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quatre-vingt-dix
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週が明けた月曜日、幸い一昨日のモヤモヤを引きずることなく普段通りに出勤した。
「おはようございます」
「おはようございまぁす」
ひと足早く出勤なさっている睦美ちゃんと合流し、早速調達品を見せ合いっこする。
「お~何か重厚そうですねぇ」
彼女は『文子洋菓子堂』のマカロンに興味津々である。そのタイミングで水無子さんと東さんが揃って出勤、今日は弥生ちゃん遅いなぁ。
「「おはよう」」
「「おはようございます」」
「弥生まだ?」
えぇ、遅刻って滅多に無いんだけどよく体調不良でお休みはされる。あの後無理してなければ良いんだけど……なんて思ってたらオフィスの固定電話が鳴る。最若手の睦美ちゃんが受話器を取ると、親しい口振りで「おはようございまぁす」って言ってる。多分弥生ちゃんだ。
「はいは~い、そう伝えまぁす」
とそれで受話器を置く睦美ちゃん、どうしたんだろう?
「何か事故があったみたいです。課長、弥生さん、仲谷さん足止め食らってます」
あの三人は県庁所在地に繋がる南方向のJR線を利用してらっしゃる。あそこは『魔の踏切』というのが二箇所ほどあり、しょっちゅうに近いレベルで人身事故が発生している。
「あっ、ニュースになってますねぇ」
始業前だから睦美ちゃんは自身のケータイでネットニュースをチェックしてらっしゃる。
「ツイッターも賑やかだな」
係長がそんなことを言いながらケータイをいじっている。
「係長ツイッターなさるんですか?」
「いや、アカウントを持ってるだけだ。有名人のアカウントをフォローするくらいで自分では呟かないな」
へぇ。私もたま~に見ることはあるがアカウントは持っていない、見るだけなら無くてもいいからね。そう言えば海東文具はツイッターをやっている……会長が。
「ウチのアカウントフォローしてるんですか?」
「一応な。けど会長の個人的な呟きばっかりで、企業としての呟きなんか全然なさってないぞ。昨日のツイートは平賀時計資料館リニューアルオープンの話題だったからな」
「一昨日から始まってるらしいですね、同期の子も行ったって」
あぁ境さんですね、事前に貸し切りで拝観致しました。でもそれはさすがに一般公開できないわ。
そんな話をしているうちに始業のチャイムが鳴る。社長からの放送朝礼で人身事故の話題にもちょこっと触れ、あとは当たり障りのない業務事項のみであっさりと終了した。
「本日も定刻上がりで乗り切りましょう」
課長不在のため、係長が代行朝礼を行ってから午前の業務に取り掛かった。
それから大体二時間ほど経って課長、弥生ちゃん、仲谷君が揃って出勤した。
「申し訳ない、俺たちは残業になりそうだが、みんなは定時で上がってくれ」
と一服も無しで仕事に入り、弥生ちゃんと仲谷君もシビアモードでパソコンに向かっている。この日は休憩時間もずれ込む形となり、この日一日弥生ちゃんとは言葉を交わさずじまいだった。
そして翌日、普段通りオフィスに入ると、課長、弥生ちゃん、仲谷君が既に到着してくださいゆっくりとお茶を飲んでらした。
「おはようございます」
「おはよう夏絵ちゃん、チョコレート頂いてるよ」
昨日はタイトなスケジュールでお三方チョコレート口にしてなかったもんね。
「うん食べて食べて」
「今年は奮発したのか?マカロンなんて安くないだろ」
「今年は質重視にさせて頂きました」
一番小さいサイズのものです……とまでは言わない。それでもチ○ルチョコのギフトパックくらいのお値段はするのだから。
「俺たちは恵まれてる、心して食え仲谷」
はいっ!返事は良いが勢いよく食ってやがるから、あと一個しか残ってないじゃない。
「課長、一個恵んでください」
「断る」
「弥生さん、一個お裾分けください」
「ダメ」
「夏絵さぁん」
昨日心して全部頂きました。
「無い」
「そんなぁ~」
お前毎年それ言ってんじゃないか、少しは学習しろよ。
「ごちそうさまでした、あとはブレイクの時に食べよう」
弥生ちゃんは半分くらいを残して箱の蓋を閉め、デスクに戻って業務の支度を始めている。そう言えば先週末どうしたんだろう?私先に帰っちゃって迷惑かけちゃってるかも知れない。
「弥生ちゃん、この前はゴメンね。急に帰っちゃって」
「良いよ、用事だったんだから」
彼女はことも無さげに笑顔で許してくれる。
「知らない子だらけで疲れなかった?」
「全然平気、逆に元気頂いちゃった」
「そっか、なら良かった」
「うん、ありがとう夏絵ちゃん」
えっ?何に対するお礼?私は意味が分からず言葉に詰まる。
「三人とも素敵な方たちだね、いいお友達がいて羨ましい」
「そ、そう?」
有砂と安藤はともかく、木暮さんとは親しくない。
「この歳になっても新しい友達って嬉しいね」
そうなんだ、あの短時間で親しくなれたんだね……私は又しても疎外感が蘇って胸の中がモヤモヤとし始める。
「夜から健吾君も混ぜてもらって、依田君と中西君ともお話させて頂いたの、二人共格好良いよね」
「は?」
今何て言った?中西君って言わなかった?
「えっ、何で?」
「何でって、有砂さんが誘ってたみたい。安藤さんだけあぶれるから数合わせ的なこと言ってたよ」
何余計なことしてるのよ?別にてつこじゃなくていいじゃない。
「どうかした?私おかしなこと言った?」
「ううん、そうじゃないの。みんなと仲良くなれたんなら良かった」
「うん」
弥生ちゃんは私の心の内を知る由もなく、上機嫌で勤務の支度を進めている。私も自分のデスクに戻り、始業を待たずに業務を開始した。
「おはようございます」
「おはようございまぁす」
ひと足早く出勤なさっている睦美ちゃんと合流し、早速調達品を見せ合いっこする。
「お~何か重厚そうですねぇ」
彼女は『文子洋菓子堂』のマカロンに興味津々である。そのタイミングで水無子さんと東さんが揃って出勤、今日は弥生ちゃん遅いなぁ。
「「おはよう」」
「「おはようございます」」
「弥生まだ?」
えぇ、遅刻って滅多に無いんだけどよく体調不良でお休みはされる。あの後無理してなければ良いんだけど……なんて思ってたらオフィスの固定電話が鳴る。最若手の睦美ちゃんが受話器を取ると、親しい口振りで「おはようございまぁす」って言ってる。多分弥生ちゃんだ。
「はいは~い、そう伝えまぁす」
とそれで受話器を置く睦美ちゃん、どうしたんだろう?
「何か事故があったみたいです。課長、弥生さん、仲谷さん足止め食らってます」
あの三人は県庁所在地に繋がる南方向のJR線を利用してらっしゃる。あそこは『魔の踏切』というのが二箇所ほどあり、しょっちゅうに近いレベルで人身事故が発生している。
「あっ、ニュースになってますねぇ」
始業前だから睦美ちゃんは自身のケータイでネットニュースをチェックしてらっしゃる。
「ツイッターも賑やかだな」
係長がそんなことを言いながらケータイをいじっている。
「係長ツイッターなさるんですか?」
「いや、アカウントを持ってるだけだ。有名人のアカウントをフォローするくらいで自分では呟かないな」
へぇ。私もたま~に見ることはあるがアカウントは持っていない、見るだけなら無くてもいいからね。そう言えば海東文具はツイッターをやっている……会長が。
「ウチのアカウントフォローしてるんですか?」
「一応な。けど会長の個人的な呟きばっかりで、企業としての呟きなんか全然なさってないぞ。昨日のツイートは平賀時計資料館リニューアルオープンの話題だったからな」
「一昨日から始まってるらしいですね、同期の子も行ったって」
あぁ境さんですね、事前に貸し切りで拝観致しました。でもそれはさすがに一般公開できないわ。
そんな話をしているうちに始業のチャイムが鳴る。社長からの放送朝礼で人身事故の話題にもちょこっと触れ、あとは当たり障りのない業務事項のみであっさりと終了した。
「本日も定刻上がりで乗り切りましょう」
課長不在のため、係長が代行朝礼を行ってから午前の業務に取り掛かった。
それから大体二時間ほど経って課長、弥生ちゃん、仲谷君が揃って出勤した。
「申し訳ない、俺たちは残業になりそうだが、みんなは定時で上がってくれ」
と一服も無しで仕事に入り、弥生ちゃんと仲谷君もシビアモードでパソコンに向かっている。この日は休憩時間もずれ込む形となり、この日一日弥生ちゃんとは言葉を交わさずじまいだった。
そして翌日、普段通りオフィスに入ると、課長、弥生ちゃん、仲谷君が既に到着してくださいゆっくりとお茶を飲んでらした。
「おはようございます」
「おはよう夏絵ちゃん、チョコレート頂いてるよ」
昨日はタイトなスケジュールでお三方チョコレート口にしてなかったもんね。
「うん食べて食べて」
「今年は奮発したのか?マカロンなんて安くないだろ」
「今年は質重視にさせて頂きました」
一番小さいサイズのものです……とまでは言わない。それでもチ○ルチョコのギフトパックくらいのお値段はするのだから。
「俺たちは恵まれてる、心して食え仲谷」
はいっ!返事は良いが勢いよく食ってやがるから、あと一個しか残ってないじゃない。
「課長、一個恵んでください」
「断る」
「弥生さん、一個お裾分けください」
「ダメ」
「夏絵さぁん」
昨日心して全部頂きました。
「無い」
「そんなぁ~」
お前毎年それ言ってんじゃないか、少しは学習しろよ。
「ごちそうさまでした、あとはブレイクの時に食べよう」
弥生ちゃんは半分くらいを残して箱の蓋を閉め、デスクに戻って業務の支度を始めている。そう言えば先週末どうしたんだろう?私先に帰っちゃって迷惑かけちゃってるかも知れない。
「弥生ちゃん、この前はゴメンね。急に帰っちゃって」
「良いよ、用事だったんだから」
彼女はことも無さげに笑顔で許してくれる。
「知らない子だらけで疲れなかった?」
「全然平気、逆に元気頂いちゃった」
「そっか、なら良かった」
「うん、ありがとう夏絵ちゃん」
えっ?何に対するお礼?私は意味が分からず言葉に詰まる。
「三人とも素敵な方たちだね、いいお友達がいて羨ましい」
「そ、そう?」
有砂と安藤はともかく、木暮さんとは親しくない。
「この歳になっても新しい友達って嬉しいね」
そうなんだ、あの短時間で親しくなれたんだね……私は又しても疎外感が蘇って胸の中がモヤモヤとし始める。
「夜から健吾君も混ぜてもらって、依田君と中西君ともお話させて頂いたの、二人共格好良いよね」
「は?」
今何て言った?中西君って言わなかった?
「えっ、何で?」
「何でって、有砂さんが誘ってたみたい。安藤さんだけあぶれるから数合わせ的なこと言ってたよ」
何余計なことしてるのよ?別にてつこじゃなくていいじゃない。
「どうかした?私おかしなこと言った?」
「ううん、そうじゃないの。みんなと仲良くなれたんなら良かった」
「うん」
弥生ちゃんは私の心の内を知る由もなく、上機嫌で勤務の支度を進めている。私も自分のデスクに戻り、始業を待たずに業務を開始した。
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