Another World Racer's ~異世界に愛車ごと転生したら全人類のほぼ全てが走り屋だった件~

ちくわ feat. 亜鳳

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告白

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「単刀直入に言おう、実は俺はこの世界の人間じゃねぇのよ」

「…え?」

あまりにも急に、自分の身の上を切り込んで告げる辰起にレミラは自身の耳を疑いたくなった

「俺やこの車が生まれたのはここじゃなくって全く別の世界ってことさ
ここじゃ科学より魔術のが栄えてるっぽいけど、俺のいた世界じゃ魔術なんて存在自体無くてね
代わりと言っちゃ何だが科学が栄えてるのさ」

「待って待って!何よその話!?」

急な話しすぎて理解が追い付かないとレミラは抗議の声を上げるが、それでも自分の身の上をきっちり話すべく、辰起は話を途中で切ることはせずに続けていく

「向こうの世界じゃ、ここの人間のように車でレースする奴等をレーサーとも呼ぶが
その中でも公道ストリートを中心に走る奴等を走り屋と呼んだ、俺はその走り屋に属する人間だったのさ」

「走り…屋?」

「あぁ走り屋…」

辰起は説明の中でレミラの反応した【走り屋】という単語を反芻するように言ったのだった

「俺の世界では…もう60年くらい前に走り屋の大元たるカミナリ族ってのが現れたんだ
主な構成員は金持ちのボンボンで二輪車に股がって公道で群れをなした
その後カミナリ族が手放したバイクを貧困でグレた不良たちが買って、喧嘩やレース、集団での危険運転等なんでもありの暴走族と言うのに変わったんだ」

「……」

レミラは口を呆然と開けたまま、しばし閉じることは出来なかった
何故なら…

(タツキの言ってることは…現実に起ころうとしている事よね)

この国でも、【カミナリ族】なんて洒落た名前ではないが一部半グレのような貴族が魔動二輪(元の世界で言うオートバイ)での集団暴走行為が問題となり始めていた

辰起がこれから語るのは、元は辰起の世界であった
おそらくこの世界でこれから起こるであろう社会問題の話だ

「何でもアリの暴走族は無法集団だった、一部ただでさえ一般人に迷惑をかけるからと厳しいルールを設けたチームもあったが全てがそうじゃない
一般人を巻き込んだ喧嘩に重傷者、果てに死者まで出すチーム同士での抗争
次第に取り締まりが厳しくなって暴走族は衰退の一途を辿った」

「…それが走り屋になんの関係が…?」

「暴走族とは言え中身は数多の兵隊からなる人間だからな、何も全員が全員暴れたい訳じゃなかったのさ」

そう同じ暴走族でも個人に焦点を当てればただの人、ただ暴れたいだけの者もいれば目立ちたい者、ナンパに明け暮れる者、そして走り屋のルーツである
純粋に走りを楽しむ者に別れていくのだ

「目立ちたいものや女を引っかけたいだけ奴はそのうちに熱もさめて引退していく
そうすると暴れたい奴と純粋に走りたい奴が残る」

残った者たちは暴れたい者がヤクザへ、走りたいものが走り屋へと転向していくのだ

「そうしてただ純粋に、ただ速さを求めて公道レースで一番を決める走り屋が出来上がったのさ
俺はその一人だったわけだ」

「…それで、その世界から
何でアンタはここに…?」

ふと気付いたことを、レミラは辰起へと問いかけた
走り屋として生きたにしても家族、友人、仲間
色々あった筈だ、何故それらをおいて
いや、置かざる理由があったのか…?

「_あぁ、それは」

一尺おいて辰起が口を開く、空気が重い
すべての動作がゆっくりに感じる中
その言葉は寸分違えずにレミラの脳内へ入ってくる

「俺が事故で死んだからだ」







「そう…」

一尺おいて発言した自身の言葉に、対面するレミラの瞳が僅かに揺れたのを感じた
しかしそこにあったのは同情でも憐れみでも無かったのが辰起にとって救いではあった

死んだことに同情も憐れみも要らなかった、いつ死んでもおかしくない生活を送り
事故を起こすまでの十数年の間自分は確かに生を実感していた
全てが便利になった反面、堅苦しく息苦しくもあった現代で辰起は精一杯に生を謳歌したのだから
そこに失敗や反省はあったにしても後悔は微塵もなかった

「勿論、この世界でだって死ぬ可能性はあるが
俺は好きだから走るだけ、お前らだってそうだろ」

「えぇ、そうね…走ることが好きで好きで
それを生業にして…この腕一つでのしあがってきたもの」

ニッと不敵に笑ったレミラに辰起も内心で笑みを浮かべる

「んで、俺の世界では車の技術が上がってる話はもうしたな?
もう一度言う、お前は腕は大した物だが車が着いてきてない
だからあのワンダーを用意させて貰った、お前なら良いライバルになりそうだからな」

「…上等じゃない」

言葉を聞いて瞳に炎を宿すレミラ、そうそれで良い
走りがすべてのこの世界、しかし車の性能においてのみ現代日本にかなわないこの世界で
辰起はライバルと呼べる人間を見つけることができた








…バァアアアアッ

「…あれ?この音……」

辺りが完全に暗闇に包まれた夜のギルドで、遠くから聞こえてくるエキゾーストに受付嬢は首を傾げた

(タツキさんのシビックの音に似てる…
けどあれはもっと甲高い音だった筈、何かしら?)

ふと脳裏に浮かんだ少年の白いマシンと似たその音は、しかし細部は音色が違っており
受付嬢の思考を惑わすには充分だった

__バァンッ…ブワァァァ…


(…こっちに来るわね)

音の主はギルドの近くから減速を始める、おそらくここに用があるのだろうと踏んだ受付嬢は業務を中断し入り口へ移動した

ボボゥ…

エンジンを切る音とドアをあける金具音が聞こえる
今目の前に謎の車のオーナーがいる
早まる鼓動を抑えてギルドの扉をゆっくり開ける受付嬢
そこにいたのは…

「よっ」

「…え?」

見たことない赤い車に鍵をかけ、こちらへ手を振る我らがギルドのエース
レミラ=マリエナだった









______◆

シビックの運転楽しすぎ!
先月20日に大阪から千葉へ乗って帰ってきました
エアコンレス、パワステレス、手動ウィンドー、手動ミラーの個体です
七点ロールケージと1.5wayLSDも入ってます。
あまりにも運転が楽しすぎて納車一週間で1500㎞走り、納車一ヶ月目で早速ぶっ壊しました
走行中にボンネットバンザイでボンネット、フロントガラス、屋根が全損です
本当にありがとうございました

え?直しますよ?
修理代は50万あれば足りるらしいですトホホ…

テクニカカラーにしようとボンネット塗ったばかりだったのに…

納車直後
https://d.kuku.lu/af5b1fe643

エセテクニカ
https://d.kuku.lu/fe11ea3e94

ボンネットバンザイ後①
https://d.kuku.lu/e953999987

ボンネットバンザイ後②
https://d.kuku.lu/27844fbd51

______◆
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感想 5

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みんなの感想(5件)

なまぁたまぁ

ゼロファイター菅とFighterZERO菅がごっちゃになる単車好きです。(どうでもいい)投稿を心待ちにしてましたよ〜

解除
男爵
2020.01.02 男爵

愛車と異世界に行く作品を探してたどり着きました。
面白いですね!今後の更新も楽しみにしてます。

解除
なまぁたまぁ

更新ありがとうございます。整備の学校に受かったのもおめでとうございます。

解除

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