魔法使いじゃないから!

すみ 小桜(sumitan)

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『レベル7―チョコにはご用心!?―』

―4―

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 「さて、あなたの彼女の事だけど」

 生徒会室に連れて来られた僕に振り返って、安達先輩は言った。
 彼女ってもしかして、ミーラさんの事?

 「えっと、ミーラさ……杖野さんの事ですか? 別に彼女じゃないんだけど……」
 「あら、そうなの? そう……」

 って、そこで何で黙るんだ!
 もしかして、ミーラさんが僕の彼女か確かめる為に呼んだのか? それって僕の事を……。
 ドキドキドキ……。

 「まあいいわ。じゃ部長として言っておいてほしいのよ。杖野さんだったかしら? 彼女、誰構わず数日前からチョコをあげているらしいの。お返しは、安いクッキーでいいからって。先生にまでよ? 恋人がいる人にもあげているらしくて、喧嘩になったとかで苦情が殺到していてね……」

 うん? まさかの苦情!? 僕の高まった胸を返せ!
 ていうかそれ、僕に言われても。って、何してるのミーラさん!
 お返しが欲しくて、チョコ渡しまくり?!
 って、何でその苦情がミーラさんじゃなくて、生徒会に?

 「あの……なぜ、生徒会にそんな苦情が?」
 「目安箱に凄い数がね。で、調べて見たら転校生の子だって事で。しかも、彼氏がいるのにという話だったものだから」
 「………」

 知らなかった。僕は、ミーラさんの彼氏という事になっていたのか!!
 っていうか、二色さんは、ミーラさんに何を吹き込んだんだ?
 僕に食べさせる為じゃなかったのかぁ!?

 はぁ……。

 「ご迷惑をお掛けしてすみません。本人に言って……」
 「七生くん!! 大丈夫!?」

 バンっと思いっきりドアを開け、驚く事にミーラさんが乱入してきた!
 僕達は、唖然として彼女を見た。
 あぁ本人の登場だ!

 「ちょっと! ミーラさん! 何、チョコをあげまくってるのさ! 苦情が来てるんだけど!」
 「うん? 苦情? 何で? チョコ貰ったら嬉しいんだよね? しかもお菓子のお返しくれるんだよね?」

 やっぱり二色さんが変な知恵をつけたんだ……。

 「あのね。見境なくあげないの! 好きじゃないんだったら恋人がいる人にあげたら色々面倒だから!」
 「え? どうやって見分けるの?」
 「知るか!!」
 「え~!!」

 こほん。
 何故か安達先輩が、咳ばらいをした。
 で何かを言おうとした時、ミーラさんは凄い言葉を発した!

 「ところで、七生くんが食われるって言われて来たんだけど? 何か食べたの?」

 僕も安達先輩も赤面! 持ち前のお惚けが過ぎる!!
 って、大場の奴、何言ってんだよ!!

 「あ、あなた! 自分はあんな事をしておいて、何を言って!!」
 「もうしゃべるなぁ!!」
 「ふーんだ! いいもんね! チョコ食べちゃえ!!」

 そう言って、ミーラさんは杖を出してそれを振った!!
 僕はギョッとする。多分あれは、魔物を出す杖だ!
 ミーラさんが作った失敗作!

 僕は慌てて辺りを見渡す。
 魔物は現れていない。ホッと胸を撫で下ろす。

 「何、考えてるの!」
 「やっぱり私には、魔物出せないんだ……」

 って、いきなりミーラさんがしょげてしまった。
 本当に杖があっても魔法って使えないものなんだ。
 うん? 何かが頬に触れた。
 振り返れば、安達先輩が僕の頬撫でている。

 「うわぁ!!」

 そして僕をそのまま押し倒し、馬乗りになった!?
 え? これどうなった?
 って、あの杖って失敗作の杖じゃなかったのか!

 「何をしたんだ! え? いない?」

 ミーラさんは、逃げ去っていた!!

 「審くん……」

 まずい。このままだと、く、食われるのか!?
 ていうか、僕が持っている杖は魔物を退治する杖なんだけど!!
 どうする!? ――まずは、杖を試してみるしかない!

 「るすになにする!」

 僕は、胸ポケットに入れてあったペン型の杖を手に取り、呪文を叫んだ!
 杖は、本来の大きさに戻る。
 えっと、取りあえずは――。

 「元に戻れ! 浄化! 消滅! 悪霊退散! 後は……」
 「ちょっと何をします!」

 僕は杖で軽く安達先輩を叩きながら、思いつく言葉を言った。どの言葉が効いたかわからないけど安達先輩は、元に戻ったみたい。
 一安心……。

 「おーい。帰るぞ。って、マジか……」

 うん? 大場?

 「え? きゃー!!」

 きゃーって! 僕の上で悲鳴をあげられても!!

 もう後は大変だった!
 安達先輩は泣くし、ミーラさんはむくれるし。
 大場と二色さんは、好奇心むき出し!

 安達先輩に、なんて説明したらいいのかわからないから、僕が謝り倒す形になった!
 なんで僕が、こんな目に合わないといけないんだ!

 そして、ヘロヘロになって、下校する事になるのだった――。
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