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かぐや姫は月に帰りました 前編
聖子 遠くの親戚より近くの交番
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ヒカリ君は無事回復した。
栄養失調気味だった彼の体調もすっかり良くなったらしい。
「ヒカリくーん。元気になって良かったねー」
「うん!」
私は彼のベットの横に腰掛けた。
ヒカリ君は無邪気そうにはしゃいでいる。
この前会った時、長すぎた髪の毛は切り揃えられて可愛らしいおかっぱ頭になっていた。
子供のおかっぱ頭は何でこんなに可愛いんだろう。
「ヒカリ君ごめんねー。ママまだ病気だから帰れないんだって! もしよかったらお姉ちゃんのおうちでしばらく遊ばない?」
私なりに選んだ言葉だった。
彼の母親はもうこの世には居ない……。
「そっかぁ……。ママ……」
ヒカリ君は泣きわめく事も無く大人しくしていた。
あまりに素直すぎて気持ち悪ささえ覚える。
「お姉ちゃんちには楽しいお兄ちゃんとかおじちゃんとかいっぱい居るよ! もう少し元気になった遊びに来てね!」
自分で言っていて虚しくなる。
いつまでもこんな子供だましは通じないだろう。
子供だましで騙されるのは馬鹿な大人だけだ……。
父はやはりヒカリ君を預かる事に難色を示した。
被害者の子供をいきなり預かるのだから当然かもしれない。
でも兄と私の必死な説得でどうにか折れてくれたようだ。
「今回はしゃーねーから預かっけど、いつまでもガキの面倒は見てらんねーぞぉー」
「うん……。わぁーてるよ……。とりあえずヒカリ君の行き先が決まるまでお願い……」
父が折れてくれて本当に助かった。
そうでなければ伊瀬さんの言うとおり施設送りになってしまう……。
何だかんだ言っても父は優しいのだ。
そして娘の私には甘いように感じる。
もしかしたら昔の事に罪悪感があるのかもしれないけれど……。
ヒカリ君を預かる話と同時並行的に彼の親類に連絡を取った。
葛原みのりの叔父夫妻にも連絡する。
案の定。彼らはあまり良い顔をしなかったけれど……。
『みのりの子供なんて知りません! あの子はもうウチの子じゃ無いんですからね!』
葛原みのりの叔母は電話口で吐き捨てるのようにそう言った。
「お気持ちは分かります……。ですがヒカリ君には……。子供に罪は無いんです」
『いいからもう掛けてこないで下さい! あの子に関わるのなんかもうウンザリなんだから!』
彼女は怒鳴るように電話を切ってしまった。
かなりご立腹のようだ。
どうやら葛原みのり相当親戚から嫌われているらしい……。
私は諦める事無く電話を掛け続けた。
でもどこに掛けても結果は同じだった。
葛原みのりについてはっきり分かった事がある。
どうやら彼女はお金に相当だらしなかったようだ。
親戚は皆、彼女に金を貸しているらしい。
「金の切れ目は縁の切れ目か……」
まさに慣用句のような展開だった。
彼女は親戚全員から総スカンを食らっている。
残念ながら自業自得だと思う。
でも……。
子供には……。ヒカリ君には罪は無い。
結局、引取先が見つかる事無くヒカリ君の退院の日が来てしまった。
「おー! ヒカリ君すっかり元気だねー」
「うん! ひーくん元気になったー」
無邪気な物だ。
「したらねー。今からお姉ちゃんち行こう!」
「わーい! やったー!」
楽しそうにはしゃぐヒカリ君を見て私は、少しだけ悲しい気持ちになった。
この子はまだ自分の境遇が理解できていないのだろう……。
「お姉ちゃん!」
「なーに?」
「ひーくんと遊んでくれてありがとー」
涙腺が緩むを感じた。
私は涙が流れないように無理な笑顔を作る。
今はとりあえずでも彼の居場所をちゃんと作ってあげよう……。
栄養失調気味だった彼の体調もすっかり良くなったらしい。
「ヒカリくーん。元気になって良かったねー」
「うん!」
私は彼のベットの横に腰掛けた。
ヒカリ君は無邪気そうにはしゃいでいる。
この前会った時、長すぎた髪の毛は切り揃えられて可愛らしいおかっぱ頭になっていた。
子供のおかっぱ頭は何でこんなに可愛いんだろう。
「ヒカリ君ごめんねー。ママまだ病気だから帰れないんだって! もしよかったらお姉ちゃんのおうちでしばらく遊ばない?」
私なりに選んだ言葉だった。
彼の母親はもうこの世には居ない……。
「そっかぁ……。ママ……」
ヒカリ君は泣きわめく事も無く大人しくしていた。
あまりに素直すぎて気持ち悪ささえ覚える。
「お姉ちゃんちには楽しいお兄ちゃんとかおじちゃんとかいっぱい居るよ! もう少し元気になった遊びに来てね!」
自分で言っていて虚しくなる。
いつまでもこんな子供だましは通じないだろう。
子供だましで騙されるのは馬鹿な大人だけだ……。
父はやはりヒカリ君を預かる事に難色を示した。
被害者の子供をいきなり預かるのだから当然かもしれない。
でも兄と私の必死な説得でどうにか折れてくれたようだ。
「今回はしゃーねーから預かっけど、いつまでもガキの面倒は見てらんねーぞぉー」
「うん……。わぁーてるよ……。とりあえずヒカリ君の行き先が決まるまでお願い……」
父が折れてくれて本当に助かった。
そうでなければ伊瀬さんの言うとおり施設送りになってしまう……。
何だかんだ言っても父は優しいのだ。
そして娘の私には甘いように感じる。
もしかしたら昔の事に罪悪感があるのかもしれないけれど……。
ヒカリ君を預かる話と同時並行的に彼の親類に連絡を取った。
葛原みのりの叔父夫妻にも連絡する。
案の定。彼らはあまり良い顔をしなかったけれど……。
『みのりの子供なんて知りません! あの子はもうウチの子じゃ無いんですからね!』
葛原みのりの叔母は電話口で吐き捨てるのようにそう言った。
「お気持ちは分かります……。ですがヒカリ君には……。子供に罪は無いんです」
『いいからもう掛けてこないで下さい! あの子に関わるのなんかもうウンザリなんだから!』
彼女は怒鳴るように電話を切ってしまった。
かなりご立腹のようだ。
どうやら葛原みのり相当親戚から嫌われているらしい……。
私は諦める事無く電話を掛け続けた。
でもどこに掛けても結果は同じだった。
葛原みのりについてはっきり分かった事がある。
どうやら彼女はお金に相当だらしなかったようだ。
親戚は皆、彼女に金を貸しているらしい。
「金の切れ目は縁の切れ目か……」
まさに慣用句のような展開だった。
彼女は親戚全員から総スカンを食らっている。
残念ながら自業自得だと思う。
でも……。
子供には……。ヒカリ君には罪は無い。
結局、引取先が見つかる事無くヒカリ君の退院の日が来てしまった。
「おー! ヒカリ君すっかり元気だねー」
「うん! ひーくん元気になったー」
無邪気な物だ。
「したらねー。今からお姉ちゃんち行こう!」
「わーい! やったー!」
楽しそうにはしゃぐヒカリ君を見て私は、少しだけ悲しい気持ちになった。
この子はまだ自分の境遇が理解できていないのだろう……。
「お姉ちゃん!」
「なーに?」
「ひーくんと遊んでくれてありがとー」
涙腺が緩むを感じた。
私は涙が流れないように無理な笑顔を作る。
今はとりあえずでも彼の居場所をちゃんと作ってあげよう……。
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