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第2話
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――シオミ。
――シオミ、起きろ。この寝坊助め。
うん? あれ? 夢?
「おはよう。リバークちゃん」
『誰がちゃんだ』
「あ、ごめん。リバークに会った時の夢を見ていた。あの時は、女の子だと思ったからね」
『はぁ……。いいから早くしたくしろ。儀式に行く馬車に乗り遅れるぞ。待ちに待った聖女の儀式だろうが』
そうだった。
ここザーグル国では、聖女の目覚めという儀式がある。聖女として生まれた者の能力を目覚めさせる儀式だ。
15歳の少女は、全員受ける事になっている。
「でも本当に私が聖女なの?」
『間違いない。精霊の私が感じたのだからな』
「これで動物たちを保護してもらえるね」
聖女の力、それは聖なる結界だ。それで国の街などを守っている。と言ってもそれは、前聖女の力。そろそろ効力が切れるらしい。
他国では、専門の者が狂暴化した動物退治を行っているが、このザーグル国は訓練を受けた兵士が蹴散らしている。結界があるので、街などには入ってこないのだ。移動の時も祈りの宝玉というアイテムで、動物を遠ざけていた。
一番安全な国として知られている。
『だといいがな』
「聖女の言う事を聞いてくれるんだよね?」
『森まで結界を張りたいという願いを受け入れてくれるかはわからん』
「絶対にうんって言わせるもん」
言葉を交わしながらも身支度をしていた。
とんとんとん。
「はい」
「よかった。起きていたかい。リリアンナはもう準備が終わっているよ」
「ごめんなさい。すぐ行きます!」
あの日、シオミを探していたのはリリアンナの両親だった。シオミの母親とリリアンナの父親は兄妹だ。シオミは小さいので記憶にないが、狂暴化した動物に襲われシオミは森へと逃げ込んだ。
普通なら結界がないが、迷いの森と呼ばれていたあの森は結界が施されており、狂暴化した動物から逃れることができたのだった。両親を亡くしたシオミは、リリアンナの家に引き取られ、同じ歳のリリアンナと一緒に育ててもらったのだ。
「お待たせしました」
『………』
居間にいたリリアンナが振り向いた。彼女は、ドレスアップしていた。
薄いピンクのふわっふわのワンピース。それより濃いピンクのショールを羽織り、ブルーの長い髪は、綺麗な髪飾りで耳の上辺りで留めてある。靴も少しヒールがあるピンク色。ピンクで統一してあった。
一方シオミは、紺のボトムにベスト。グレーのシャツに革靴。そして、リバークが変化した猫耳付き黒い帽子。今は髪も短く、男の子に見える。
この身なりは、リリアンナの要望だ。彼女より背が高く端正な顔立ちだからボーイッシュの方が似合うという理由からだった。
「まあ、とっても似合っているわ」
リリアンナが、シオミに掛けた言葉だ。
『確かに似合ってはいるが、聖女の儀式に行く格好ではないような……』
「いいのよ、これでも。これで聖女かどうか決まるわけじゃないんだから」
ぼそりとそう返した。
「おばさん、そしてリリアンナ。今日までありがとうございました」
深々とシオミはお辞儀をした。
聖女の儀式までお世話になるという事になっていた。儀式を受けた者は、大人として認められるからだ。居てもいいと言われていたけど、聖女になるのが確定しているので、シオミは大丈夫ですと告げていたのだった。
――シオミ、起きろ。この寝坊助め。
うん? あれ? 夢?
「おはよう。リバークちゃん」
『誰がちゃんだ』
「あ、ごめん。リバークに会った時の夢を見ていた。あの時は、女の子だと思ったからね」
『はぁ……。いいから早くしたくしろ。儀式に行く馬車に乗り遅れるぞ。待ちに待った聖女の儀式だろうが』
そうだった。
ここザーグル国では、聖女の目覚めという儀式がある。聖女として生まれた者の能力を目覚めさせる儀式だ。
15歳の少女は、全員受ける事になっている。
「でも本当に私が聖女なの?」
『間違いない。精霊の私が感じたのだからな』
「これで動物たちを保護してもらえるね」
聖女の力、それは聖なる結界だ。それで国の街などを守っている。と言ってもそれは、前聖女の力。そろそろ効力が切れるらしい。
他国では、専門の者が狂暴化した動物退治を行っているが、このザーグル国は訓練を受けた兵士が蹴散らしている。結界があるので、街などには入ってこないのだ。移動の時も祈りの宝玉というアイテムで、動物を遠ざけていた。
一番安全な国として知られている。
『だといいがな』
「聖女の言う事を聞いてくれるんだよね?」
『森まで結界を張りたいという願いを受け入れてくれるかはわからん』
「絶対にうんって言わせるもん」
言葉を交わしながらも身支度をしていた。
とんとんとん。
「はい」
「よかった。起きていたかい。リリアンナはもう準備が終わっているよ」
「ごめんなさい。すぐ行きます!」
あの日、シオミを探していたのはリリアンナの両親だった。シオミの母親とリリアンナの父親は兄妹だ。シオミは小さいので記憶にないが、狂暴化した動物に襲われシオミは森へと逃げ込んだ。
普通なら結界がないが、迷いの森と呼ばれていたあの森は結界が施されており、狂暴化した動物から逃れることができたのだった。両親を亡くしたシオミは、リリアンナの家に引き取られ、同じ歳のリリアンナと一緒に育ててもらったのだ。
「お待たせしました」
『………』
居間にいたリリアンナが振り向いた。彼女は、ドレスアップしていた。
薄いピンクのふわっふわのワンピース。それより濃いピンクのショールを羽織り、ブルーの長い髪は、綺麗な髪飾りで耳の上辺りで留めてある。靴も少しヒールがあるピンク色。ピンクで統一してあった。
一方シオミは、紺のボトムにベスト。グレーのシャツに革靴。そして、リバークが変化した猫耳付き黒い帽子。今は髪も短く、男の子に見える。
この身なりは、リリアンナの要望だ。彼女より背が高く端正な顔立ちだからボーイッシュの方が似合うという理由からだった。
「まあ、とっても似合っているわ」
リリアンナが、シオミに掛けた言葉だ。
『確かに似合ってはいるが、聖女の儀式に行く格好ではないような……』
「いいのよ、これでも。これで聖女かどうか決まるわけじゃないんだから」
ぼそりとそう返した。
「おばさん、そしてリリアンナ。今日までありがとうございました」
深々とシオミはお辞儀をした。
聖女の儀式までお世話になるという事になっていた。儀式を受けた者は、大人として認められるからだ。居てもいいと言われていたけど、聖女になるのが確定しているので、シオミは大丈夫ですと告げていたのだった。
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