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第二話

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 私は、黒い犬を連れて帰り手当てをして差し上げました。
 その間、クーンともワンとも鳴かずに大人しくしております。
 子犬ですが、元の場所に戻しても大丈夫でしょうか?

 私のお膝に乗せ、私のブラシですがブラッシングをして差し上げますと、気持ちよさそうです。
 ごめんなさいね。私、眠くなってまいりました。
 ちょっとだけ仮眠をさせて頂きます。

 「起きたら森へ帰すから大人しく待っていてね。クロちゃん」

 名前がわからないので、勝手に呼ぶと私の布団へと入って来た。

 「まあ、甘えん坊さんね。では、一緒に寝ましょうか」

 こうして、ぐっすりと寝てしまったのです――。


 ◇◇


 「あぁ、もう夕方ではありませんか!」

 何も食べずに、ぐっすりとたっぷりと寝てしまいましたわ。
 クロには、何を刺し上げれば宜しいかしら?

 「お腹が空いたわよね? ミルクよ。ちょっぴりでごめんなさいね」

 私のミルクだけど差し上げると、おいしそうに飲んでおります。
 よかったわ。食欲はあるようです。

 「口の周りが……」

 ミルクで濡れてしまったので拭いてあげた。

 「よし、行きましょうか」

 森まで行くと、もう陽が落ちそうで薄暗い。

 「クロ。これをあげますからここにいるのですよ」

 パンを地面に置いて私は、そっと離れようとするもパンには見向きもせずに、クロは私についてくる。

 「お願いだからここに居て。ちゃんとお迎えが来るわ。もし、帰りにあなたがまだ居たらまた連れて帰って差し上げますからね」

 撫でながら言うと、その手をペロッとなめた。
 わかったって合図かしら?
 今度は、ついてこなかった。わかってくれた様ね。
 どちらにしても仕事場に連れて行く訳にはいきませんものね。


 ◇◇


 帰りに森へ行くもクロの姿は見えない。

 「ちゃんと飼い主の元へ戻ったのなら宜しいのですが……」

 ガサ。

 「クロ!?」

 振り向けば、人が立っていた!
 しまった! 見つかってしまいましたわ!

 「もしや、あなたが……」

 私は、猛ダッシュで走り出す。
 どうしましょう。彼は、それなりの身分の方ですわ。
 私だとばれたらいい笑いものです。
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