カゼショーグン

スエット02

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スズメロード

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小高い丘にあるカゼ将軍の館に近づくと段々と風が強くなっていくような気がした。何度か風に煽られて立ち止まった。
「これはカゼ将軍のお出迎えかい?」
そして、カゼ将軍の館の門前に何とか着いたようだ。風は止んだ。

門は閉まっていた。門の前に誰かいた。
「アンタ門番かい?」
「門番? ここの? いえ、違います。ここにいれば、スズメに会えるかも知れないと思ってここに」
「スズメ? スズメはあちこちにいるだろう」
「スズメはまだみてないです。スズメはあちこちに行っているという話ですが、もしかしたらここにも来るかも知れない。シンカイ監督のスズメロード。まだみてないのです」

「いくつかのレビューをみた限りの個人的感想ですが、人の都合による少なからぬ地域の荒廃、或いは自然との調和、共存を忘れがちな強引な開発など、そこでは人々の負のエネルギーが大きくなるとシンカイ監督は思ったのかも知れない。それと天災が結びつくと大災害に発展してしまうとの解釈でしょうか? とはいっても個人レベルではどんなに気をつけていても天災が避けられない場合もある。 そういった事も含めてスズメは全国を旅しているのかも知れない。 スズメはある意味、天の使いなのかな?」
「疫病もですかね? 疫病或いは病とネガティブなエネルギーが結びつくと、さらに悪化するかも知れない。昔から病は気からとも言います。過剰な心配はかえってよくない場合もあるかも知れない。ケースバイケースではありますが」

風がまた強く吹き出した。普通に立っているのもキツくなってきた。
「今日はもう帰ったほうがいいみたいです。さすがにスズメも来ないでしょう。ボクは帰ります」


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