僕の人生はダイスに握られています

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
2 / 8
取引した結果

002

しおりを挟む
 どうして僕がこんな事になっているかというと、ちょっと前にこの悪魔と取引したからなんだ――。


 ――ダイキくん。

 うん? 僕を呼ぶのは誰?

 ふと目を開けた。いや意識が覚醒したら目の前に僕好みの可愛い人が!
 当然、僕は硬直する。

 ――覚えてる? あなたが最後に願った事を

 最後……あ!
 僕は、辺りを見渡した。
 何もない真っ暗闇。そこに薄っすらと見える女性。

 もしかしてあなたは、神様? いや女神様!?

 ――残念ながら違うわ。そうねぇ……あなた達の世界で言えば真逆かな? クスクス

 真逆? 悪魔とか?

 ――そうそう!

 嬉しそうに目の前の女性、いや悪魔は微笑んだ。

 ――最後に願った願いを叶えてあげましょうか?

 最後に願った事?
 そうだ、僕は自ら命を絶った。彼らを呪って……。

 ――そうそう。いじめていた彼らを絶対に許さない。呪ってやるって。私ならそれをできるわ。やり返してあげる。苦しめて苦しめて、最後には……。

 殺すの?

 ――うふふふ。そうよ。私が彼らの魂を食べてあげる。そうすれば、その魂は消滅するの。どう? あなたが願えばできるのよ。

 ……魂って、悪魔だからほしいって事? というか、お願いした僕の魂も食べるの?

 ――うふふ。わかるでしょう? あなたは神に拾ってもらえなかったの。いいじゃない。転生したいわけじゃないでしょう? 彼らに復讐をしたいのよね? 見て、あなたが死んで悲しんでいるわ。

 お母さん! お父さん!
 泣き崩れている二人が見えた。悪魔が見せてくれたんだ。
 僕はなんて馬鹿な事をしたんだろう。二人が喜んでくれた学校を辞めたくなくてがまんして、結局……二人を悲しませてしまった。

 ありがとう。見せてくれて。

 ――うふふ。では、願って。それで私は力を得られる。もちろん代償はあなたの魂。

 ……二度も間違いをしないよ。彼らの命を奪っても、復讐をしても、両親は喜ばない!

 ――え!?

 普通の魂は、どうなるの?

 ――うふふ。普通は、同じ世界で転生を繰り返す。もちろん、人間とはかぎらないけどね。だけど私の場所へ来た者は、同じ世界へは転生できないわ。ね、だったら、ほら……

  それって違う世界になら転生可能って事?

 ――は? 何、あなた、憎みながら死んだのにまだ生きていたいっていうの?

 神様に拾われた人は、異世界に転生しているって言うような含み方で言っていたよね? 神様や女神さまができてもさすがに悪魔にはできないか。奪う専門だもんね。

 ――何を言う。取引をすればなんでも可能よ。あなたを勇者にだってできるわ。神は、転生者を実際は勇者などにしないわ。世界のバランスを保つために魂を移動させるだけ。

 ふーん。結局、向こうで殺すつもりなんでしょう?

 ――それができれば、ここでやっているわよ。

 ………。
 だったら取引しようよ。
 そうだなぁ。僕が異世界でダイスを100億回振り終わったら魂をあげるよ。だけどその前に死んだら僕の魂はあげないよ! どう? この取引。

 ――面白い事を言うのね。いいわ。ゲームの始まりよ。うふふ。必ずその魂いただくわ。

 その言葉を最後に、僕は気づけば見知らぬ場所にいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

処理中です...