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第三十二話

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 はぁ……昨日は大変な目に遭いましたわ。お蔭でまた寝不足です。
 って、どういう顔でマイステリー様にお会いすれば宜しいのでしょうか?

 「おはよう。ユリーナ嬢」
 「お、おはようございます……」

 きゃぁ! マイステリー様だわ。 よく噛まずに言えました、私!

 「昨日もしかして眠れなかった?」
 「え?」
 「ごめん。父上の事だから言い出すだろうと思って……いわゆる掛けというか。嬉しかった。ありがとう」

 ちょっと頬を染めて言うとささっと、教室へ入って行った。
 嬉しかったですか。私もです。マイステリー様。
 という事は、リボンにあれを書いた時には私に好意を寄せていたって事よね?
 カーっと顔が熱くなる。

 この日から私は、魔法の補習授業と家での魔法のお勉強となりました。
 マイステリー様のお父様からは、カーリア様の事もあるので一か月の猶予しかもらえませんでした。

 ところで何か大切な事を忘れている様な気がするのですが……。うーん。あ! そうでしたわ。池の魔法暴発!
 お姉様に聞かなくては、どうなったのでしょうか?

 「お姉様、宜しいですか?」
 「どうぞ。どうなさいました? 勉強の事ですか?」
 「いえ。池の事です」
 「それならリゾール様が、お調べになっておりますわ。丁度よく立入禁止になっているので、捗ると言っておりました。どうやらカーリア様が言った通り、魔力がこもった池のようですわ。ただちょっと深いので、水を抜いて調べるかどうか検討中だそうよ」
 「そうですか」

 私の様に忘れているわけではなかったようで、安心です。

 「あのお姉様。封印の魔法と言うのは、素質がないと出来ない魔法なのでしょうか?」
 「リゾール様のお話ですと、普通は素質が必要ですが、魔法陣でも出来ない事はないそうです。ですが、池は大きすぎるので魔法陣を描いて封印するのは難しいそうよ。ですので、魔力を分散させるのが一番だと言っておりましたわね」

 と言う事は、水晶を池から取り出すって事かしら?
 だとしたら、深いから水を抜かないと底から取り出せませんね。でもやはり、もしもの事を考えて、マイステリー様の封印も引き出した方がいいかもしれません。

 「そうでした。ルミージュ嬢ですが、退学になりました。それにしても彼女も被害者なのかもしれませんね。それこそ親による洗脳。事を起こす前に気づいて差し上げられなかったのが残念です」
 「ごめんなさい。お姉様に相談さえしていれば……」
 「ううん。仕方がなかったのよ」

 もし知った時にすぐに相談していたら信じて下さったのかしら? 直接お父様とかに話せば、信じて頂けたかもしれませんわね。
 そう言えばあの池に、私も水晶を投げ入れてしまいましたわ。私にも魔力があるならば、魔力を追加してしまった事になるのね。
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