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第三章 ひと仕事終えて
第二十九話 運命か故意か
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「お手紙が遅れたのはその件でバタついていたからなの。ひとまずは落ち着いたけど、残念なことにその女官の背後にいた人物を突き止めることができていなくて、そのせいでまた次のお手紙は遅れてしまうかも。ごめんなさいね」
サラッと書いては下さっているが、これ多分だいぶ機密情報だ。
私以外が読めないだろうという事で書いてくださっているんだろうけど、私だからと言って知ってはいけない事実な気もしなくもない。けど・・・ま、いっか。
要は誰にも言わなければいいのだと楽天的に考えながら二枚目をめくると、なんと今日は三枚目以降もあった。
過去最多だ。しかも書かれている内容は惚気だった。
要約すると、皇后様の旦那様であられる天子様は、彼女の転生前の世界での旦那さんにそっくりで、この平衡世界のような世界での彼なのではないかと。出会えたのは運命なのではないかと言うこと。
友だちの惚気話は元々大好物なのでとても楽しく拝見させていただいた。しかも三枚目から五枚目まで惚気話で、天子様がどれだけ皇后様を愛されているかを知ってしまった。
これも機密になりそうだけど、物凄く楽しい。
この国のトップに立たれている方の、愛妻家話。誰にも話せないけどお美代さんとキャッキャ言いながら話したいくらい楽しい。
道明様に話すなら・・・許されるかな?あ、でも彼は悪い事に使うかもだから止めた方がいいか。
なんて思いながら五枚目をめくる。今度こそ終わりかと思ったのに、六枚目に数行だけ、それも意味深な事が書かれていた。
「先の事だけど、物資は手配しておくわ。あなたの心のままの判断を私は尊重します」
人員は河入で一瞬だけ欲しいと思ったけど、物資を要請しようと思ったことはまだない。
という事は、まだまだ先の話という事か。
詳しく書いてくださっていないのは、何か理由があるのだろう。
「心のままの判断」というのもまだ分からないけど何か決断でも迫られるのかもしれない。以前道明様にも「心のままに」なんて言われていたけど、大事な二人から好き勝手していいお墨付きをもらえるなんて贅沢過ぎる。
つくづく幸せだなぁ。
皇后様が天子様に出会えたのが運命なら、私が道明様に出会えたのも運命なのだろうか。
いや、彼の場合は故意か。最初は私を利用してやろうなんて考えていた事だしね。
晩ご飯の時間になると、六助が呼びに来てくれた。
「なかなかお戻りになられませんでしたので心配しておりました」なんて言われて思わず頭を撫でたけど、すぐに「お医者様方がお待ちですので」と避けられてしまった。
複雑なお年頃なのかな?小さい子扱いはそろそろやめた方がいいのかもしれない。
六助に着いて行った先は本堂で、本堂内には夕食の場が整えられていた。
普段よりちょっと豪華なご飯に手を付けずに待っていてくれたのは、木村先生と草順。その隣には三太が座っていて、さらに隣の席には六助が座った。
向かいに座るのは顔は知ってるけど名前は覚えてない、二十歳くらいの僧と、一松。そこから続きで二席空いてるのは晴彦と道明様の分かな?
その隣は当然私だろう。なので、そこに腰を下ろした。
「随分とお帰りが遅くなられたようで」
目元の皺を一層深くしながら言う木村先生。
草順から事情は聞いているだろうにわざわざ口に出すのだからお人が悪い。
つい苦笑いを浮かべてしまった。
「えーっと、医療所の方はどうです?」
一旦無理やり話題を変えてみる。
明らかに不自然だったけど、お茶目ではあっても気遣いのプロである先生は、ちゃんと話題に乗ってくれた。
「城主様により一名は増員をして頂きました。あと二名は欲しいのですが、やはり医師を集めるのは難しいらしく、当面は無理でしょうね」
「急にって言うのは難しいですもんね」
「代わりに、そちらの長平殿と、こちらの三太に手伝っていただいています」
この、体は大きいけどボーッとしている感じの僧は長平って言うのか。でも、三太も医療所の手伝いをしているなんて・・・え、手伝いできるの?
「三太は何を?」
確かにきちんと座ってご飯の時間まで待つという事はできるけど、彼は仕事を任せてもすぐ蟻を見つけに行ってしまうタイプの子だ。
医療所みたいにミスが命取りになる場では危険な気もするけど・・・。
「三太は物覚えがいいのですよ。幼い頃の草順先生によく似ております」
「草順に?」
「えぇ」
薬草博士こと記憶力チャンピオンこと草順は、お喋りこそ苦手だが、そのうち木村先生くらい凄い医師になるんじゃないかと密かに思っていた。のに?
この、次期木村先生である草順に似てるの?三太が?
「薬棚の配置はもう把握していますし、頼りになる存在です」
サラッと書いては下さっているが、これ多分だいぶ機密情報だ。
私以外が読めないだろうという事で書いてくださっているんだろうけど、私だからと言って知ってはいけない事実な気もしなくもない。けど・・・ま、いっか。
要は誰にも言わなければいいのだと楽天的に考えながら二枚目をめくると、なんと今日は三枚目以降もあった。
過去最多だ。しかも書かれている内容は惚気だった。
要約すると、皇后様の旦那様であられる天子様は、彼女の転生前の世界での旦那さんにそっくりで、この平衡世界のような世界での彼なのではないかと。出会えたのは運命なのではないかと言うこと。
友だちの惚気話は元々大好物なのでとても楽しく拝見させていただいた。しかも三枚目から五枚目まで惚気話で、天子様がどれだけ皇后様を愛されているかを知ってしまった。
これも機密になりそうだけど、物凄く楽しい。
この国のトップに立たれている方の、愛妻家話。誰にも話せないけどお美代さんとキャッキャ言いながら話したいくらい楽しい。
道明様に話すなら・・・許されるかな?あ、でも彼は悪い事に使うかもだから止めた方がいいか。
なんて思いながら五枚目をめくる。今度こそ終わりかと思ったのに、六枚目に数行だけ、それも意味深な事が書かれていた。
「先の事だけど、物資は手配しておくわ。あなたの心のままの判断を私は尊重します」
人員は河入で一瞬だけ欲しいと思ったけど、物資を要請しようと思ったことはまだない。
という事は、まだまだ先の話という事か。
詳しく書いてくださっていないのは、何か理由があるのだろう。
「心のままの判断」というのもまだ分からないけど何か決断でも迫られるのかもしれない。以前道明様にも「心のままに」なんて言われていたけど、大事な二人から好き勝手していいお墨付きをもらえるなんて贅沢過ぎる。
つくづく幸せだなぁ。
皇后様が天子様に出会えたのが運命なら、私が道明様に出会えたのも運命なのだろうか。
いや、彼の場合は故意か。最初は私を利用してやろうなんて考えていた事だしね。
晩ご飯の時間になると、六助が呼びに来てくれた。
「なかなかお戻りになられませんでしたので心配しておりました」なんて言われて思わず頭を撫でたけど、すぐに「お医者様方がお待ちですので」と避けられてしまった。
複雑なお年頃なのかな?小さい子扱いはそろそろやめた方がいいのかもしれない。
六助に着いて行った先は本堂で、本堂内には夕食の場が整えられていた。
普段よりちょっと豪華なご飯に手を付けずに待っていてくれたのは、木村先生と草順。その隣には三太が座っていて、さらに隣の席には六助が座った。
向かいに座るのは顔は知ってるけど名前は覚えてない、二十歳くらいの僧と、一松。そこから続きで二席空いてるのは晴彦と道明様の分かな?
その隣は当然私だろう。なので、そこに腰を下ろした。
「随分とお帰りが遅くなられたようで」
目元の皺を一層深くしながら言う木村先生。
草順から事情は聞いているだろうにわざわざ口に出すのだからお人が悪い。
つい苦笑いを浮かべてしまった。
「えーっと、医療所の方はどうです?」
一旦無理やり話題を変えてみる。
明らかに不自然だったけど、お茶目ではあっても気遣いのプロである先生は、ちゃんと話題に乗ってくれた。
「城主様により一名は増員をして頂きました。あと二名は欲しいのですが、やはり医師を集めるのは難しいらしく、当面は無理でしょうね」
「急にって言うのは難しいですもんね」
「代わりに、そちらの長平殿と、こちらの三太に手伝っていただいています」
この、体は大きいけどボーッとしている感じの僧は長平って言うのか。でも、三太も医療所の手伝いをしているなんて・・・え、手伝いできるの?
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「草順に?」
「えぇ」
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