余命一週間の社畜は、死神の甘やかな管理下に堕ちる

八百屋 成美

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「ん、ぁ……っ!」

 シエルの唇が、僕の唇を塞いだ。
 今までのような軽い挨拶ではない。酸素ごと僕の思考を奪い去るような、暴力的で貪欲な口づけだ。
 熱い舌が口腔内を蹂躙し、唾液を絡め取る。逃げようとする僕の舌を捕まえ、吸い上げられるたびに、痺れるような甘い何かが喉の奥へと流れ込んでくる。

「ぷはっ……はぁ、はぁ……!」
「逃がさん。私の『気』を全て飲み込め」

 息継ぎの間も与えず、シエルの唇は首筋へ、鎖骨へと降りていく。
 彼が吸い付いた場所から、火がついたように熱くなる。透けかけていた肌に、真っ赤なキスマークが次々と咲いていく。
 それはまるで、所有権を主張する焼印のようだった。

「ひっ、あ……! そこ、だめ……!」

 シエルの冷たい指先が、尖った胸の突起を摘み上げた。
 コリコリと執拗に転がし、爪先で軽く引っ掻く。道具など使っていないのに、指先から流れる魔力が神経を直接逆撫でするようで、腰が勝手に跳ねた。

「いい反応だ。感覚が戻ってきている証拠だな」
「痛い、熱い……おかしくなる……ッ!」
「おかしくなれ。理性が飛ぶほど感じなければ、貴様の薄まった存在は繋ぎ止められない」

 シエルは僕の下着を引き下ろすと、何の躊躇いもなく、その秘所に指を沈めた。
 何かのオイルだろうか、ヌルリとした液体と共に、長い指が侵入してくる。

「あっ……!」
「力を抜け。……ここか」

 シエルの指が、内側の敏感な一点を容赦なく抉った。
 
「ぎっ、ぁあああッ!?」
「ここが一番、魂の結びつきが強い。貴様の魂が逃げ出さないよう、奥の奥まで私の色に染めてやる」

 内壁を擦り上げられるたびに、脊髄まで溶かすような強烈な快楽の波が襲う。
 シエルの指は一本、二本と増え、広げられていく。物理的な異物感と、そこから注がれる死神の重い力が、僕の身体を内側から満たしていく。

「あ、あぐ、う、ああああ……ッ! だめ、こわれる、壊れちゃう……!」
「壊れない。私が管理している」

 シエルは冷徹に観察しながらも、瞳の奥に暗い情欲の炎を燃え上がらせていた。
 僕の身体はシーツの上で魚のように跳ねる。透けかけていた手足が、快楽に赤く染まり、確かな質量を取り戻していくのが自分でも分かった。
 死にたいなんて、考える余裕もない。ただ、「ここにある」という強烈な感覚だけが、脳内を支配する。

「……随分と濡れてきたな。だが、指では足りない」

 シエルは僕の脚を大きく開かせ、自身の腰を割り込ませた。
 硬く、熱く脈打つ、彼の剛直が入り口に押し当てられる。

「私の魔力そのものを、直接注ぎ込んでやる」

 ズチュッ。
 湿った音と共に、先端が潜り込む。

「がっ、ぁあ……ッ!!」

 指とは比べ物にならない質量と熱量。
 死神の身体は冷たいはずなのに、彼の一部は灼けるように熱かった。
 きつく締め付ける僕の内壁をこじ開け、シエルは容赦なく最奥まで貫く。

「レン、私の名を見ろ。私を感じろ」
「あっ、あ、シエル、シエルぅ……ッ! 大きい、入って、くる……!」
「そうだ。お前は誰のものでもない。この私が生かし、私が管理する、私だけのものだ」

 シエルの独占欲が、熱い楔となって体内に打ち込まれる。
 突き上げられるたびに、彼の「生かせ」という命令が、僕の魂に刻み込まれていくようだった。
 愛撫は乱暴で、痛みすら伴うのに、なぜか涙が出るほど愛おしい。彼と繋がっている場所から、生きる力が湧いてくる。

「いくぞ、レン……すべて受け取れ……ッ!」

 シエルの動きが激しさを増す。
 内側を激しく擦り上げられる快感に、僕は声にならない絶叫を上げてシエルの背中に爪を立てた。
 瞬間、身体の奥底で熱い奔流が弾けた。
 シエルの放った白濁した熱と、目に見えない光の粒子が、僕の身体の隅々まで満たしていく。

「あ……ぁ……」

 目の前が真っ白になり、意識が遠のく。
 けれど、それは死への逃避ではない。
 重く、熱いシエルの存在によってこの世界に縫い留められた、圧倒的な「生」の充足感だった。
 

 事後。
 気だるい身体をシエルに抱きしめられながら、僕は自分の手を見つめた。
 もう透けていない。
 血管が浮き、体温を感じる、確かな人間の手だ。

「……戻った」
「当然だ。あれだけ私の精気を与えたのだからな」

 シエルは僕の汗ばんだ髪を梳きながら、首筋に新たな所有印を刻みつけた。
 僕のお腹の中には、まだ彼が注ぎ込んだ熱がたっぷりと残っている。それが重石となって、僕を現世に繋ぎ止めていた。

「あと四日。……もう二度と、あちら側へ行こうなどと思うな」

 その声は脅迫めいていたけれど、僕の耳には、縋るような愛の言葉に聞こえた。
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