モブの筈がモブじゃない〜乙女ゲームの世界ではモブだったはずなのに全然モブじゃありません〜

あかとんぼ

文字の大きさ
26 / 92
第1章

リリアンヌとお茶会2

「あっ、アリアローズ様こっちですー」

ブンブンと陽気な笑顔を見せこちらに手を振るリリアンヌ。その姿だけみれば貴族としての振る舞いではないが、今ここにはリリアンヌとアリアローズだけ。ましてやヒロインは貴族令嬢の礼儀作法やらの枠に当てはまらないと言うのが乙女ゲームのセオリーだろうからこれでいいのか。
今はリリアンヌにお呼ばれし、宿舎の一角にあるティールームのテラスに来ている。
お茶やお菓子は既にリリアンヌより手配されておりその内容には驚かざる得なかった。

「リリアンヌ様。よくもまぁこれだけ前世の食べ物を用意しましたね…」

「えへ、こっちの世界に転生してから恋しくて恋しくてカナルディ男爵家に引き取られてから頑張って作ったの!あっ、この前の肉じゃがの醤油も作ったんですよ。でもどれも奇妙なものだからってお父様に外には出してはダメって言われてて…今日は特別に許可を貰って手配しました!」

誇らしそうに笑顔を見せアリアローズの反応を期待していた。同じ味を知っていて共有出来るのはパンドラ乙女の世界ではあり得ないからこそリリアンヌは嬉しかったのだ。

目の前にはクッキーやチョコの他に前世ではポッキーと呼ばれていた物、そしてポテトチップ!
クッキーやチョコはこの世界でも普通に食べられており(ポッキーはそれを加工した物らしい)それ以外にはケーキやマフィンの様な甘い物はあるがしょっぱい系のお菓子は存在しない。

思わずゴクリと生唾を飲み込む。
ポテトチップなんて誘惑の味でしかない‼︎
想像しただけであの味を思い出し今すぐ食べたい衝動に駆られてしまう。

「さぁ!どーぞ座って下さい。お茶はこちらの世界の物になってしまって残念ですが…でも今我が家では緑茶を開発中ですのでもう直ぐ飲めるようになる筈です!!」

リリアンヌは2人分のカップにお茶を注ぎ席へと置く。

「リリアンヌ様、あの宜しければポテトチップを頂いても良いでしょうか?」

我慢が出来ずお茶を飲むより先に口が動いてしまった。どうぞ、と皿を出されると直ぐに手を伸ばし口へと運ぶ。

あー!この味!!
懐かしいーおいしー!!

「うん、リリアンヌ様これ最高ですね!懐かしいです。とっても」

一応令嬢らしい態度は崩さずにいたが内心大興奮していた。
このままポテトチップに舌鼓を打っていたいのだが本題に入らなくては…そっちが今日のお茶会の本命だからね。

「さてと、リリアンヌ様今日のお茶会の本題につい、」

「そう!!パンドラ乙女についてね!!」

食い気味に食いついて来た。

「はい、お互いに知っているなら情報を共有出来た方が色々と有利かと思いまして。差し当たってリリアンヌ様にお伺いしたいのですが、、」

「あー、もおアリアローズ様ってば堅苦しいー!!もっと気軽に話して下さいよー!」

プクっと膨れた頬は突きたくなる愛らしさだ。うん、敵意がなければヒロインは何をしても可愛い。

「わかりました。善処しますね。
じゃあ、あのお聞きたいんですがリリアンヌ様は今どのルートを行こうと思ってますか?前までは逆ハールートと思ってたんですが、カインザーク殿下を諦めたら出来なくなりますよね?正直、、勿体なくないですか!?」

正直に聞いてみた。
ルートが分かればなるべくその流れに関わらない様にしたい。一応私モブだから。

「うーんそうですね。アリアローズ様…
うん長いですね、なら…アリアはいきなり過ぎるからアリア様って読んでもいいですかぁ?あっ、私の事はリリーって読んで下さい。リリアはニースベル殿下だけの特別な呼び方なの」

語尾にハートが見える。
どうやら攻略は順調のようだ。

「アリア様、ならまずは私の知ってるパンドラ乙女について話しますね」

いよいよリリアンヌの話が聞ける。



あなたにおすすめの小説

モブ令嬢は脳筋が嫌い

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】セクハラ護衛騎士と婚約者の観察日記

buchi
恋愛
ハンナは実は大富豪でもある伯爵家の娘。地味でおとなしいので、公爵家の一人娘の婿の座を狙う婚約者から邪魔者扱いされて、婚約破棄を宣言されてしまう。成績は優秀なので王女殿下のご学友に選ばれるが、いつも同席する双子の王子殿下に見染められてしまった。ただし王子殿下は、なぜか変装中で……変装王子と紡ぐ「真実の愛」物語。王道のザマアのはず(ちょっと違う気もするけど、いつものことさっ) 完結しました。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。