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第二十八話
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「なるほどね。カーリア様が二人の魔法を解いたのね?」
「まだわからないのか? 僕は本当は魔法を使えるんだよ。君より優秀って事だ!」
「嘘を言わないで! ではユリーナ嬢に魔法が効かないのはなぜなの?」
そう言われて初めて気がついた様で、ジッとマイステリー様は私を見つめた。
「ミャの加護?」
「何よそれ! 認めないわよ! あなたが魔法を使えて、私より上だというの?」
「そうよね。困るわよね。前に実権を握れるなんてそうそうないって言っていたわよね」
「ちょっと何を言い出すのよ!」
慌てているみたいね。あの時は、こんなふうになるなんて思ってもいなかったでしょうからね。
「あら言えばいいと言っていたじゃない。誰も私の言う事を信じないのでしょう? こうも言っていたわよね。表舞台に立つのはマイステリー様。私が裏で操るのって。これを聞いて絶対に阻止しないとと思ったわ! あなたがマイステリー様を愛しているのならまだしも、利用しようとしていたなんて!」
「やっぱりそういう事か。どうやってカーリア姉さんまで騙した!」
「私が知る訳ないでしょう?」
「だよな。それをしたのは、君の父親だろう? 組織ぐるみで乗っ取ろうとした!」
「というか、なぜ使えないフリをしていたの? 意味、わかんないわよ」
「君には話しても理解出来ないと思うけど? でも教えてあげる。姉さんは家を継ぎたがっていた。僕は別にその意思はない。でもヒール持ちなら絶対に僕が後継ぎだからね」
「ヒール持ちですって!!」
やっぱりそういう反応になるわよね。
そういう風に育てられていたら尚更。なぜトップに立とうとしないのかって。
「あり得ないわ。誰も気づかないなんて!」
「まさか、そんな事あるわけないだろう? 姉さんは知っているよ。今回の事で、きっと父さんの耳にも届く! でも君と結婚するよりはいいからね! 僕が魔法を使えれば、彼女と結婚も出来る」
そう言ってマイステリー様は、私を見た。熱のこもった瞳で。まるで本心の様に聞こえるからやめてよ。本気にしちゃうじゃない。
「あなた、ユリーナ嬢と本気で結婚する気でいるの? たとえあなたが魔法が扱えるとわかったとしても、あなたの家に魔法を使えない者を嫁に招き入れるなんてありえないわ!」
「ふん。君に心配してもらわなくても大丈夫さ。それより自分の心配をしたらどう?」
「え?」
「話は聞かせてもらったよ」
「うそ……」
入って来たリゾール殿下と学園長を見て、ルミージュ嬢が愕然としている。
「まさか。今までのは、私の口を割らせる芝居だったの?」
「いいや。ここで宣言させてもらったんだよ。ユリーナ嬢との婚約をね」
「え!?」
それ本気だったの?
でもルミージュ嬢が言った通り、たとえ私の爵位が上だとしてもマイステリー様のご両親は認めてくれなさそうだわ。
「おめでとう。ユリーナ」
お姉様がそっと私にお祝いの言葉を送ってくれた。
「うん……あり……が……とう」
なんだかお姉さまの顔を見たら涙が出て来たわ。
「君は、泣き虫だね」
クスリとマイステリー様が笑った。安堵した表情をしている。
ルミージュ嬢は、連れて行かれた。彼女はどうなるのか?
皇太子の婚約者も魔法で操った事になるから、処罰は免れないわよね。
「まだわからないのか? 僕は本当は魔法を使えるんだよ。君より優秀って事だ!」
「嘘を言わないで! ではユリーナ嬢に魔法が効かないのはなぜなの?」
そう言われて初めて気がついた様で、ジッとマイステリー様は私を見つめた。
「ミャの加護?」
「何よそれ! 認めないわよ! あなたが魔法を使えて、私より上だというの?」
「そうよね。困るわよね。前に実権を握れるなんてそうそうないって言っていたわよね」
「ちょっと何を言い出すのよ!」
慌てているみたいね。あの時は、こんなふうになるなんて思ってもいなかったでしょうからね。
「あら言えばいいと言っていたじゃない。誰も私の言う事を信じないのでしょう? こうも言っていたわよね。表舞台に立つのはマイステリー様。私が裏で操るのって。これを聞いて絶対に阻止しないとと思ったわ! あなたがマイステリー様を愛しているのならまだしも、利用しようとしていたなんて!」
「やっぱりそういう事か。どうやってカーリア姉さんまで騙した!」
「私が知る訳ないでしょう?」
「だよな。それをしたのは、君の父親だろう? 組織ぐるみで乗っ取ろうとした!」
「というか、なぜ使えないフリをしていたの? 意味、わかんないわよ」
「君には話しても理解出来ないと思うけど? でも教えてあげる。姉さんは家を継ぎたがっていた。僕は別にその意思はない。でもヒール持ちなら絶対に僕が後継ぎだからね」
「ヒール持ちですって!!」
やっぱりそういう反応になるわよね。
そういう風に育てられていたら尚更。なぜトップに立とうとしないのかって。
「あり得ないわ。誰も気づかないなんて!」
「まさか、そんな事あるわけないだろう? 姉さんは知っているよ。今回の事で、きっと父さんの耳にも届く! でも君と結婚するよりはいいからね! 僕が魔法を使えれば、彼女と結婚も出来る」
そう言ってマイステリー様は、私を見た。熱のこもった瞳で。まるで本心の様に聞こえるからやめてよ。本気にしちゃうじゃない。
「あなた、ユリーナ嬢と本気で結婚する気でいるの? たとえあなたが魔法が扱えるとわかったとしても、あなたの家に魔法を使えない者を嫁に招き入れるなんてありえないわ!」
「ふん。君に心配してもらわなくても大丈夫さ。それより自分の心配をしたらどう?」
「え?」
「話は聞かせてもらったよ」
「うそ……」
入って来たリゾール殿下と学園長を見て、ルミージュ嬢が愕然としている。
「まさか。今までのは、私の口を割らせる芝居だったの?」
「いいや。ここで宣言させてもらったんだよ。ユリーナ嬢との婚約をね」
「え!?」
それ本気だったの?
でもルミージュ嬢が言った通り、たとえ私の爵位が上だとしてもマイステリー様のご両親は認めてくれなさそうだわ。
「おめでとう。ユリーナ」
お姉様がそっと私にお祝いの言葉を送ってくれた。
「うん……あり……が……とう」
なんだかお姉さまの顔を見たら涙が出て来たわ。
「君は、泣き虫だね」
クスリとマイステリー様が笑った。安堵した表情をしている。
ルミージュ嬢は、連れて行かれた。彼女はどうなるのか?
皇太子の婚約者も魔法で操った事になるから、処罰は免れないわよね。
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