魔法使いじゃないから!

すみ 小桜(sumitan)

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『レベル2―これはパフォーマンスではない!―』

―4―

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 とうとう部活動紹介をする日が訪れた。全校生徒は体育館に集められ、ステージ上または、ステージ前でスピーチや実際に見せアピールする。
 僕達の出番は最後。トリってどうよ? 目立つ事この上なし! 先生意地悪過ぎる! まあ、新しい部だからかもしれないが……。

 今日は杖を持って来ていた。二人は、凄いとかよく出来ているとか、杖だけで大盛り上がり。何となく、羨ましいよ。

 で、最後から二番目の紹介が今、終わろうとしている。
 そこに……ステージの天井に見たことがある円状の光――魔法陣だ!

 「なんで……!」

 危なく大声を出すところだった。辺りを見渡すも魔法陣が見える人はいない様子。
 やはりというか、ミーラさんが魔法陣の所に姿を現した! ――ここで、何をする気だよ!

 「この世界とリンクする!」

 聞いた事がある台詞!

 「次は、新しい部活、かそう……」

 僕は、フライング気味でステージ上に上がった! いや、終わったのを見計らっていた訳じゃない。こんな所で呼ばれたら! という思いから動いていた!
 体育館はざわめき立った。

 「こんな所で何やろうとしてるんだよ! やめろ!」
 「おぉ」

 っと、後ろから歓声が聞こえる。たぶんパフォーマンスをしていると思っているに違いない。大場と二色さんも打ち合わせと違うが、文句は言わない。むしろ、僕がやる気になってくれたと嬉しそうな笑顔だ。

 「だって、あなたの力が見たいっていうから。ちゃちゃっと杖で宜しくね!」

 ミーラさんは、こっちの迷惑など微塵も考えていない様子で、僕に言った。

 「落ちて!」
 「だから、ちょっと待てって!」

 慌てて叫ぶも遅かった。ボトン! っとそれは落ちて来た。
 今回は一体だけのようだけど、熊みたいなモンスターだ。大きさもそれぐらい。二本足で立っている。

 僕は一歩下がった。――どうすんだよこれ!
 ちらっと後ろを見ると、ジッと全校生徒が僕を見ていた。そりゃそうだ。彼らには、僕しか見えていない。ミーラさんもモンスターも。僕の一人芝居にしか映っていないはず……。――こんな恥ずかしいのもう終わらせる!

 僕は、杖をモンスターに向けた。

 「僕に力を! あのモンスターを倒せ!」

 数えて十回目の台詞じゅもんを言った。
 だが、モンスターは苦しそうに膝を付くと、こちらを睨んだ!

 「え? なんで? ちょっとミーラさん、これどういう事!」
 「どういう事じゃなくて、力が足りてないって事でしょう! 早く攻撃して!」

 ゲームでいうならば、一撃で仕留めきれなかったって事。HPがわからないから何度も攻撃すれって事だよね?

 「あぁ、もう! 僕に力を! あのモンスターを倒せ! どうだ?」

 今回の攻撃でもまだ倒しきれなかったようで、モンスターは突然、僕に向かって走り出した!

 「ぎゃー! 来るな! 止まれ!」
 「「キャー」」

 僕は咄嗟に止まれと叫んでいた。モンスターは止まった。勿論、モンスターの意思で止まったのではなく、魔法で動きを止めたらしい。
 うん? 今、僕以外の悲鳴が聞こえなかった? ――そう思い振り向いた。

 怯えた顔で隣の人に抱きついたり、目を見開いたりしている生徒がいた。――もしかして、モンスターが見えている?!

 どうしてだとモンスターを見ると、怒りで目が赤くなっているようだった。
 ゲームでもある、HPをある程度削ると強くなるアレなのか? ――やばいだろそれ!
 と、突然モンスターは、動き出した。魔法が切れたみたい!

 「げ!」

 咄嗟に僕はステージから飛び降り、手で頭を庇う形で屈んだ。突進してきたモンスターは、ドンッとステージから飛び降りると、ジッと体育館にいる生徒たちを見渡した!

 「きゃー」
 「なんだよあれ!」

 狂暴化したモンスターのせいなのか、見える人が何人かいて、這うように逃げたり、立ち上がってドアに向かう数名の生徒が! 先生達もその行動にびっくりし、生徒を追いかける。そしてなんと! モンスターも追いかけ始めた!

 「来るなー!」
 「来ないで!」

 絶叫が体育館に響いた!
 僕は立ち上がると、無我夢中で杖を振る! 両手で持ち杖を頭上に上げてから振り下ろす!

 「僕に力を! あのモンスターを倒せ!」

 モンスターは、それでやっと消滅した。へなへなと僕はその場に座り込んだ。

 「すごいレベルアップしたわ! 本物だった! これでお咎めなしだわ!」

 僕は後ろからの声に振り向いた。勿論ミーラさんだ。――お咎めなし。僕はまた、彼女の役に立ってしまったようだ。

 「レベルアップって? 本物って何?」
 「杖よ! 杖がレベルアップしたの!」

 僕の問いにミーラさんは、杖を指差し言った。杖に視線を移すも僕には何も変わったようには見えない。――僕じゃなく、杖がレベルUPって……。

 「兎に角、また後でくるね! あーよかった」
 「ちょっと待って! ちゃんと説明を!」

 僕はガバッと立ち上がり振り向くも、彼女は手を振り消え去ってしまった!
 彼女はよかったかもしれないが、僕は全くよくない! 結局彼女にまた振り回されただけだった。――で、どうしようか? この状況……。
 モンスターは消滅したが、まだパニックは収まっていなかった。

 「さすが! 様になってるな!」
 「これが……。魔法使いっ子!」

 この状況で喜んでいるのは、大場と二色さんの二人だけだった。僕は大きなため息をついた。
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