44 / 83
第44話
しおりを挟む
「驚きました。まさか、無鉄砲な教え方だと思っていたら、思わぬ逸材が相手だったとは」
トリカリト先生、興奮しすぎです。ちょっと意味不明な言葉になっていますよ。
つまり、フロール嬢が凄かったからレオンス様のやり方でもうまく行ったと言いたいのよね。
「確認だが、今日初めて魔法を使ったのだよな」
「えぇ。もちろんですわ」
レオンス様の問いに、にっこりとほほ笑んでフロール嬢が答えた。
「それは、教え甲斐がありそうだ」
「ご指導宜しくお願い致しますわ」
「私も頑張らなければ!」
二人の様子を見てバビット殿下が気合を入れている。これは、危ないわね。
「バビット様。ここ以外では呪文を唱えてはいけませんよ。魔法が発動してしまいます」
「う……。そうだ。あの魔法陣を」
「持っておりません」
あれは支給されたものだけど、自作はもちろん持っている。けどあれは、闇魔法を流さないと使えない魔法陣なのよね。
「ではせめて、毎日授業を!」
「え!」
魔法の授業は、週に二度になっている。毎日なんて冗談ではない!
「わ、私では決めかねます。それにバビット様だけ毎日は無理だと思われます」
王子だから贔屓しているのではないという体裁の為に、フロール嬢にレオンス様が教える事になったのだから。
「どうしてもと言うのなら、魔法学園で支給されているブレスレットをお願いしてみてはいかがでしょうか。先ほどの魔法陣と同じ効果があります。授業をお受けなる時に外せばいいかと」
「ナイスアイデアだ! ファビア嬢」
余程嬉しかったのか、ギュッと両手を握られた。
「あ、あの痛いです、殿下」
「あ、すまぬ」
ハッとして、ベビット殿下が手を離す。
「では、ありがとう。イルデフォンソ! 行くぞ」
ガシッとイルデフォンソ殿下を捕まえると、驚く殿下をお構いなく引っ張って行く。
「お待ちを!」
「おい。待て。わかったから、離せ」
騒がしくバビット殿下とイルデフォンソ殿下、その護衛達四人が教室から出て行った。
「魔法とは不思議なものだな。何もない所に火を出すのだから」
一緒に出て行かなかったマルシアール殿下が、レオンス様に向かって言う。
剣など下げているし、魔法になど興味がないのかと思っていたけど、そうでもないのかしらね。
「何もないわけではありませんよ。火種はあります。魔力です」
「なるほど」
「ちなみに、マルシアール様でも魔法は使えますよ」
「ほう。俺には、適正はなかったが」
「ファビアは、無属性です」
「何!?」
驚いて皆が私を見た。
「風と水ではなかったのですか?」
フロール嬢が信じられない様な顔を私に向けた。
「えーと。頑張りマシタ?」
もう厄介だからそう言う事をここで言わないでよね!
「どうですマルシアール様も習ってみては」
「なりません! 陛下に許可もなく、その様な事を」
トリカリト先生が、レオンス様を睨みつけていた。温厚な人だと思ったけど、ちょっと怖いです。
「これは出過ぎた真似を致しました。今のは、聞かなかった事にして頂くとありがたい」
「そうだな。私にはこれがある」
腰に下げた剣にポンと手を置くと、マルシアール殿下は歩き出し、護衛と一緒に教室を出て行った。
もうレオンス様ったら何を言い出すのよ。
魔法学園を敵に回すつもり? いや国かな。もしマルシアール殿下が、同じ方法で魔法を使えてしまったら、魔法測定して属性を調べている意味がなくなるじゃないの。
たぶん、規定値を越えた属性でないと、威力が出ない。それと、持続性もないだけ。発動するだけなら可能だと思う。
まあだからと言って、魔法博士になれる可能性があるかと問われれば、否だけど。
だと言って、これ証明しちゃってはいけないやつだと思うのよね!
魔学の授業が終わり、私達は一緒の馬車で帰宅する。魔学の授業がある時は、一緒に帰る事になった。
そして、タカビーダ侯爵家に寄りケーキを食べるのよ!
にしても、機嫌が悪そうね。隣に座るレオンス様が無言だわ。そんなに、トリカリト先生がに叱られたのが、癪にさわったのかしらね。
――◆――◆――◆――
どういう事だ。30秒も魔法を持続させた。才能云々ではない。これが、凄い火を放ったならわかるが。
彼女が出した火は、威力はないものの一定だった。
俺達だって、魔力を一定に保つ訓練をして出来るようになった。つまり、魔法は扱えるって事だ。
魔法を習いたいと言ったというが、王子達に近づく為か? 子爵家の令嬢でありながら王都の学園に入り、実力で優良クラスになった。
けどファビアもそうだが、子爵家の勉強だけではまず無理だ。
本家のルナイリー侯爵家が、目を掛けているという情報はない。
だが、ルナイリー侯爵家には、あのガムン公爵の姉が嫁いでいる。
王子達に近づく為に、彼女を優良クラスに潜入させたのか? しかし、令嬢より令息の方がいいだろう。同じ年の傍系はいる。
わからないな。フロール嬢を調べてみる必要があるようだ。
はぁ。本当に面倒くさい。俺が、侯爵家に生まれなければ。伯爵家ぐらいが丁度よかったのに。
いやそれより、あいつめ! ファビアの手を握りやがって!
「ファビア、手を貸せ」
「え? 手? 何? 何かするの?」
「そうじゃなく。手を拭く」
「はい!? ちょっと痛いのだけど!」
俺は、ごしごしとファビアの両手を拭いた。
「もう、何をするのよ!」
「いたぁ」
ハンカチを持った手の甲をつねられた。拭いたぐらいでつねるなよな!
トリカリト先生、興奮しすぎです。ちょっと意味不明な言葉になっていますよ。
つまり、フロール嬢が凄かったからレオンス様のやり方でもうまく行ったと言いたいのよね。
「確認だが、今日初めて魔法を使ったのだよな」
「えぇ。もちろんですわ」
レオンス様の問いに、にっこりとほほ笑んでフロール嬢が答えた。
「それは、教え甲斐がありそうだ」
「ご指導宜しくお願い致しますわ」
「私も頑張らなければ!」
二人の様子を見てバビット殿下が気合を入れている。これは、危ないわね。
「バビット様。ここ以外では呪文を唱えてはいけませんよ。魔法が発動してしまいます」
「う……。そうだ。あの魔法陣を」
「持っておりません」
あれは支給されたものだけど、自作はもちろん持っている。けどあれは、闇魔法を流さないと使えない魔法陣なのよね。
「ではせめて、毎日授業を!」
「え!」
魔法の授業は、週に二度になっている。毎日なんて冗談ではない!
「わ、私では決めかねます。それにバビット様だけ毎日は無理だと思われます」
王子だから贔屓しているのではないという体裁の為に、フロール嬢にレオンス様が教える事になったのだから。
「どうしてもと言うのなら、魔法学園で支給されているブレスレットをお願いしてみてはいかがでしょうか。先ほどの魔法陣と同じ効果があります。授業をお受けなる時に外せばいいかと」
「ナイスアイデアだ! ファビア嬢」
余程嬉しかったのか、ギュッと両手を握られた。
「あ、あの痛いです、殿下」
「あ、すまぬ」
ハッとして、ベビット殿下が手を離す。
「では、ありがとう。イルデフォンソ! 行くぞ」
ガシッとイルデフォンソ殿下を捕まえると、驚く殿下をお構いなく引っ張って行く。
「お待ちを!」
「おい。待て。わかったから、離せ」
騒がしくバビット殿下とイルデフォンソ殿下、その護衛達四人が教室から出て行った。
「魔法とは不思議なものだな。何もない所に火を出すのだから」
一緒に出て行かなかったマルシアール殿下が、レオンス様に向かって言う。
剣など下げているし、魔法になど興味がないのかと思っていたけど、そうでもないのかしらね。
「何もないわけではありませんよ。火種はあります。魔力です」
「なるほど」
「ちなみに、マルシアール様でも魔法は使えますよ」
「ほう。俺には、適正はなかったが」
「ファビアは、無属性です」
「何!?」
驚いて皆が私を見た。
「風と水ではなかったのですか?」
フロール嬢が信じられない様な顔を私に向けた。
「えーと。頑張りマシタ?」
もう厄介だからそう言う事をここで言わないでよね!
「どうですマルシアール様も習ってみては」
「なりません! 陛下に許可もなく、その様な事を」
トリカリト先生が、レオンス様を睨みつけていた。温厚な人だと思ったけど、ちょっと怖いです。
「これは出過ぎた真似を致しました。今のは、聞かなかった事にして頂くとありがたい」
「そうだな。私にはこれがある」
腰に下げた剣にポンと手を置くと、マルシアール殿下は歩き出し、護衛と一緒に教室を出て行った。
もうレオンス様ったら何を言い出すのよ。
魔法学園を敵に回すつもり? いや国かな。もしマルシアール殿下が、同じ方法で魔法を使えてしまったら、魔法測定して属性を調べている意味がなくなるじゃないの。
たぶん、規定値を越えた属性でないと、威力が出ない。それと、持続性もないだけ。発動するだけなら可能だと思う。
まあだからと言って、魔法博士になれる可能性があるかと問われれば、否だけど。
だと言って、これ証明しちゃってはいけないやつだと思うのよね!
魔学の授業が終わり、私達は一緒の馬車で帰宅する。魔学の授業がある時は、一緒に帰る事になった。
そして、タカビーダ侯爵家に寄りケーキを食べるのよ!
にしても、機嫌が悪そうね。隣に座るレオンス様が無言だわ。そんなに、トリカリト先生がに叱られたのが、癪にさわったのかしらね。
――◆――◆――◆――
どういう事だ。30秒も魔法を持続させた。才能云々ではない。これが、凄い火を放ったならわかるが。
彼女が出した火は、威力はないものの一定だった。
俺達だって、魔力を一定に保つ訓練をして出来るようになった。つまり、魔法は扱えるって事だ。
魔法を習いたいと言ったというが、王子達に近づく為か? 子爵家の令嬢でありながら王都の学園に入り、実力で優良クラスになった。
けどファビアもそうだが、子爵家の勉強だけではまず無理だ。
本家のルナイリー侯爵家が、目を掛けているという情報はない。
だが、ルナイリー侯爵家には、あのガムン公爵の姉が嫁いでいる。
王子達に近づく為に、彼女を優良クラスに潜入させたのか? しかし、令嬢より令息の方がいいだろう。同じ年の傍系はいる。
わからないな。フロール嬢を調べてみる必要があるようだ。
はぁ。本当に面倒くさい。俺が、侯爵家に生まれなければ。伯爵家ぐらいが丁度よかったのに。
いやそれより、あいつめ! ファビアの手を握りやがって!
「ファビア、手を貸せ」
「え? 手? 何? 何かするの?」
「そうじゃなく。手を拭く」
「はい!? ちょっと痛いのだけど!」
俺は、ごしごしとファビアの両手を拭いた。
「もう、何をするのよ!」
「いたぁ」
ハンカチを持った手の甲をつねられた。拭いたぐらいでつねるなよな!
246
あなたにおすすめの小説
婚約者が最凶すぎて困っています
白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。
そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。
最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。
*幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。
*不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。
*作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。
*カクヨム。小説家になろうにも投稿。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。
ぽんぽこ狸
恋愛
レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。
その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。
ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。
しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。
それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。
彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち
せいめ
恋愛
侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。
病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。
また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。
「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」
無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。
そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。
生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。
マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。
「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」
三度目の人生はどうなる⁈
まずはアンネマリー編から。
誤字脱字、お許しください。
素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる