで噂を流したのは、アンナしかいない。
ユゲット嬢が知っていたなら、前の噂の時に流しただろうから。
噂を流されたタイミングが悪かったわ。
婚約が解消され、私がフランシスク様の馬車に乗った次の日だもの。
アンナが、噂通りにフランシスク様が葬儀に参列していたと言えば、皆が確証を得る。
そもそも本当の事だけど。
そして、婚約が解消されてすぐに、フランシスク様が私の家に通い詰めているのも事実だから否定できないし、アンナも彼が来ていると肯定しているはず。
たった数日で、ユゲット嬢とフランシスク様が婚約破棄になるように、私が手を回した事になってしまっていた。
この噂は下級生の間に広まっている様で、白い目で見ているのは下級生が多い。
後は、アンナのクラスメイトかしらね。
昨年までは、アンナと私が従姉妹だと知らなかったのに、知れ渡っていた。
「グリンマトル令嬢、少し大切なお話がありますの」
「はい……」
子爵家クラスのご令嬢達が、怖い顔で話しかけて来た。
とりあえず聞いておきましょう。
「グリンマトル令嬢、あなたに婚約者がいというの本当の事かしら」
「はい」
「まあ。では、マスティラン様があなたの家業を手伝っているのも本当なのかしら」
「はい……」
嘘ではない。だから否定できないのよね。
でもその理由までは、誓約書に関わるから言えないのよね。
他人に誓約書の事を言うのはご法度。だからこそ、今回の事は厄介なのよ。
「酷いですわ! 事故でご両親がお亡くなりになったのは気の毒とは思いますが、マスティラン様のせいではありませんわ。タダ働きさせているというのではありませんか!」
「え!」
なぜそんな事まで知っているの?
私の家に来ている事を見た者がいるだろうし、アンナに確認すればわかる事だとは言え、タダ働きをしているかなど聞いてくるはずもない。
つまり、アンナから言わないとそういう噂は流れないわ。
どういうつもりなのよ!
「一学年に弟がおりますの。今、あなたの話で持ち切りだそうよ。従姉妹の家族があなたの為に一緒に住んでくれているそうね。その従姉妹を脅し、婚約者を押し付けているとか」
「そんな事をしていないわ!」
「嘘をおっしゃい。マスティラン様が来るからと彼女はすぐに家に帰れず、不憫に思った婚約者がマスティラン様が帰るまで彼女と一緒にいてあげていると聞いたわ」
なんでそんなデタラメな噂まで流れているのよ。
他の事が事実だけに、それだけが事実ではないと言っても信用されないじゃない。
「気持ちはわからなくもないわ。伯爵令嬢でいれるかどうかの瀬戸際ですものね」
「え?」
「マスティラン様を傀儡しようとしているのでしょうけど」
「どういう意味ですか?」
「薬師が家業だとか。卒業後に学校に通うとなれば、多額の資金が必要よね。その資金はどうやって調達するおつもりかしら?」
そういう事か。
一般的には、貴族学園を卒業後に資格を取る為に学校に通う。私が、既に卒業して資格を持っているなんて知らないものね。
もし彼女の言う状況になっていれば、親戚のウルミーシュ子爵家か婚約者の家から借りる事になる。
けど、従姉妹であるアンナもいるのに、子爵家が二人分を出すのは難しい。と思ったわけか。
というか、そんな家庭の事情、彼女達に関係ないじゃない。
「ご心配頂けるなんて、お優しい方なのですね」
「はい? あなたの心配などしていないわ。マスティラン様を心配しておりますのよ」
「そうですか。よくお考えになって。マスティラン様にタダ働きをさせて、その浮いたお金を学費に回す? そんなまどろっこしい事をせずとも、直接マスティラン領主に、資金の提供をお願いした方がよいでしょう。タダ働きをさせるという発想は、一体どこからでたのでしょうか」
「え……」
子爵令嬢達は、ハッとした様子をみせた。
ずっと肯定していたから、噂が全部本当だと思ったのね。でも考えてみれば、フランシスク様がそんな事を了承するわけがないという事に気が付いた。
まあ、本当はなぜかタダ働きしているのだけどね。
あなたにおすすめの小説
婚約者の王太子が平民と結婚するそうです──どうぞ、ご勝手に【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子エドモンが平民との“真実の愛“を宣言した日、王国の均衡は崩れた。
エドモンの婚約者である公爵令嬢エヴァは、公衆の面前で婚約破棄され、更には婚約者のいるクラウディオ・レンツ公爵との結婚を命じられる。
──そして舞踏会の夜。
王太子妃になった元平民ナタリーは、王宮の礼儀も政治も知らぬまま混乱を引き起こす。
ナタリーの暴走により、王家はついにエヴァを敵に回した。
王族は焦り、貴族は離反し、反王派は勢力を拡大。
王国は“内乱寸前”へと傾いていく。
そんな中、エヴァの前に跪いたのは王太子の従弟アレクシス・レンツ。
「僕と結婚してほしい。
僕以外が王になれば、この国は沈む」
冷静で聡明な少年は、エヴァを“未来の国母”に据えるためチャンスを求めた。
「3ヶ月以内に、私をその気にさせてご覧なさい」
エヴァは、アレクシスに手を差し伸べた。
それからの2人は──?
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。視点が頻繁に変わります。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。
待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。
そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました
つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。
けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。
会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
妹に悪女の罪を着せられ追放された私を、冷徹監察公爵だけが信じていました
れおぽん
恋愛
妹に罪をなすりつけられ、“嫉妬深い悪女”として婚約破棄された伯爵令嬢リュシエンヌ。家族も婚約者も妹の涙を信じ、彼女を修道院へ送ろうとする。
だがその場で彼女を止めたのは、冷酷無慈悲と恐れられる監察公爵アルヴェインだった。
「君がやっていない証拠は揃っている」
全員が疑う中、ただ一人だけ事実を見ていた男と手を組み、彼女は“黙ることで守る人生”を終わらせる。
これは、悪女にされた令嬢が名誉も居場所も恋も取り戻す再審の物語。