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会社編(1)
僕の日常(3)
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翌朝、僕の歓迎会に参加してくださった方々に挨拶をして回った。
「昨日は歓迎会を開いて頂いてありがとうございました」
どの人も昨日とは打って変わって仕事モードに入っており、軽く会話を交わす程度であった。しかし、鈴木さんだけは違った。
「ねぇ、山田くんは年齢=彼女いない歴って聞いたんだけど、それホント?」
「えぇ!?なんですか急に!」
「今朝、リーダーからお願いされたのよ。山田くんに良い出会いを紹介してあげなさいって。それで、本当かどうか本人に一応確認したかった訳」
鈴木さんは腕組みしながら、僕の顔をじっと見つめてくる。
僕は昨夜の話、つまり鈴木さんに相談するようにというリーダーの話は冗談かと思って「わかりました」と回答をしたが、まさか本当に鈴木さんの耳に入るとは思わなかった。
「まぁ、本当ではありますけど、今は特に出会いを求めているわけでは無いですし、僕は1人の生活を楽しんでいますから、今のところは恋愛相談はしないですよ」
僕は鈴木さんに対して言い切った。
すると、鈴木さんは、
「ふ~ん、それで良いんだ。山田くんが困っているなら、独身の女友達でも紹介しようと思ったのに。私、こう見えて顔が広いのよ」
僕は急に彼女ができるかもしれないという興奮を抑えつけるのに必死だった。仮に鈴木さんに紹介を受けたところで、昨夜の飲み会で言われたように、僕には恋愛耐性ができていない。しかも休日の過ごし方もゲームや漫画を読んでばかりでデートに行けるような服すら持っていない。食事もいつも近所のファストフード店か牛丼チェーンで済ませている。今紹介を受けても棒に振るだけだ。そう思った僕は、“今は“鈴木さんの申し出を断ることにした。
「いやー、でも、僕って恋愛体質じゃないので、鈴木さんに紹介されても彼女を幸せにできる自信がないですから。紹介は経験を積んでからというか、もっとその気になってからというか・・・」
すると鈴木さんが突然僕に肩を回してきた。
「ねぇ、山田くん。その恋愛体質じゃないとか、彼女を幸せにできないとか、いつになったら現実を見るの?このままじゃ一生、恋人なんてできっこないわよ?」
しばらく僕は鈴木さんと近い距離で見つめあった状態になり、無言のまま
数秒が経過した時、鈴木さんが口を開いた。
そして、僕の肩から手を離す。
「まぁいいわ。山田くんがその気になったら声を掛けなさいよね。アドバイスでも相談でも紹介でもなんでもしてあげるから。山田くんはダイヤの原石なんだからね?」
僕がダイヤの原石・・・?
僕は鈴木さんが何を言っているのかさっぱり分からなかった。
ただ、これ以上、鈴木さんから彼女に関する話をされることは無かった。
「昨日は歓迎会を開いて頂いてありがとうございました」
どの人も昨日とは打って変わって仕事モードに入っており、軽く会話を交わす程度であった。しかし、鈴木さんだけは違った。
「ねぇ、山田くんは年齢=彼女いない歴って聞いたんだけど、それホント?」
「えぇ!?なんですか急に!」
「今朝、リーダーからお願いされたのよ。山田くんに良い出会いを紹介してあげなさいって。それで、本当かどうか本人に一応確認したかった訳」
鈴木さんは腕組みしながら、僕の顔をじっと見つめてくる。
僕は昨夜の話、つまり鈴木さんに相談するようにというリーダーの話は冗談かと思って「わかりました」と回答をしたが、まさか本当に鈴木さんの耳に入るとは思わなかった。
「まぁ、本当ではありますけど、今は特に出会いを求めているわけでは無いですし、僕は1人の生活を楽しんでいますから、今のところは恋愛相談はしないですよ」
僕は鈴木さんに対して言い切った。
すると、鈴木さんは、
「ふ~ん、それで良いんだ。山田くんが困っているなら、独身の女友達でも紹介しようと思ったのに。私、こう見えて顔が広いのよ」
僕は急に彼女ができるかもしれないという興奮を抑えつけるのに必死だった。仮に鈴木さんに紹介を受けたところで、昨夜の飲み会で言われたように、僕には恋愛耐性ができていない。しかも休日の過ごし方もゲームや漫画を読んでばかりでデートに行けるような服すら持っていない。食事もいつも近所のファストフード店か牛丼チェーンで済ませている。今紹介を受けても棒に振るだけだ。そう思った僕は、“今は“鈴木さんの申し出を断ることにした。
「いやー、でも、僕って恋愛体質じゃないので、鈴木さんに紹介されても彼女を幸せにできる自信がないですから。紹介は経験を積んでからというか、もっとその気になってからというか・・・」
すると鈴木さんが突然僕に肩を回してきた。
「ねぇ、山田くん。その恋愛体質じゃないとか、彼女を幸せにできないとか、いつになったら現実を見るの?このままじゃ一生、恋人なんてできっこないわよ?」
しばらく僕は鈴木さんと近い距離で見つめあった状態になり、無言のまま
数秒が経過した時、鈴木さんが口を開いた。
そして、僕の肩から手を離す。
「まぁいいわ。山田くんがその気になったら声を掛けなさいよね。アドバイスでも相談でも紹介でもなんでもしてあげるから。山田くんはダイヤの原石なんだからね?」
僕がダイヤの原石・・・?
僕は鈴木さんが何を言っているのかさっぱり分からなかった。
ただ、これ以上、鈴木さんから彼女に関する話をされることは無かった。
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