上 下
75 / 116

第74話~今回は粉々に!

しおりを挟む
 私達は、魔法瓶の所に到着すると、ブルーシートをはがした。
 ちゃんと、朽ちた杭と一緒にありました。
 途中で雨が降って来て、前に見に来た時も雨が降っていたから変な感じです。
 私達はテントを張りました。

 今はリアルにすると夜中なので、このまま、またログアウトする事にして、次の日の24日にINする事に。
 本当にテントって便利です!
 そして次の日。私は寝坊をしてしまい、24日の光の刻にINしました。

 「ごめんなさい!」

 「うん。おはよう。大丈夫だよ。それより疲れ取れた?」

 ユージさんは、優しく迎えてくれました。
 いつも待っている時にしている、臼をひく作業をして待っていてくれたみたい。
 私のリュックは、テントの中では装備せず、置いてログアウトしている。
 切りのいいところで、私達はテントを出ました。

 うーんと、私は手を伸ばします。
 何か草原が見えるっていいですね。聖なる草原には、元気に馬が走り回っているのが見えます。

 さて、粘土作りです。
 いつも通り私が、粘土の魔法陣を描いている間に、土と魔石の粉をユージさんが混ぜます。魔法陣が出来上がると、土を置いて粘土の出来上がりです。
 これで蓋を作ります。

 そして今度は、カカヲ鉱石を粉にする為の魔法陣を描きます。これは本来、描いて魔法瓶を乗せるのですが、転写を使う事にします。
 ユージさんが、魔法瓶の周りをぐるっと円で囲い、描いた魔法陣を魔法陣の鏡で転写。
 後は蓋に、魔法陣を描くだけ。
 その間にユージさんは、カカヲ鉱石を魔法瓶に移し替えます。
 用意が出来上がり、蓋を魔法瓶に乗せれば、今回も蓋が高速回転!
 二度目の光景ですが、凄いです。

 魔石を作った時と同じで蓋が消滅して、カカヲ鉱石の粉の出来上がりです。
 魔法瓶の半分も粉はないですが、これを巾着に入れるのは大変そうです。
 触ってみると、サラサラの粉です。

 そこで、小さなスコップを作る事にしました。
 早速粘土を作る為に私が魔法陣を描き、ユージさんが土に魔石の粉を混ぜる。それを魔法陣に乗せて、粘土の出来上がり。
 今度はそれをユージさんが、スコップの形にしていきます。
 私は、窯の魔法陣を二つ描きます。そして、作ったスコップをそれぞれ置いて、五分後にスコップの出来上がりです。

 うん。形は私が知っているスコップの様に出来てます! ユージさん、凄いです。でも、真っ白なので変な感じです。
 今度、色を付けるペンキみたいのを本で探して、色をつけようかな。なんて考えちゃいました。

「なんか僕が作っておいてなんだけど、アートみたいだね。使う物じゃなくて飾って置く物みたいな」

 ユージさんの言葉に私は頷きました。
 私はビンの中に入って、ユージさんは外からすくって、カカヲ鉱石の粉を袋につめていきます。
 何だか砂遊びをしている気分です。そして、上から視線を感じます。
 チラッと見たら、ユージさんと目が合いました。

 「凄く似合ってる」

 「………」

 似合ってるって……。
 幼稚園児が砂遊びのような? そういう意味なのでしょうか?
 見た目はもう少し上なので、小学生? でも中身は、大人なんですけど!
 こうして、砂遊び……じゃなかった、作業は一時間程で終わった。

 その後、ワープマーカーを使って畑まで戻った。
 先に畑に入ったユージさんが屈んで、土を触って頷く。

 「うん。これなら大丈夫!」

 「本当? すごい……きゃー!!」

 私は屈もうとして、あるものを見て驚き、立ち上がったユージさんに抱き着いた! いや、ダイブ? した。

 「うわぁ!」

 ユージさんはそのまま、仰向けにひっくり返る。そのユージさんの上に私は、丸くなり乗っかっていた!
 畑には、あれミミズがいたんです! 凄い大量にうようよと……。

 「あぁ。ミミズかぁ。まあ、もとからダメじゃなくても、この量はだね。大丈夫?」

 ユージさんは、私が何に驚いたかわかったみたいで、そう言って顔だけ上げて私に聞くも、ブンブンと私は首を横に振った。

 「そっか。じゃ、今回は全部僕がするから任せて」

 そう言うとユージさんは、私を抱きかかえたまま立ち上がった。そして、畑の柵の向こう側に私を下ろす。

 「でも……」

 「こういう時じゃないと、僕が活躍する場がないからね! 任せて!」

 「うん。ありがとう!!」

 私は頷いた。
 そう言えばユージさんは、農夫だった。
 ユージさんは、粉にしたカカヲ鉱石を畑に敷き詰め始めた。
しおりを挟む

処理中です...