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quatre-vingt-douze
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「あ~、真姫子さぁん」
弥生ちゃんも嬉しそうに手を振っている。私は脳内がぼやぼやとして思考がまとまらない。
「弥生ちゃんも呼ばれたんだね。んもぅ、それならそうって言ってよカンナちゃん」
「ゴメン、言うの忘れてた」
「五条さんも来てたんだ、この前は煩くしてごめんね」
「いえこちらこそ途中で抜けてしまってすみません」
取り敢えず当たり障りない言葉を交わし、彼女は安藤の隣に座った。
「素敵なお店だね、この辺りあまり来ないから知らなかった」
「でしょ?確か今日は用事でこっちに来るかなと思って」
「うん」
へぇ、この辺りに用事あったんだ。
「ひょっとして産科さん?」
あぁ、妊活で休職とか仰ってたな。この辺で産科だと県立総合病院か。
「うん、だいぶ状態も良くなってきてるって」
「自然妊娠も可能なんじゃない?」
「そうだといいな、お薬も一種類減るから気が楽になるわ」
もう弥生ちゃんとも親友状態ね。前回途中退席してる私は早くもアウェー感満載だ。
「実はね五条」
盛り上がっている弥生ちゃんと木暮さんを放置し、安藤は私に話を振る。
「今日予定してた合コンなんだけど、取引先の独身女性社員さんと中西君の三対一だったの。一人は上司の男性で」
えっ?何でそんなことしてるのよ?
「正月明けにお見合いなさったらしくてね、そのお相手が最悪だって杏璃ちゃんから相談されたのよ」
「杏璃から?」
あぁその話安藤にもしたんだね。何が何でも周央さんとてつこをくっ付けたくないんだ、でもそこ断ると実母の思うツボだと思うよ。
「えぇ。瀬田さんのお知り合いだそうだから断りにくいだろうし、色んな方を紹介して気が合う方が見つかればと思って。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる感はあるけど、私にできそうなのはお見合いを破談させることくらいだから。結婚ってなると杏璃ちゃんだって関わる権利くらいあると思うの。
気の合わない女が継母なんて嫌じゃない、せっかく中西家の養女に入れて幸せに暮らしてるのにあんまりすぎるわ」
それで知り合いの女性とてつこを引き合わせるの?
「てつこの好みに合いそうな方なの?」
「正直彼の好みが分からない。だから似たような年齢で独身の方に会って頂いて様子を見ようかと……悠長な気もするんだけど」
安藤がう~んと唸っていると、彼女のケータイが振動し始めた。
「はい」
瞬間技レベルでそれをパッと掴んで通話に出てる。
「見慣れた面子だから気負わなくていいわよ……ホントに?一人なら歓迎するわ……じゃ後ほど」
終始サバサバした口調で通話し、あっさりと終わらせてバッグに仕舞ってる。
「六人揃えられたわ、何かホッとした」
それは良いんだけど誰が来るの?依田とかいうのが来られても困るなぁ個人的に。
「あと二人誰が来るの?」
木暮さんもその点は気になるらしい、ってことは旦那じゃないのか。
「あぁ、なかに……来た来た」
何かさっきからそんな感じのタイミングで面子が増えていくなぁなんて思ってたら、ダウンジャケットにスキニーデニムという出で立ちのてつことスーツ姿の……降谷が連れ立ってやって来た。いえこの二人面識もあるし、保科酒造さんもそう遠くないですよ。けど何そのツーショット、初めて見たから違和感しか無いわ。
「ホントに見慣れた面子だな」
「だから言ったじゃない。そちらの方は?」
安藤は初対面の降谷を見ながら言う。
「五条の大学の同級、さっきばったり会ったから連れてきた」
「降谷尚之です、保科酒造で働いてます。因みに独身で~す」
降谷はチャラい挨拶をし、既婚組は若干引いてらした。
……が、チャラい男はそれなりに対話術が長けてたりする。降谷は場の空気をあっさり掴み、初対面組である安藤、弥生ちゃん、木暮さんの緊張を見事に解きやがった。
コイツ簡単な性格チェックみたいなネタを数多く記憶していて、合コンとかいった場で披露しては場を盛り上げるタイプなのだ。その辺は部長と似ているんだけど、違うのは黙ってりゃ男前という点だ。
「お~既婚組はSだねぇ」
「そんなこと無いですよ~」
「そうやって何人の女の子引っ掛けたの?」
降谷はチャラいが、売約済みの女性には一切手を出さないという潔癖な一面もある。それが出ているのか弥生ちゃんも木暮さんも気を許している感じだ。
「いや俺そんなにモテないよ」
「そうですか?イケメンだと思いますけど」
「目鼻口の配置バランスがマトモなだけだって、親に感謝だな。実際問題中西みたく黙ってる奴の方がモテんの」
「そうかしら?きちんと意思表示しないのも女からすると結構嫌よ」
安藤って結構辛辣だな。
「俺そんなに意思表示してないか?」
「分かりづらいのよ、敢えて出さないようにしてない?」
「そんなつもり無いんだけど」
そお?安藤はグラスワインを調子よく飲んでいる。この前も思ったんだけど、この子ウワバミレベルに酒が強い。
「う~ん、ポーカーフェイスな印象はありますね」
弥生ちゃんは烏龍茶に切り替えているが、お酒はさほど強くないので頬は真っ赤になってる。
「限界まで我慢するところはあると思う。主将としては頼れるけど、もう少し周りに甘えてもいいと思うよ」
「十分甘えてたよ、主将だった頃も今も」
「そうかな?弱音なんて人前で吐いたりしなかったじゃない、どんなに辛くても周りを優先して助けるの」
木暮さんは病院帰りなので素面である。確かに部員としてはよく見てらっしゃると思うけど、何と言うか介入し過ぎだと思う。
「それ木暮もじゃん、そっくりそのまま返してやるよ」
「何言ってるの、私は我慢してないよ」
何なんだろうコレ、まるで過干渉なお母さんみたい。いつまでも子供を手元に置きたがる感じで、いつまで経っても野球部員とマネージャーの立場を引きずってる。
「まぁまぁそれくらいにして。実際中西は何でもかんでも責任責任って背負い込む印象はあるぞ」
降谷今日は酔ってんのか?と思ったが、コイツ普段から車出勤のはずだから飲んでないと思う。飲むと黙るというか寝ちゃうタイプなんだよね。
「そんなじゃしんどいだろ、とは思う。多分甘え過ぎくらいで丁度いいんだよ」
「……」
降谷、その辺でやめとこう。てつこは甘えるについて真剣に悩んじゃうから。頼るといってもどうやって?って考えちゃう質なのよ。
「そうだよ中西君、案外みんな助けてくれるよ」
それができない性分なのよてつこは、だから一人で悩み苦しんじゃうの。分かったようなこと言うんならそこにも配慮してやってほしい。木暮さんは一見親身になっているようで、自分の優しさを押し付けているだけだと思う。
「ねぇそろそろ……」
もう何か我慢の限界!これ以上てつこを悩ませるようなこと言わないで!思考が怒りに震え出していた私は、なるべく穏便な言葉でこのやり取りを止めようとした。
ブーン、ブーン、ブーン。
「五条、ケータイ鳴ってるわよ」
もう何でこんな時に鳴るの?私は若干苛つきながらバッグに入っているケータイを掴んで画面を見る。何だメールかと思いそのままバッグに放り込む。
「メール?ご家族かも知れないから一応確認しておいたら?」
あ~ケータイに当たっちゃってるな……けどこの時は何故かクールダウンができなかった。
「多分広告メールだと思う、姉と弟は夜勤で居ないから」
「冬樹君かも知れないよ、見るだけ見ておいたら?」
「うん、そうする」
弥生ちゃんの言葉でちょっと落ち着きを取り戻し、再度ケータイを掴んでメールを受信っと……んん?
【テキトーに理由付けて抜けろ、仕切り直そう】
降谷からのメールだった。
弥生ちゃんも嬉しそうに手を振っている。私は脳内がぼやぼやとして思考がまとまらない。
「弥生ちゃんも呼ばれたんだね。んもぅ、それならそうって言ってよカンナちゃん」
「ゴメン、言うの忘れてた」
「五条さんも来てたんだ、この前は煩くしてごめんね」
「いえこちらこそ途中で抜けてしまってすみません」
取り敢えず当たり障りない言葉を交わし、彼女は安藤の隣に座った。
「素敵なお店だね、この辺りあまり来ないから知らなかった」
「でしょ?確か今日は用事でこっちに来るかなと思って」
「うん」
へぇ、この辺りに用事あったんだ。
「ひょっとして産科さん?」
あぁ、妊活で休職とか仰ってたな。この辺で産科だと県立総合病院か。
「うん、だいぶ状態も良くなってきてるって」
「自然妊娠も可能なんじゃない?」
「そうだといいな、お薬も一種類減るから気が楽になるわ」
もう弥生ちゃんとも親友状態ね。前回途中退席してる私は早くもアウェー感満載だ。
「実はね五条」
盛り上がっている弥生ちゃんと木暮さんを放置し、安藤は私に話を振る。
「今日予定してた合コンなんだけど、取引先の独身女性社員さんと中西君の三対一だったの。一人は上司の男性で」
えっ?何でそんなことしてるのよ?
「正月明けにお見合いなさったらしくてね、そのお相手が最悪だって杏璃ちゃんから相談されたのよ」
「杏璃から?」
あぁその話安藤にもしたんだね。何が何でも周央さんとてつこをくっ付けたくないんだ、でもそこ断ると実母の思うツボだと思うよ。
「えぇ。瀬田さんのお知り合いだそうだから断りにくいだろうし、色んな方を紹介して気が合う方が見つかればと思って。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる感はあるけど、私にできそうなのはお見合いを破談させることくらいだから。結婚ってなると杏璃ちゃんだって関わる権利くらいあると思うの。
気の合わない女が継母なんて嫌じゃない、せっかく中西家の養女に入れて幸せに暮らしてるのにあんまりすぎるわ」
それで知り合いの女性とてつこを引き合わせるの?
「てつこの好みに合いそうな方なの?」
「正直彼の好みが分からない。だから似たような年齢で独身の方に会って頂いて様子を見ようかと……悠長な気もするんだけど」
安藤がう~んと唸っていると、彼女のケータイが振動し始めた。
「はい」
瞬間技レベルでそれをパッと掴んで通話に出てる。
「見慣れた面子だから気負わなくていいわよ……ホントに?一人なら歓迎するわ……じゃ後ほど」
終始サバサバした口調で通話し、あっさりと終わらせてバッグに仕舞ってる。
「六人揃えられたわ、何かホッとした」
それは良いんだけど誰が来るの?依田とかいうのが来られても困るなぁ個人的に。
「あと二人誰が来るの?」
木暮さんもその点は気になるらしい、ってことは旦那じゃないのか。
「あぁ、なかに……来た来た」
何かさっきからそんな感じのタイミングで面子が増えていくなぁなんて思ってたら、ダウンジャケットにスキニーデニムという出で立ちのてつことスーツ姿の……降谷が連れ立ってやって来た。いえこの二人面識もあるし、保科酒造さんもそう遠くないですよ。けど何そのツーショット、初めて見たから違和感しか無いわ。
「ホントに見慣れた面子だな」
「だから言ったじゃない。そちらの方は?」
安藤は初対面の降谷を見ながら言う。
「五条の大学の同級、さっきばったり会ったから連れてきた」
「降谷尚之です、保科酒造で働いてます。因みに独身で~す」
降谷はチャラい挨拶をし、既婚組は若干引いてらした。
……が、チャラい男はそれなりに対話術が長けてたりする。降谷は場の空気をあっさり掴み、初対面組である安藤、弥生ちゃん、木暮さんの緊張を見事に解きやがった。
コイツ簡単な性格チェックみたいなネタを数多く記憶していて、合コンとかいった場で披露しては場を盛り上げるタイプなのだ。その辺は部長と似ているんだけど、違うのは黙ってりゃ男前という点だ。
「お~既婚組はSだねぇ」
「そんなこと無いですよ~」
「そうやって何人の女の子引っ掛けたの?」
降谷はチャラいが、売約済みの女性には一切手を出さないという潔癖な一面もある。それが出ているのか弥生ちゃんも木暮さんも気を許している感じだ。
「いや俺そんなにモテないよ」
「そうですか?イケメンだと思いますけど」
「目鼻口の配置バランスがマトモなだけだって、親に感謝だな。実際問題中西みたく黙ってる奴の方がモテんの」
「そうかしら?きちんと意思表示しないのも女からすると結構嫌よ」
安藤って結構辛辣だな。
「俺そんなに意思表示してないか?」
「分かりづらいのよ、敢えて出さないようにしてない?」
「そんなつもり無いんだけど」
そお?安藤はグラスワインを調子よく飲んでいる。この前も思ったんだけど、この子ウワバミレベルに酒が強い。
「う~ん、ポーカーフェイスな印象はありますね」
弥生ちゃんは烏龍茶に切り替えているが、お酒はさほど強くないので頬は真っ赤になってる。
「限界まで我慢するところはあると思う。主将としては頼れるけど、もう少し周りに甘えてもいいと思うよ」
「十分甘えてたよ、主将だった頃も今も」
「そうかな?弱音なんて人前で吐いたりしなかったじゃない、どんなに辛くても周りを優先して助けるの」
木暮さんは病院帰りなので素面である。確かに部員としてはよく見てらっしゃると思うけど、何と言うか介入し過ぎだと思う。
「それ木暮もじゃん、そっくりそのまま返してやるよ」
「何言ってるの、私は我慢してないよ」
何なんだろうコレ、まるで過干渉なお母さんみたい。いつまでも子供を手元に置きたがる感じで、いつまで経っても野球部員とマネージャーの立場を引きずってる。
「まぁまぁそれくらいにして。実際中西は何でもかんでも責任責任って背負い込む印象はあるぞ」
降谷今日は酔ってんのか?と思ったが、コイツ普段から車出勤のはずだから飲んでないと思う。飲むと黙るというか寝ちゃうタイプなんだよね。
「そんなじゃしんどいだろ、とは思う。多分甘え過ぎくらいで丁度いいんだよ」
「……」
降谷、その辺でやめとこう。てつこは甘えるについて真剣に悩んじゃうから。頼るといってもどうやって?って考えちゃう質なのよ。
「そうだよ中西君、案外みんな助けてくれるよ」
それができない性分なのよてつこは、だから一人で悩み苦しんじゃうの。分かったようなこと言うんならそこにも配慮してやってほしい。木暮さんは一見親身になっているようで、自分の優しさを押し付けているだけだと思う。
「ねぇそろそろ……」
もう何か我慢の限界!これ以上てつこを悩ませるようなこと言わないで!思考が怒りに震え出していた私は、なるべく穏便な言葉でこのやり取りを止めようとした。
ブーン、ブーン、ブーン。
「五条、ケータイ鳴ってるわよ」
もう何でこんな時に鳴るの?私は若干苛つきながらバッグに入っているケータイを掴んで画面を見る。何だメールかと思いそのままバッグに放り込む。
「メール?ご家族かも知れないから一応確認しておいたら?」
あ~ケータイに当たっちゃってるな……けどこの時は何故かクールダウンができなかった。
「多分広告メールだと思う、姉と弟は夜勤で居ないから」
「冬樹君かも知れないよ、見るだけ見ておいたら?」
「うん、そうする」
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