6 / 57
1.旅のはじまりとパーティの結成
(5)初めての勇者活動
しおりを挟む
コーダンに続き、二人目の仲間になったラーニカはまだ冒険者歴6年目。
才能が開花するのが遅く、人より遅れて魔法学校に入学したという事だが、得意とする炎魔法は扱いが難しいため今まではパーティメンバーに恵まれなかったらしい。
という事で、冒険者ランクはまだD。護衛の依頼が受けれるのはCからだから、報酬はいらないと断られてしまった。
「じゃあ、僕のパーティにいる間の必要経費は全部僕が払う。これだけは譲れないからね」
「えぇ、分かったわ」
ラーニカは大人の女の人って感じで、じっと見つめられると少しドキドキしてしまう。
見た目だけ男の子になるつもりだったのに、もしかして心まで男の子になってしまったんだろうか・・・?
3人に増えたけど、当初の予定通り私の装備を買うために防具屋を回って、コーダンに皮装備を見繕ってもらった。
ラーニカが「もっとオシャレなのないの?」と文句を言っているのを横目に、シンプルで機能性が高くそこそこの値段の装備を発掘していくコーダン。
私は渡されたものを試着して、言われた通りのものを購入するだけ。信用出来るベテランの感覚はすごく頼りになって、思っていた額の半分で思っていた以上の装備を揃えることができた。
今までの装備はどうしようかと思っていたら、なんとラーニカが収納魔法を持っていた。
小さいサイズだったとしても収納魔法はすごく助かる。今度時間のある時に陣を見せてもらおうかな。
そんな感じで装備を揃えて、カーゴ村を出ようとしていた時、真新しい立て看板が目に入った。
「盗賊?」
「ここ数年、稼げなくなった冒険者崩れがこういうのに手を染めてんだよ」
苦笑するコーダンの後ろでラーニカもうんうんと頷いていた。ロロン村近辺は平和だから盗賊なんて見た事なかったけど、わざわざ注意のための立て札が出ているならみんな困っているんだろう。
「ギルドは何もしないの?」
「討伐依頼は出てても報酬が低すぎて誰もやりたがらねぇんだろ。金持ちが依頼出す前はほぼボランティアだしな」
「ふーん」
魔物だと討伐したら素材が手に入るが、相手が人間なら身ぐるみ剥ぐ訳にも行かないし、お宝を溜め込んでいる確証が無ければ最悪骨折り損になるということか。
人間相手だからド派手に魔法でって訳にもいかない。殺さないように手加減しながら捕まえるのは確かに面倒くさそうだ。
だが、逆にそれは私にとってのチャンスでもあった。
「みんなが困ってるなら倒しに行こうか」
「正気か?」
「危ないわよ?」
止めようとする二人は、冒険者としては正しいのだろう。
けど、私は意見を変えるつもりはない。
だって私がなりたいのはただの冒険者ではないのだから。
「でも、勇者になるならやるべき、でしょ?」
一度カーゴ村に戻り、ロープを何本か調達してから、盗賊が出るという街道脇の森に入った。
けもの道を少し歩くと、被害報告があったという野草の群生地に出る。
「すごい、花って日陰でも咲くんだね」
「この花は逆に日陰じゃないと咲かないのよ。だから少し貴重なの」
「そうなんだ・・・」
森自体は屋敷の裏にあった森とほとんど変わらない雰囲気だが、植生は違うのかもしれない。
本を読むだけでは知らなかった事だ。冒険って本当に面白い。
「さて、どうしようか」
白い可憐な花を見渡しながら、手持ち無沙汰になってしまった。
盗賊とはいえ、さすがにすぐに出てきてくれることはないだろうし、どのくらい待てばいいんだろうか。
コーダンは目をつぶったまま木にもたれかかっていて、長期戦の構えだ。
ラーニカは、座り込んだと思ったら花を摘み始めた。
葉を痛めないように、ひとつずつ綺麗に花の部分だけを摘んでいる。
「それどうするの?」
「干してお茶に入れると、魔力が回復するのよ」
「えー、凄い!」
「回復って言ってもほんの少しだけどね」
お茶なんて今までは煎れてもらうものだったから、野草の花を浮かべるなんて思ってもみなかった。
「僕も摘むから飲んでもいい?」
「もちろん」
微笑むラーニカの隣に座り込み、見よう見まねで花を摘む。
プチプチと小気味いい音を立てながら摘んでいると、すぐに小さな花の山が出来上がった。
「これくらいあれば十分よ」
そう言って、ラーニカは花を収納魔法で片付けてから立ち上がる。
取りすぎはいけないんだろうけど、楽しかったのでちょっぴり残念だ。
才能が開花するのが遅く、人より遅れて魔法学校に入学したという事だが、得意とする炎魔法は扱いが難しいため今まではパーティメンバーに恵まれなかったらしい。
という事で、冒険者ランクはまだD。護衛の依頼が受けれるのはCからだから、報酬はいらないと断られてしまった。
「じゃあ、僕のパーティにいる間の必要経費は全部僕が払う。これだけは譲れないからね」
「えぇ、分かったわ」
ラーニカは大人の女の人って感じで、じっと見つめられると少しドキドキしてしまう。
見た目だけ男の子になるつもりだったのに、もしかして心まで男の子になってしまったんだろうか・・・?
3人に増えたけど、当初の予定通り私の装備を買うために防具屋を回って、コーダンに皮装備を見繕ってもらった。
ラーニカが「もっとオシャレなのないの?」と文句を言っているのを横目に、シンプルで機能性が高くそこそこの値段の装備を発掘していくコーダン。
私は渡されたものを試着して、言われた通りのものを購入するだけ。信用出来るベテランの感覚はすごく頼りになって、思っていた額の半分で思っていた以上の装備を揃えることができた。
今までの装備はどうしようかと思っていたら、なんとラーニカが収納魔法を持っていた。
小さいサイズだったとしても収納魔法はすごく助かる。今度時間のある時に陣を見せてもらおうかな。
そんな感じで装備を揃えて、カーゴ村を出ようとしていた時、真新しい立て看板が目に入った。
「盗賊?」
「ここ数年、稼げなくなった冒険者崩れがこういうのに手を染めてんだよ」
苦笑するコーダンの後ろでラーニカもうんうんと頷いていた。ロロン村近辺は平和だから盗賊なんて見た事なかったけど、わざわざ注意のための立て札が出ているならみんな困っているんだろう。
「ギルドは何もしないの?」
「討伐依頼は出てても報酬が低すぎて誰もやりたがらねぇんだろ。金持ちが依頼出す前はほぼボランティアだしな」
「ふーん」
魔物だと討伐したら素材が手に入るが、相手が人間なら身ぐるみ剥ぐ訳にも行かないし、お宝を溜め込んでいる確証が無ければ最悪骨折り損になるということか。
人間相手だからド派手に魔法でって訳にもいかない。殺さないように手加減しながら捕まえるのは確かに面倒くさそうだ。
だが、逆にそれは私にとってのチャンスでもあった。
「みんなが困ってるなら倒しに行こうか」
「正気か?」
「危ないわよ?」
止めようとする二人は、冒険者としては正しいのだろう。
けど、私は意見を変えるつもりはない。
だって私がなりたいのはただの冒険者ではないのだから。
「でも、勇者になるならやるべき、でしょ?」
一度カーゴ村に戻り、ロープを何本か調達してから、盗賊が出るという街道脇の森に入った。
けもの道を少し歩くと、被害報告があったという野草の群生地に出る。
「すごい、花って日陰でも咲くんだね」
「この花は逆に日陰じゃないと咲かないのよ。だから少し貴重なの」
「そうなんだ・・・」
森自体は屋敷の裏にあった森とほとんど変わらない雰囲気だが、植生は違うのかもしれない。
本を読むだけでは知らなかった事だ。冒険って本当に面白い。
「さて、どうしようか」
白い可憐な花を見渡しながら、手持ち無沙汰になってしまった。
盗賊とはいえ、さすがにすぐに出てきてくれることはないだろうし、どのくらい待てばいいんだろうか。
コーダンは目をつぶったまま木にもたれかかっていて、長期戦の構えだ。
ラーニカは、座り込んだと思ったら花を摘み始めた。
葉を痛めないように、ひとつずつ綺麗に花の部分だけを摘んでいる。
「それどうするの?」
「干してお茶に入れると、魔力が回復するのよ」
「えー、凄い!」
「回復って言ってもほんの少しだけどね」
お茶なんて今までは煎れてもらうものだったから、野草の花を浮かべるなんて思ってもみなかった。
「僕も摘むから飲んでもいい?」
「もちろん」
微笑むラーニカの隣に座り込み、見よう見まねで花を摘む。
プチプチと小気味いい音を立てながら摘んでいると、すぐに小さな花の山が出来上がった。
「これくらいあれば十分よ」
そう言って、ラーニカは花を収納魔法で片付けてから立ち上がる。
取りすぎはいけないんだろうけど、楽しかったのでちょっぴり残念だ。
20
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる