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第64話》質素な部屋でした

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 何もない部屋へワープ。

 「え? ここがギルドの部屋?」

 驚いたように、辺りを見渡してリラさんが言った。
 いや一つだけあった。四角いテーブルがぽつんとひとつ。近づいてみると、テーブルの上には地図が表示されていた。
 テーブルに近づくと、地図がポーッと光る。

 「これ、ここら辺の地図みたいね」

 リラさんが、見て言った。

 「あ、凄いよ、エット! ギルドナンバー1111だって! ぞろ目だよ!」

 「あら本当。縁起いいわね」

 ママルさんの言葉に、ミチさんが頷きながら言う。
 ギルド名はもう、このままでいいんじゃないか?
 地図の横に、ギルド名が書いてあった。そして、ギルドポイントもって……65ポイント!?

 「なぜに65ポイントになっている?」

 『はい。マスターは10ポイントすでにお持ちでした。残りの55ポイントは、リラが持っていたかと思われます』

 俺が呟くと、ナビが答えてくれた。
 どうやらトーナメントでもらったポイントだったようだ。って、リラさん55ポイントも稼いでいたんだ。

 『マスターは、ポイントを10ポイント以上稼いでいますので、倉庫を使えます。重量は10までです。10ポイントごとに、使用出来る重量が増えて行きます。ダンジョンポイントを変換しても可能です』

 「あ、そういう仕組み」

 「仕組み?」

 ママルさんが、首を傾げた。

 「ギルドには倉庫があるらしいんだけど、個人で10ポイントを稼がないとダメみたい。それではじめて使える様になる。俺とリラさんは、トーナメントで稼いであったからすでに使える状態」

 「ええ! いいなぁ」

 「詳しくは、このテーブルで確認できるみたいよ」

 リラさんもナビに聞いたらしく、ママルさん達に説明してくれた。

 「へえ。見てみる」

 「私も」

 「じゃ、俺も」

 「……私も」

 ママルさんに続き、ミチさん、俺、結局リラさんもギルドの説明を詳しく読む事にした。凄く静かになった……。

 倉庫は、ギルドレベルが上がると、フリーで重量10使える様になるらしい。これはギルドマスターが、振り分け設定する事も可能。
 また、ギルドコインの使い道もギルドマスターに権限がある。

 ギルド魔法は、1レベルに1つ増えて行くみたいだが、使用するのにはギルドコインが必要だ。2レベルで覚えるのは、脱出魔法陣。ギルドコイン10必要なので、全部使い切る事になる。
 でも2レベルになったら覚えよう。

 部屋の飾りつけもギルドコインで出来るようだ。だからこんなにがらんとしているのか。

 ステータスは、1ギルドコインで1上げられる。振れるのは、体力、攻撃力、防御力、魔防御、素早さの中から。体力はHPと同じだけど、魔力は上げるなら10一気に上げた方がいいかな? そうしたらMPも1上がる。俺には必要が無いから違うのがいいけどな。

 「大体読んだわ」

 「私も。私、ステータス上げるなら素早さがいいなぁ~」

 「そうね。私も弓攻撃だし。そうしてもらえるとありがたいわ」

 「うん。そうだね」

 「その前に、脱出魔法陣でしょう? どうせだからあなたたち、20ポイントずつダンジョンポイント振り分けちゃいなさいよ。そうすれば2レベルになるわ」

 リラさんの提案に、ママルさんとミチさんは顔を見合わせている。

 「そうね。倉庫もほしいし」

 「じゃ、20ポイント入れる!」

 ミチさんとママルさんが20ポイントずつ入れてくれた。お蔭でポイントは105ポイントになった!

 ――ギルドレベルが2レベルになりました。
 ――ギルドコインが10増えて、10になりました。

 「えーと、じゃ脱出魔法陣を覚えるね」

 俺がそう言うと、三人は頷いた。

 ――脱出魔法陣を覚えました。
 ――ギルドコインを10使用して、0になりました。

 これで、ダンジョンからここに戻ってこれるわけだ。

 テーブルには、倉庫数が書かれている。
 フリー 10個
 エット 10個
 ママル 20個
 ミチ  20個
 リラ  50個

 俺には必要ないので、自分のをフリーにしておいた。自分の分は、フリー設定に出来る。ただし一度フリーにすると、ギルマスである俺が変更しないと元には戻らないけどな。

 「それにしても椅子ぐらいはほしいわね」

 リラさんが、がらんとしたした部屋を眺め言った。嫌な予感がする。

 「そうね。椅子に座りたいわよね」

 ミチさんもリラさんの意見に賛成のようだ。しきりに頷いている。

 「でもポイントがないよ」

 ママルさんが、必要ポイントを指差して行った。NEXT95ポイントになっている。

 「エット、ポイント入れるから部屋の飾りつけしていいわよね?」

 リラさんが、聞いて来た。ママルさんもミチさんも、したいと目で訴えている。俺は、頷くしかなかった。
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