【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
6 / 83

第6話

しおりを挟む
 なんて構えていたけど、リサおばあ様が笑顔で出迎えてくれた。本家の隠居夫人で本当の祖母ではないけど、そう呼べと言われている。何せリサと言う名の者が親族には、私が知っているだけで三人もいるのだから。

 そういえば本家の人は、銀灰色の髪の人が多い。リサおばあ様もそう。サファイヤブルーの瞳が綺麗なのよね。おじい様はもうお亡くなりになったけど、婿だったとか。

 「まあ。ファビア。大きくなったわね」
 「ご無沙汰しております。リサおばあ様」

 魔法学園の制服のままなので、軽くお辞儀をして挨拶をした。

 「さあ、ファビアこちらよ」
 「こちらでございます」

 ハッキリしているわね、高位貴族って。
 私にだけ笑顔を向け、お父様と継母は無視。二人は使用人に言われ歩き出す。
 もしかしたらその使用人は、お父様達より高貴な出かもしれない。

 結婚せずにいる一つの選択肢がそう言えばここにもあったわね。伯爵家の者達が多いけど、侯爵家や公爵家の使用人になる選択もあった。
 男爵や子爵になるのが嫌だと思えば、この職業も視野に伯爵家なら入る。
 ギリギリ子爵家ならメイドになれるだろう。そういう学校も実はあるけど、私はお掃除って苦手だから……。

 「さあ、ここに座って」
 「はい。ありがとうございます」

 使用人が引いた椅子にちょこんと座る。
 通されたのは、手入れが行き届いた庭園だった。
 この国は、日が落ちるまで外にいてもそんなに寒くない。

 「嬉しいわ。ここから通いたいのですってね」

 使用人が紅茶を淹れる中、リサおばあ様から話を切り出した。
 うん? これって、大丈夫そうじゃないかしら?

 「お願いできますか?」

 隣の席からお父様が嬉しそうに口を挟めば、リサおばあ様がギロリと睨む。私と話しているという顔つきだ。
 隣の席……そう、お父様と継母は、テーブルが違った。そこまでする? と思うけど、まあ仕方がない。
 孫(になるのかわからないけど)は可愛いけどって事かな。

 「ファビア。気兼ねなくここから通うといいわ。今まで大変だったでしょう。今日から住めるように部屋を用意してあるわ」
 「え!?」

 リサおばあ様の言葉に、私達は目を丸くする。
 魔法学園に通う為に住みたいなんてって嫌がられると思っていた。
 才能も必要だけど、伯爵家の学生が一番多いから。行ってみてわかった事だけどね。

 休み時間に話す彼らの話だと、公爵家、侯爵家の次男以降は、大抵伯爵家の婿になるらしい。そして、伯爵家以下の次男達らが結婚すると爵位を頂く。
 つまり、侯爵家からは男爵や子爵になる者はいない。なので、それから逃れる為に、魔法博士になる者はいないとなる。
 だから教室は、8割が伯爵家の次男坊や三男坊で溢れかえっていた。

 もちろん、男爵家や子爵家の者もいるが、本当に才能がある者しかいないらしい。何せ入学しても魔法博士になれなければ、借金が出来るだけだからね。そりゃ戸惑うよね。
 その事から、魔法学園に通うのは下位爵位の者で、体裁が悪いから侯爵家から通うなどけしからん。となると思っていた。
 しかも私は令嬢。普通は外で働かない。その事からも自身が爵位を持つなどもっての外なのかと思っていたわ。

 「い、いいのですか? ご迷惑になりませんか?」
 「何を言います。我が侯爵家では初ですわよ。女性で魔法博士になるなんて!」

 いやまだなってませんけど。そのスタートラインに立ったばかりです。
 でもなんか思い描いていた感じと違うわね。まあよかったわ。杞憂に終わって。

 「あの、私の娘も……」

 継母がそう言い出すと、ギロリとリサおばあ様が睨む。
 まさか、ここにマリーを住まわせようと思っていたの? 凄すぎる。私でさえ無理かもと思っていたのに。
 マリーは、再婚してお父様の子にはなったかもしれないけど、ココドーネ侯爵家とは血の繋がりはない。しかも、私は学園に通う為にお願いに上がったのに、彼女はそういう理由すらない。

 「本当にどうして、こんな方と再婚なさったの? だから反対でしたのよ。二人はお帰りになって結構」
 「あ、リサおばあ様……」
 「心配しなくて大丈夫よ」

 私には、笑顔を向けるリサおばあ様。

 「いえ、そうではなくて。今日使っていない教科書が家にありまして……」
 「そうなのね。では、折り返し持って来て下さい。お願いに来たのならそれぐらいしなさいね。さあ、ファビアは遠慮しないで、食べなさい」

 紅茶のお供、クッキーやケーキを進められた。
 家では滅多に食べられないケーキが目の前に! いただきま~す。
 あぁ、おいしい。このチョコレートなんて、この世界では高くてなかなか食べられないのよね。

 「「………」」

 うん? お父様と継母が私を恨めしそうに見つめていた。

 「食べる?」
 「いや、いい……。教科書を取りに戻るよ。娘の事をお願いします」

 お父様が立ち上がると継母も仕方なさそうに立ち上がった。
 ムッとした顔つきで継母が私を見ている。
 食べたかったのね、ケーキ。二人の前には、クッキーすらない。徹底しているわね。
 どうやらお父様もリサおばあ様に嫌われていたようね。

 頑張って、魔法博士にならないとね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約者が最凶すぎて困っています

白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。 そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。 最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。 *幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。 *不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。 *作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。 *カクヨム。小説家になろうにも投稿。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。

ぽんぽこ狸
恋愛
 レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。  その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。  ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。  しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。  それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。  彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。

千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。 だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。 いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……? と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

【完結】母になります。

たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。 この子、わたしの子供なの? 旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら? ふふっ、でも、可愛いわよね? わたしとお友達にならない? 事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。 ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ! だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

処理中です...