【完結】大きな声では言えないが俺が魔王だ!

すみ 小桜(sumitan)

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第四章 立場逆転!?眷属に弟子入り!

第二六話

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 森から戻った俺は、冒険者ギルドに向かっていた。
 お金がないからクエストをして、稼がなくてはいけなかった事を思い出したからだ。
 塔でも稼げるようだが一〇レベルからだし、まあ塔の事は一〇レベル過ぎたら考えよう。後一つだけど……。

 俺は冒険者ギルドの掲示板を眺めた。
 クエストはオオカミンにしようと思っている。ダウと一緒に戦えば、数が多くても何とかなるのではないかと思ったからだ。だけど、数が半端ないな。最低でも一〇体からなんだが……。

 『なあ、ピピ。オオカミンを受けようと思うんだけど、何体までならダウと一緒にいけるとおもう?』

 『そうですね。範囲攻撃もなく戦闘技術も乏しいので、一番少ない一〇体でも大変かと思いますが……』

 今回は辛口だなピピ。戦闘技術か。確かにただ切るだけだし、どけるのも下手。魔法の扱いも下手。……言われて当然か。

 敵の強さを一つ下げてみるか。えっと、これか? チワワン! 名前から推測できる通り、チワワみたいなカワイイモンスターだ。
 見た目が可愛くて攻撃すると、心が痛むんだよなぁ。どうしようかな……。

 ツンツン。背中を突かれたようだ。
 振り向くとルミさんがいた。

 「おう。ルミさん」

 「ねえ、もしかしてクエスト受けるの? 一人探していたんだよね。一緒にどう?」

 ルミさんの横に居る人物を見た。彼女と同じ鬼人だ。ピンクの髪をツインテールにしている。冒険者の服もピンク。

 「えっと、何倒しに行くんだ?」

 「オオカミンだよ。数は一〇体。初めて倒しに行くんだけど……」

 さてどうしよう。一人三体なら大丈夫か?

 『ピピどう思う?』

 『そうですね。彼女達のレベルによるのではないでしょうか?』

 レベルか……。

 俺はメル友でルミさんのレベルを確認すると八レベルだった。これクエストだけで上げているんだったら凄いな。数こなしてるよな。オオカミン初めてみたいだし。

 『ルミさんは八レベルだ』

 『だったら大丈夫でしょう。もし危なさそうだったら回復して差し上げればHPは全回復するはずですし』

 確かに。三〇〇回復するはずだからな。でもそれ、チートなんだよな……。まあいっか。

 「俺もちょうどオオカミンどうかなって思っていたんだ。でも数が多いし。加えてもらえるならお願いしようかな」

 「よかったぁ。彼女は、モモって言うの」

 「モモです。宜しくお願いします」

 「あ、俺はキソナ。宜しくな。じゃ受けて来るよ」

 俺は二人にそう言って、掲示板のクエスト見た。
 場所は双子の丘。オオカミン一〇体。報酬は九〇〇T。予約者はルミとモモ。これだな。……適正レベル十三って。俺達、凄い強いモンスターを倒しに行ったんだな。そりゃ一気に上がるわな。この適正だって、チート込みのだよな。

 クエストを請け負い、ルミさん達の元に戻りパーティーを組んだ。
 俺はモモさんのステータスを確認する。


 名前:モモ
 種族:鬼人
 性別:女性
 年齢:見た目一〇代
 職業:冒険者
 レベル:八
 HP:一六〇
 MP:二〇
 攻撃:四五
 防御:二五
 補正:なし
 所得スキル:回転
 取得魔法:なし
 貢献:なし
 二つ名:なし
 経験値:一一、九八〇
 その他:なし


 二人共同じレベルだったので、二人のステータスを見比べるが差はない。種族よって固定って事だな。
 ルミさんは攻撃力の半分が補正としてプラスされていた。
 怪力って攻撃力の半分をプラスだったのか。前の時は値が小さすぎてわからなかったけど。

 モモさんの回転ってなんだろう。まあ、表スキルだし普通に使えるヤツだよなきっと。それじゃ、モモさんの裏も見せてもらいます。
 ――裏ステータス!


 名前:モモ
 種族:鬼人
 性別:女性
 年齢:二六歳
 職業:冒険者
 レベル:八
 HP:一六〇
 MP:二〇
 攻撃:四五
 防御:二五
 補正:なし
 所得スキル:回転 HP吸収 逃げ足
 取得魔法:なし
 貢献:なし
 二つ名:なし
 経験値:一一、九八〇
 その他:スキルの目覚め保持者


 逃げ足がある。これ結構早いけど、持続性なかったよな。スキルの目覚めって何だ? 裏だから普通は手に入らないんだよな。または、手に入れづらいって事だよな。HP吸収も凄いな。これ、攻撃当てたら吸収するんだろうか?

 俺、チートらしいのって魔王補正だけだよな。よく考えず選択したから普通のなんだよな。ワープは表のだから比較的手に入れやすい魔法だ。召喚も召喚師にならないと使えないかもしれないが、チートとは言わないよな! 裏にあるのは召喚師じゃないのに持っているからだよな……。

 そう考えると俺の場合って、魔王補正で攻撃とか強くなっているだけで、チートスキルってないじゃん!
 やっぱりもっと考えればよかったかな。でも役には立ってるよな。使ってないのって幻覚ぐらいだよな。いや、あれ、使う場面がないな。

 「キソナさんってなんでHPとMP%表示なんですか?」

 「さあ? 俺もよくわかんないだよね」

 モモさんの質問に、前に答えた様に同じ答えを返した。

 「そうなんだ。色んなスキルが存在するんですね」

 「まあスキルって言うより、補正なんだろうね。だからスキル名とか載ってないからわからないんじゃない? キャラ設定の時には○○補正ってあったと思うよ」

 何故かルミさんが模範のような回答をしてくれた。なるほど、そういう捉え方もあるのか。

 「ワープ持ってるんですね! 帰りワープで帰ってみたいです!」

 「いいよ。人数多くても消費MP変わらないし」

 「やったー!」

 モモさんは、大喜びだ。こんなんで喜んでもらえるとは。うん。わがまま言っちゃいけないよな。ワープは便利だ!

 こんな事を話しながら歩いていたら目的地の双子の丘に到着した。エンカウントする前にそれぞれ武器を装備した。
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