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干渉
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私はアリアさんに廊下掃除を頼まれたので廊下の掃除をしていた。
「案内してもらったけど……やっぱり覚えきれないなぁ……」
ーミオリ……ー
私はどこからか聞き覚えのある声が聞こえた。
とても優しく包み込まれそうな声……。
でもどこか儚げでか細い声だった。
「いまの声……どこから……」
私は前へ進んで行くと地下へ通じる階段を見つけた。
「こんな所あったんだ……。」
階段の奥は真っ暗で何も見えない。
その奥からはとても近寄り難い雰囲気を感じた。
ーミオリ……ー
「……この奥から…声が……。」
私は恐る恐る下へ進んで行く。
真っ暗でとても見えずらい階段を下へ下へと進んでゆくと、目の前に扉が立ちはだかった。
その扉からはとても強い迫力を感じた。
私はゆっくりとドアノブに手を差し伸べる。
「お嬢さん。何をしてるんだい?」
後ろから声をかけられて私は思わずドキッとしてしまった。
「ラハームさん…!」
「おやおや、驚かせてしまったようだね。
だが、この部屋は立ち入り禁止だよ。」
「すみません…。この部屋から声がした気がして…。」
ラハームさんは目を大きくして驚いていた。
「声…。そうか。とにかくここは入ってはいけないよ?分かったね?」
「はい……。」
なんだか悲しげな顔をしてる……。
これ以上は聞けるはずもない。
「それよりお嬢さん、君に渡したい物があるんだ。
ついてきてくれるかい?」
そう言われ着いた先はラハームさんの研究室だった。
そこにはガラス瓶や本や薬のようなものがたくさん置いてあった。
なんだかすごい部屋だなぁ……。
「さぁ、入って入って~」
ラハームさんは私の背中をポンポンと叩き、部屋に招き入れた。
部屋には白い猫が丸くなって眠っていた。
「可愛い……。子猫飼っているんですね」
「あぁ、この猫はマリアだよ」
「えぇ?!マリアさん……?!」
「マリアとアリアは、こっちが本来の姿だからね」
「そうだったんですね……」
元はこんな姿なんだ。可愛いな……。
「マリアはアリアより体力がなくてね、魔力も安定していないんだ。だからこうして僕が魔力を蓄えているんだよ。今は僕の薬の効果で眠っている。」
「大変なんですね……。」
ラハームさんは少し微笑み話を続けた。
「2人はね、捨て猫だったんだ。
捨てられていたところをアランが拾ってね。まぁ、2人は捨て猫だった記憶はあるみたいだけど誰が拾ってくれたかは覚えてないみたいだけどね。」
「どうして、アランさんだってこと言わないんですか?」
「アランに口止めされたんだよ。なんだか照れくさいからって。」
「そうなんですか。」
アランさん、そんな事言うんだ……。
隠し事をするような人ではないと思っていたから少し意外に思った。
「おっと、長話をしてしまったね。
こんなおじさんの話なんて眠くなったんじゃないかい??」
「いえいえ!!そんな事ないです!!」
「ふふ、君は優しいね。
さぁ、そろそろ仕事に戻った方が……ッ!!」
ラハームさんはいきなり目を見開いて怖い顔をした。何か、変な気を感じたようだった。
「ん??どうしたんですか?」
「お嬢さん。来なさい。」
「え?ちょっ……」
ラハームさんは強引に私を部屋に連れ込んだ。
そしてドアを閉め、念話を始めた。
ーみんな、聞こえるかい?なんだか外が騒がしい。変な魔力を感じる。嫌な予感がするんだ。念のため屋敷の周りに結界を張るからみんなは各自部屋に戻っておくれ。ー
ーわかった。ー
ー了解~。ー
ーわかったわ。ー
ーラハーム様。マリアは一緒ですか?ー
ーうん。一緒だよ。だから安心してくれて良い。ー
ーはい。ありがとうございます。ー
「ラハームさん……これは……?」
私は一体何が起こったのか全く理解出来なかった。ラハームさんは険しい顔をしていた。
「なんだ……この魔力は……。どこか馴染み深い気もするけど…、嫌な魔力だ。……ん?待て。ルークは!!」
ーラハーム様!!ルークは外よ!!ー
「何だって?!このままじゃルークが危ない……!!」
「ルークさんが……。ッ!!」
私は立ち上がった表紙にポケットからハンカチが出てきた。
これは……ルークさんの……。
私は突然頭にルークさんが倒れている場面が浮かんだ。
「今の……何?」
今、ルークさんが倒れて……。このままじゃルークさんが危ない!!
私はいても立ってもいられなくなり、ドアへ駆け寄る。
「私、ルークさんの所へ行きます。」
「いけない!お嬢さん!!」
私はラハームさんの声を聞かないまま部屋を飛び出した。
「お嬢さん!!そんな……なぜだ。僕の魔法で鍵は開かないはず……。まずい……!!」
私は出口へ向かい外へ出た。
そこには怪我をしてボロボロになったルークさんが倒れていた。
「ルークさん!!」
私はルークさんの側に駆け寄り、ルークさんに肩を貸した。
「うぅ……、やめろっ……。」
「ひどい怪我……。早く屋敷に戻らないと……!!」
「お、俺に……触るな!!」
ルークさんは私の手を払い除けた。
「ッ!!」
それでも……私が助けないと……!!
「……くそ……、」
ルークさんは思うように身体が動かないようだった。
「ルークさん……。」
ルークさんに触れようとした瞬間、いきなり強い風が吹いた。風が吹いている時、何処からか男の人の声がした。
ー血を捧げよー
私にはどういう意味か分からなかった。
血を……捧げる?
「はっ!ルークさん!早く連れていかないと……」
「くっ……触るな……」
「そんな事言ってる場合じゃありません!!」
私はルークさんを屋敷まで連れていった。
途中でアランと合流し、なんとか部屋に連れていけた。
そして私は、ラハームさんから貰った薬でルークさんの治療をしていた。
「 …………。」
「………………。」
私は傷の部分に薬を塗る。
すると染みたのか、ルークさんが少し声を上げた。
「……ぃって、!」
「あ、ごめんなさい、染みましたか?」
「いや、いい。続けろ。」
「は、はい。」
静寂が続き気まずい雰囲気の中、ルークさんが私に話しかけてきた。
「…………。なぁ。」
「はい。」
「いや、その……、すまない。手間かけさせて。」
「いえ!ルークさんは私を助けてくれた恩人ですから。これくらい当然です!」
私はニコッと笑ってみせる。
するとルークさんは顔を背けてしまった。
「……、恩人って、大げさだろ。」
「そんな事ないですよ!行く宛もない私を助けてくれたんですから。出口が見つかるまで、お屋敷のお仕事頑張ります。それで、ルークさん。」
「ルークで良い。」
私は少し照れくさくて小さい声で名前を呼んだ。
「それじゃあ、ルークくん。」
「呼び捨てで良いっての」
「呼び捨て苦手なんですよ、」
「そうかよ。」
「それで、ルークくん。私もずっとここでお世話になるわけにもいかないですし、昼間に出口を探しに行っても良いですか?昼間なら大丈夫なんですよね?」
「それが、出来なくなった。
昨日の一件で、なぜか朝日が出なくなったんだ。」
「そんな……。」
朝日が出なくなったってことは……街の住人は皆吸血鬼の姿のままってこと……?
「だから、お前は一切外に出るな。」
「それじゃあ、これからどうすれば……」
不安な顔をしていると、ルークくんが真剣な表情で私に告げた。
「お前は何も気にすんな。俺の言う事だけ聞いてろ。」
「は、はい。あ、後1つルークくんに聞きたいことがあるんです。」
「なんだ。」
「さっきルークくんを担ぎあげようとした時に、声がしたんです。」
ー血を捧げよ。ー
ルーク ……!!
この話をした途端、ルークくんは顔色を変えた。
真剣な表情をしていたルークくんの顔が、強ばった表情へと変わった。
「私には意味が分からなくて……。
ルークくんなら何かわかるんじゃないかと思って……。」
「……その事は忘れろ。」
「え?」
「いいから、忘れろ。」
「は、はい。傷の治療終わりました。」
「おう。お前は部屋に戻れ。」
「はい。」
「あ、後 今後俺の側から離れんな。
俺が留守の時はアランの側にいろ。わかったか?」
「え、は、はい。」
一体、どうしてそんな事を言うのだろう……?
私は凄く不思議に思った。
ルークくんは話を終えると部屋を出ていった。
部屋を出るとドアの前にアランさんが立っていた。
「全く、少しは素直になりなさいよねぇ。」
「うるせぇ。アラン。俺が留守の時、アイツを頼む。」
「ええ、わかったわ。」
「アイツが動き出したみたいだからな。今回はもう、あんな思い……。」
「ルーク……。大丈夫よ。」
「…………。」
ルークくんはその場を立ち去った。
そして私は部屋を出た。
「あ、アランさん。」
「ミオリちゃん。ルーク大丈夫そうね。」
「はい。大丈夫です。ラハームさんの薬を塗りましたから、安心して良いかと。」
「そう、良かったわ。ありがとね。」
アランさんは安心したようにニコッと笑った。
ルークくんの事……本当に心配していたんだな。
それにしても、さっきのルークくんは凄く優しく感じた。どうしてだろう。
前はとても怖い顔をして私を見ていたのに。
私はふと疑問に思ったので、アランさんに問いかけてみた。
「あ、あの、ルークくんは私の事どう思ってるのでしょうか?」
「あら、どうして?」
「最初は結構避けられてる感じがしてたんですが、さっきは少し優しく感じました。
嫌われてるんだろうなって思ってたんですが、どうなんでしょうか……?」
「んんー、そうねぇ。」
アランさんは私の顔を見てニコッと笑った。
「きっと、大好きだと思うわよ」
「え?どうして……?」
「ミオリちゃん。ルークってよく出かけるわよね?どこに行ってるんだと思う?」
「いつも買い物に出ているって言ってますが……。」
「そんな毎日買い物なんて行くほど用事なんてないわよ。」
「確かにそうですね……。どこに行ってるんでしょうか……。」
「あの子、出口を探してるのよ。」
「え?!」
ルークくんが……私の為に?
「あの子なりに心配してるのよね。
日差し苦手なのに、毎日探しに行ってるのよ。」
「そうだったんですね……。」
「だから、素直じゃないけど優しい子だから仲良くしてあげてちょうだいね。」
「はい!」
ルークくん……私のこと思ってくれてたんだ。
なんだかんだ言って心配してくれてたなんて……、本当はすごく優しい人なんだな。
私は少し嬉しく思った。
次の日、起きるとコンコンと音がした。
ドアの向こうからマリアさんとアリアさんの声が聞こえた。
「ミオリさん。おはようございますにゃ。」
「ミオリ!おはよー。入っても大丈夫?」
「マリアさん アリアさん。おはようございます。大丈夫ですよ。」
「失礼しますにゃ。」
「今日はミオリに渡したいものがあってね。」
「なんですか??」
マリアさんは手に持っていたメイド服を私に差し出した。
「これ……」
「遅くなってしまってごめんなさい、このお屋敷で働くためのお召し物が足りなかったもので急いで作りましたにゃ。採寸する時間がなかったのでミオリさんの着ている服のサイズに合わせて作ったのですが……。もし合わないようなら作り直すので、着てみてもらえますかにゃ?」
「あ、ありがとう……ございます。少し待っててもらえますか?」
メイド服……。こんな可愛らしい服……私、似合うのかな?すごく恥ずかしい……。そんな事を思いながら私はメイド服を着て自分の部屋へ戻った。
「お待たせしました……。」
2人はすごく明るい表情で、目を輝かせていた。
「いいじゃない!似合ってるわよ!」
「あ、ありがとうございます……。」
「ん?どうしたのよ?」
「サイズ合いませんでしたかにゃ……?」
「あ、いや、サイズは全然問題ないです!ただ、その……。こんな可愛らしい服を私が着て良いのかと……。」
「全然良いと思うけど??実際私達だって着てるんだし。」
「お2人は可愛いし、似合ってるから良いじゃないですかぁー。こんな可愛らしい服男性人に見られたら……特にルークくん……。」
「なんだよその服、全然似合ってねぇ。」
「って絶対言われますよ……。」
はぁ……きっとこんな姿みたら笑われるか蔑まれるよ……。
「大丈夫よ!!ミオリすっごい似合ってるから!!」
「ミオリさん凄く可愛いですにゃ!大丈夫ですよ!」
「そ、そうですか……?そこまで言うなら……。」
はぁ……もう、いいや。笑われたら笑われたで。
私は2人と一緒に大広間に向かった。
すると周りの視線が一気に私へ向かってきたのがわかった。
あぁ、恥ずかしい……。
この姿を見て1番に食いついてきたのはアランさんだった。
「きゃー!!ミオリちゃん!!メイド服すっごく似合ってるわよ~!!!と~っても可愛い!」
「うん!似合ってるよ!ね?ルチア様?」
「あぁ。似合ってる。可愛らしいじゃないか。」
「あ、ありがとうございます。」
良かった……。みんな笑ったりしなかった。
そうだよね。お屋敷の皆は優しいから笑ったりしないか。私はそう考えていると背後から何か鋭い視線を感じた。振り向いてみるとルークくんがこちらを見ていた。
「…………。」
ルークくん……私の事ずっと見てる……。
あぁ、絶対軽蔑してる……。
「あ、あの……。」
「い、いいんじゃねぇの?」
ルークくんは少し顔を赤らめ、そっぽを向いて呟いた。
「え……?」
私が想像してたのと違う。むしろ好印象?
その意外さに驚き、私は固まってしまった。
「なんだよ……。」
「あ、いや、ありがとうございます。」
顔が少し赤い……?
私はルークくんの様子を伺っているとルチア様が声をかけてきた。
「あ、そういえばミオリ。さっきラハームが探していたぞ。」
「ラハームさんが??」
「あぁ。確か、薬がどうとか言ってたな……。」
「あぁ!!返すの忘れてた!!急いで行ってきます!!」
そうだった……。ルークくんに使った薬、まだ返してなかった!私は急いでラハームさんのもとへ向かった。
「失礼します!」
「お嬢さん。ちょうど良いところに来たね。おや?珍しい格好してるねぇ。マリアかとおもったよ。」
「あ、これマリアさんに作ってもらったんです。」
「いいじゃないか。似合ってるよ。」
「ありがとうございます!
それと、この前の薬返すの忘れてて……。
ありがとうございました。」
「あぁ、いいんだよ。何より無事でよかった。
ところでお嬢さん?少し気になることがあるんだが、聞いても良いかな?」
「はい。なんでしょうか?」
「君は、自分の身に疑問を持ったことがあるかい?」
「私に疑問?」
「自分にも理解不能な事が起こったり……。何でも良いんだ。何かあるかな?」
ラハームさん……。何でいきなりそんな事聞いてくるんだろう。でも考えてみたら、前はルークくんが倒れている場面が見えたし……。どういう事なんだろう……?
「んんー、そういえば たまによくわからない場面?風景?みたいなものが見えたりします。」
「それはものに触ったりしている時かい?」
「そう言われれば触ってから見えているような……。」
ラハームさんは少し考えて私にこう告げた。
「ふむ……そうか。君は『干渉』する能力を持っているんだね。」
「『干渉』?ですか?」
『干渉』って、一体どういう事なの……?
「この世界にはねぇ、何かしら自分に能力があるんだよ。ほら、僕は魔術が使えたり マリア達だって猫だったりするだろう?」
「はぁ……。干渉というのは……」
「簡単に言えば、お嬢さんは触ったものの過去や未来が見えたり ほかの魔法と調和出来る力だよ。」
「私にそんな能力が……。」
「僕も不思議に思っていてね、どうして僕の魔法が解けてしまったのか。」
魔法が解けた??なんの事を言ってるんだろう?
「あの、何のことだか私には、」
「お嬢さんがルークの元へ行こうとした時、僕は結界を貼っていたんだよ。だからあの時本当ならドアは開かないはずなんだ。きっとお嬢さんの「干渉」する能力が僕の魔法と調和して、結界が溶けてしまったんだろうね。」
「そうだったんですか……。
勝手なことしてしまってごめんなさい、」
「はは、良いんだよ。
君が助けに行ってなかったらルークは危なかったんだ。でも、もうあんな危ないことをしてはいけないよ。」
ラハームさんは笑って答えてくれた。
「はい……。」
「それにしても、「干渉」する能力だなんて珍しいね。」
「そうなんですか?」
「うん。大体は戦闘系が多いからねぇ。こう言った類の能力は珍しいよ。僕も、お嬢さんのような人には初めて会った。」
「そうなんですね……。」
「珍しい能力なんだ。自分の能力に自信を持ちなさいな。」
そうか……。この能力で、私も何か……誰かの役に立てないかな?立てたら良いな。
あ、そう言えばラハームさん。さっきこの世界の人は何かしらの能力を持っているって言ってたな。と言うことはお屋敷の皆も持っているって言うことだよね?みんなはどんな能力を持っているんだろう?
私は気になったのでラハームさんに聞いてみた。
「はい!ありがとうございました。
あの、ちなみになんですけど、このお屋敷の人達はどんな能力を持ってるんですか?」
「能力というか、化けるって言うのが正解かな。
ただ、僕は化ける能力じゃないね。
僕は自らの魔力で戦うから。」
「知っての通り、マリアとアリアは猫。
ライルはうさぎ。アランは狼。」
「え?!!アランさんって狼なんですか?!」
「おっと、知らなかったのかい?
彼は狼男なんだ。変身したところは見た事ないけどね。噂によると性格が驚く程に変わるらしい。」
「そ、そうなんですね……?」
アランさんの性格が驚くほど変わるって……どうなるんだろう……?ちょっと怖いな。
私は少し苦笑いを浮かべた。
「そして、ルチア様とルークはね……。」
「この国を司る『吸血鬼』」
「案内してもらったけど……やっぱり覚えきれないなぁ……」
ーミオリ……ー
私はどこからか聞き覚えのある声が聞こえた。
とても優しく包み込まれそうな声……。
でもどこか儚げでか細い声だった。
「いまの声……どこから……」
私は前へ進んで行くと地下へ通じる階段を見つけた。
「こんな所あったんだ……。」
階段の奥は真っ暗で何も見えない。
その奥からはとても近寄り難い雰囲気を感じた。
ーミオリ……ー
「……この奥から…声が……。」
私は恐る恐る下へ進んで行く。
真っ暗でとても見えずらい階段を下へ下へと進んでゆくと、目の前に扉が立ちはだかった。
その扉からはとても強い迫力を感じた。
私はゆっくりとドアノブに手を差し伸べる。
「お嬢さん。何をしてるんだい?」
後ろから声をかけられて私は思わずドキッとしてしまった。
「ラハームさん…!」
「おやおや、驚かせてしまったようだね。
だが、この部屋は立ち入り禁止だよ。」
「すみません…。この部屋から声がした気がして…。」
ラハームさんは目を大きくして驚いていた。
「声…。そうか。とにかくここは入ってはいけないよ?分かったね?」
「はい……。」
なんだか悲しげな顔をしてる……。
これ以上は聞けるはずもない。
「それよりお嬢さん、君に渡したい物があるんだ。
ついてきてくれるかい?」
そう言われ着いた先はラハームさんの研究室だった。
そこにはガラス瓶や本や薬のようなものがたくさん置いてあった。
なんだかすごい部屋だなぁ……。
「さぁ、入って入って~」
ラハームさんは私の背中をポンポンと叩き、部屋に招き入れた。
部屋には白い猫が丸くなって眠っていた。
「可愛い……。子猫飼っているんですね」
「あぁ、この猫はマリアだよ」
「えぇ?!マリアさん……?!」
「マリアとアリアは、こっちが本来の姿だからね」
「そうだったんですね……」
元はこんな姿なんだ。可愛いな……。
「マリアはアリアより体力がなくてね、魔力も安定していないんだ。だからこうして僕が魔力を蓄えているんだよ。今は僕の薬の効果で眠っている。」
「大変なんですね……。」
ラハームさんは少し微笑み話を続けた。
「2人はね、捨て猫だったんだ。
捨てられていたところをアランが拾ってね。まぁ、2人は捨て猫だった記憶はあるみたいだけど誰が拾ってくれたかは覚えてないみたいだけどね。」
「どうして、アランさんだってこと言わないんですか?」
「アランに口止めされたんだよ。なんだか照れくさいからって。」
「そうなんですか。」
アランさん、そんな事言うんだ……。
隠し事をするような人ではないと思っていたから少し意外に思った。
「おっと、長話をしてしまったね。
こんなおじさんの話なんて眠くなったんじゃないかい??」
「いえいえ!!そんな事ないです!!」
「ふふ、君は優しいね。
さぁ、そろそろ仕事に戻った方が……ッ!!」
ラハームさんはいきなり目を見開いて怖い顔をした。何か、変な気を感じたようだった。
「ん??どうしたんですか?」
「お嬢さん。来なさい。」
「え?ちょっ……」
ラハームさんは強引に私を部屋に連れ込んだ。
そしてドアを閉め、念話を始めた。
ーみんな、聞こえるかい?なんだか外が騒がしい。変な魔力を感じる。嫌な予感がするんだ。念のため屋敷の周りに結界を張るからみんなは各自部屋に戻っておくれ。ー
ーわかった。ー
ー了解~。ー
ーわかったわ。ー
ーラハーム様。マリアは一緒ですか?ー
ーうん。一緒だよ。だから安心してくれて良い。ー
ーはい。ありがとうございます。ー
「ラハームさん……これは……?」
私は一体何が起こったのか全く理解出来なかった。ラハームさんは険しい顔をしていた。
「なんだ……この魔力は……。どこか馴染み深い気もするけど…、嫌な魔力だ。……ん?待て。ルークは!!」
ーラハーム様!!ルークは外よ!!ー
「何だって?!このままじゃルークが危ない……!!」
「ルークさんが……。ッ!!」
私は立ち上がった表紙にポケットからハンカチが出てきた。
これは……ルークさんの……。
私は突然頭にルークさんが倒れている場面が浮かんだ。
「今の……何?」
今、ルークさんが倒れて……。このままじゃルークさんが危ない!!
私はいても立ってもいられなくなり、ドアへ駆け寄る。
「私、ルークさんの所へ行きます。」
「いけない!お嬢さん!!」
私はラハームさんの声を聞かないまま部屋を飛び出した。
「お嬢さん!!そんな……なぜだ。僕の魔法で鍵は開かないはず……。まずい……!!」
私は出口へ向かい外へ出た。
そこには怪我をしてボロボロになったルークさんが倒れていた。
「ルークさん!!」
私はルークさんの側に駆け寄り、ルークさんに肩を貸した。
「うぅ……、やめろっ……。」
「ひどい怪我……。早く屋敷に戻らないと……!!」
「お、俺に……触るな!!」
ルークさんは私の手を払い除けた。
「ッ!!」
それでも……私が助けないと……!!
「……くそ……、」
ルークさんは思うように身体が動かないようだった。
「ルークさん……。」
ルークさんに触れようとした瞬間、いきなり強い風が吹いた。風が吹いている時、何処からか男の人の声がした。
ー血を捧げよー
私にはどういう意味か分からなかった。
血を……捧げる?
「はっ!ルークさん!早く連れていかないと……」
「くっ……触るな……」
「そんな事言ってる場合じゃありません!!」
私はルークさんを屋敷まで連れていった。
途中でアランと合流し、なんとか部屋に連れていけた。
そして私は、ラハームさんから貰った薬でルークさんの治療をしていた。
「 …………。」
「………………。」
私は傷の部分に薬を塗る。
すると染みたのか、ルークさんが少し声を上げた。
「……ぃって、!」
「あ、ごめんなさい、染みましたか?」
「いや、いい。続けろ。」
「は、はい。」
静寂が続き気まずい雰囲気の中、ルークさんが私に話しかけてきた。
「…………。なぁ。」
「はい。」
「いや、その……、すまない。手間かけさせて。」
「いえ!ルークさんは私を助けてくれた恩人ですから。これくらい当然です!」
私はニコッと笑ってみせる。
するとルークさんは顔を背けてしまった。
「……、恩人って、大げさだろ。」
「そんな事ないですよ!行く宛もない私を助けてくれたんですから。出口が見つかるまで、お屋敷のお仕事頑張ります。それで、ルークさん。」
「ルークで良い。」
私は少し照れくさくて小さい声で名前を呼んだ。
「それじゃあ、ルークくん。」
「呼び捨てで良いっての」
「呼び捨て苦手なんですよ、」
「そうかよ。」
「それで、ルークくん。私もずっとここでお世話になるわけにもいかないですし、昼間に出口を探しに行っても良いですか?昼間なら大丈夫なんですよね?」
「それが、出来なくなった。
昨日の一件で、なぜか朝日が出なくなったんだ。」
「そんな……。」
朝日が出なくなったってことは……街の住人は皆吸血鬼の姿のままってこと……?
「だから、お前は一切外に出るな。」
「それじゃあ、これからどうすれば……」
不安な顔をしていると、ルークくんが真剣な表情で私に告げた。
「お前は何も気にすんな。俺の言う事だけ聞いてろ。」
「は、はい。あ、後1つルークくんに聞きたいことがあるんです。」
「なんだ。」
「さっきルークくんを担ぎあげようとした時に、声がしたんです。」
ー血を捧げよ。ー
ルーク ……!!
この話をした途端、ルークくんは顔色を変えた。
真剣な表情をしていたルークくんの顔が、強ばった表情へと変わった。
「私には意味が分からなくて……。
ルークくんなら何かわかるんじゃないかと思って……。」
「……その事は忘れろ。」
「え?」
「いいから、忘れろ。」
「は、はい。傷の治療終わりました。」
「おう。お前は部屋に戻れ。」
「はい。」
「あ、後 今後俺の側から離れんな。
俺が留守の時はアランの側にいろ。わかったか?」
「え、は、はい。」
一体、どうしてそんな事を言うのだろう……?
私は凄く不思議に思った。
ルークくんは話を終えると部屋を出ていった。
部屋を出るとドアの前にアランさんが立っていた。
「全く、少しは素直になりなさいよねぇ。」
「うるせぇ。アラン。俺が留守の時、アイツを頼む。」
「ええ、わかったわ。」
「アイツが動き出したみたいだからな。今回はもう、あんな思い……。」
「ルーク……。大丈夫よ。」
「…………。」
ルークくんはその場を立ち去った。
そして私は部屋を出た。
「あ、アランさん。」
「ミオリちゃん。ルーク大丈夫そうね。」
「はい。大丈夫です。ラハームさんの薬を塗りましたから、安心して良いかと。」
「そう、良かったわ。ありがとね。」
アランさんは安心したようにニコッと笑った。
ルークくんの事……本当に心配していたんだな。
それにしても、さっきのルークくんは凄く優しく感じた。どうしてだろう。
前はとても怖い顔をして私を見ていたのに。
私はふと疑問に思ったので、アランさんに問いかけてみた。
「あ、あの、ルークくんは私の事どう思ってるのでしょうか?」
「あら、どうして?」
「最初は結構避けられてる感じがしてたんですが、さっきは少し優しく感じました。
嫌われてるんだろうなって思ってたんですが、どうなんでしょうか……?」
「んんー、そうねぇ。」
アランさんは私の顔を見てニコッと笑った。
「きっと、大好きだと思うわよ」
「え?どうして……?」
「ミオリちゃん。ルークってよく出かけるわよね?どこに行ってるんだと思う?」
「いつも買い物に出ているって言ってますが……。」
「そんな毎日買い物なんて行くほど用事なんてないわよ。」
「確かにそうですね……。どこに行ってるんでしょうか……。」
「あの子、出口を探してるのよ。」
「え?!」
ルークくんが……私の為に?
「あの子なりに心配してるのよね。
日差し苦手なのに、毎日探しに行ってるのよ。」
「そうだったんですね……。」
「だから、素直じゃないけど優しい子だから仲良くしてあげてちょうだいね。」
「はい!」
ルークくん……私のこと思ってくれてたんだ。
なんだかんだ言って心配してくれてたなんて……、本当はすごく優しい人なんだな。
私は少し嬉しく思った。
次の日、起きるとコンコンと音がした。
ドアの向こうからマリアさんとアリアさんの声が聞こえた。
「ミオリさん。おはようございますにゃ。」
「ミオリ!おはよー。入っても大丈夫?」
「マリアさん アリアさん。おはようございます。大丈夫ですよ。」
「失礼しますにゃ。」
「今日はミオリに渡したいものがあってね。」
「なんですか??」
マリアさんは手に持っていたメイド服を私に差し出した。
「これ……」
「遅くなってしまってごめんなさい、このお屋敷で働くためのお召し物が足りなかったもので急いで作りましたにゃ。採寸する時間がなかったのでミオリさんの着ている服のサイズに合わせて作ったのですが……。もし合わないようなら作り直すので、着てみてもらえますかにゃ?」
「あ、ありがとう……ございます。少し待っててもらえますか?」
メイド服……。こんな可愛らしい服……私、似合うのかな?すごく恥ずかしい……。そんな事を思いながら私はメイド服を着て自分の部屋へ戻った。
「お待たせしました……。」
2人はすごく明るい表情で、目を輝かせていた。
「いいじゃない!似合ってるわよ!」
「あ、ありがとうございます……。」
「ん?どうしたのよ?」
「サイズ合いませんでしたかにゃ……?」
「あ、いや、サイズは全然問題ないです!ただ、その……。こんな可愛らしい服を私が着て良いのかと……。」
「全然良いと思うけど??実際私達だって着てるんだし。」
「お2人は可愛いし、似合ってるから良いじゃないですかぁー。こんな可愛らしい服男性人に見られたら……特にルークくん……。」
「なんだよその服、全然似合ってねぇ。」
「って絶対言われますよ……。」
はぁ……きっとこんな姿みたら笑われるか蔑まれるよ……。
「大丈夫よ!!ミオリすっごい似合ってるから!!」
「ミオリさん凄く可愛いですにゃ!大丈夫ですよ!」
「そ、そうですか……?そこまで言うなら……。」
はぁ……もう、いいや。笑われたら笑われたで。
私は2人と一緒に大広間に向かった。
すると周りの視線が一気に私へ向かってきたのがわかった。
あぁ、恥ずかしい……。
この姿を見て1番に食いついてきたのはアランさんだった。
「きゃー!!ミオリちゃん!!メイド服すっごく似合ってるわよ~!!!と~っても可愛い!」
「うん!似合ってるよ!ね?ルチア様?」
「あぁ。似合ってる。可愛らしいじゃないか。」
「あ、ありがとうございます。」
良かった……。みんな笑ったりしなかった。
そうだよね。お屋敷の皆は優しいから笑ったりしないか。私はそう考えていると背後から何か鋭い視線を感じた。振り向いてみるとルークくんがこちらを見ていた。
「…………。」
ルークくん……私の事ずっと見てる……。
あぁ、絶対軽蔑してる……。
「あ、あの……。」
「い、いいんじゃねぇの?」
ルークくんは少し顔を赤らめ、そっぽを向いて呟いた。
「え……?」
私が想像してたのと違う。むしろ好印象?
その意外さに驚き、私は固まってしまった。
「なんだよ……。」
「あ、いや、ありがとうございます。」
顔が少し赤い……?
私はルークくんの様子を伺っているとルチア様が声をかけてきた。
「あ、そういえばミオリ。さっきラハームが探していたぞ。」
「ラハームさんが??」
「あぁ。確か、薬がどうとか言ってたな……。」
「あぁ!!返すの忘れてた!!急いで行ってきます!!」
そうだった……。ルークくんに使った薬、まだ返してなかった!私は急いでラハームさんのもとへ向かった。
「失礼します!」
「お嬢さん。ちょうど良いところに来たね。おや?珍しい格好してるねぇ。マリアかとおもったよ。」
「あ、これマリアさんに作ってもらったんです。」
「いいじゃないか。似合ってるよ。」
「ありがとうございます!
それと、この前の薬返すの忘れてて……。
ありがとうございました。」
「あぁ、いいんだよ。何より無事でよかった。
ところでお嬢さん?少し気になることがあるんだが、聞いても良いかな?」
「はい。なんでしょうか?」
「君は、自分の身に疑問を持ったことがあるかい?」
「私に疑問?」
「自分にも理解不能な事が起こったり……。何でも良いんだ。何かあるかな?」
ラハームさん……。何でいきなりそんな事聞いてくるんだろう。でも考えてみたら、前はルークくんが倒れている場面が見えたし……。どういう事なんだろう……?
「んんー、そういえば たまによくわからない場面?風景?みたいなものが見えたりします。」
「それはものに触ったりしている時かい?」
「そう言われれば触ってから見えているような……。」
ラハームさんは少し考えて私にこう告げた。
「ふむ……そうか。君は『干渉』する能力を持っているんだね。」
「『干渉』?ですか?」
『干渉』って、一体どういう事なの……?
「この世界にはねぇ、何かしら自分に能力があるんだよ。ほら、僕は魔術が使えたり マリア達だって猫だったりするだろう?」
「はぁ……。干渉というのは……」
「簡単に言えば、お嬢さんは触ったものの過去や未来が見えたり ほかの魔法と調和出来る力だよ。」
「私にそんな能力が……。」
「僕も不思議に思っていてね、どうして僕の魔法が解けてしまったのか。」
魔法が解けた??なんの事を言ってるんだろう?
「あの、何のことだか私には、」
「お嬢さんがルークの元へ行こうとした時、僕は結界を貼っていたんだよ。だからあの時本当ならドアは開かないはずなんだ。きっとお嬢さんの「干渉」する能力が僕の魔法と調和して、結界が溶けてしまったんだろうね。」
「そうだったんですか……。
勝手なことしてしまってごめんなさい、」
「はは、良いんだよ。
君が助けに行ってなかったらルークは危なかったんだ。でも、もうあんな危ないことをしてはいけないよ。」
ラハームさんは笑って答えてくれた。
「はい……。」
「それにしても、「干渉」する能力だなんて珍しいね。」
「そうなんですか?」
「うん。大体は戦闘系が多いからねぇ。こう言った類の能力は珍しいよ。僕も、お嬢さんのような人には初めて会った。」
「そうなんですね……。」
「珍しい能力なんだ。自分の能力に自信を持ちなさいな。」
そうか……。この能力で、私も何か……誰かの役に立てないかな?立てたら良いな。
あ、そう言えばラハームさん。さっきこの世界の人は何かしらの能力を持っているって言ってたな。と言うことはお屋敷の皆も持っているって言うことだよね?みんなはどんな能力を持っているんだろう?
私は気になったのでラハームさんに聞いてみた。
「はい!ありがとうございました。
あの、ちなみになんですけど、このお屋敷の人達はどんな能力を持ってるんですか?」
「能力というか、化けるって言うのが正解かな。
ただ、僕は化ける能力じゃないね。
僕は自らの魔力で戦うから。」
「知っての通り、マリアとアリアは猫。
ライルはうさぎ。アランは狼。」
「え?!!アランさんって狼なんですか?!」
「おっと、知らなかったのかい?
彼は狼男なんだ。変身したところは見た事ないけどね。噂によると性格が驚く程に変わるらしい。」
「そ、そうなんですね……?」
アランさんの性格が驚くほど変わるって……どうなるんだろう……?ちょっと怖いな。
私は少し苦笑いを浮かべた。
「そして、ルチア様とルークはね……。」
「この国を司る『吸血鬼』」
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