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2.勇者としての素質
(9)神様からの『祝福』
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男性の言葉に、コーダンとラーニカが息をのむ音がする。
あまり一般的に知られている魔法ではないが、やはり冒険者である彼らは知っているのか。
黒い瞳は、魔力をよく視ると言う。この男性はその深淵の様な黒で、最初から見抜いていた、という事だろう。
「今の話、本当?」
ラーニカに耳打ちされると、彼女の胸が腕に当たって何とも言えない気持ちになってしまう。
避けるのも失礼なので、胸が当たらないように体の向きを変えて彼女に向き合った。
「うん。そのうち話そうとは思ってたんだけどね」
祝福。それは、その名の通りこの世に生まれ落ちた瞬間に神から与えられる、奇跡の様な魔法。
平たく言えば、祝福を受けている人とパーティを組めば、そのメンバーは通常時よりも飛躍的に何かしらの能力が向上するという強化魔法だ。
普通の強化魔法との違いは、発動条件が「パーティを組んでいれば多少離れていても効果が持続する」ということと、「人数制限がない」ということ。そして、「使用するのに魔力が必要ない」ということ。
魔法というくくりには入っていても、神からの祝福としか思えない、そんな凄いものを、私は持っている。
「本当にいるのね・・・おとぎ話かと思っていたわ・・・」
ラーニカが目を丸くするのも無理はない。悪用される可能性が高いため、簡単に口にしていいものじゃないとお父様も言っていた。
お父様とお母様が『祝福』を持っているのも、勇者ローレン一行のパーティメンバーの他には限られた数人しか知らないくらいなのだから。
「で?うちのリーダーの『祝福』に一目ぼれしたってわけか?」
「うん。その『祝福』で何を成し遂げるのか見たい。だから俺も連れて行ってよ」
勇者ローレンが魔王を討ち果たしたように、『祝福』を持つ者は時代を変える力を持つとも言われている。
私が勇者を目指す理由の一つも、『祝福』を持っているからだったりしている。
怪しくはあるが、男性の動機は最もではあったし、黒目がパーティにいるのは重宝しそうだ。
どう、するべきか・・・。
「俺、結構役に立つと思うよ?」
ここまで熱烈に加入希望されると逆に気持ち悪いけど、『祝福』の希少さを考えるとそういう人がいてもおかしくはない。
ここは・・・ベテランの判断に任せるか。
「コーダン、どう思う?」
「いったん連れて行って、役に立たなかったり変なことしそうだったら捨てればいいんじゃないか?」
「・・・じゃあそれで」
「やったぁ」
言うなり、男性はコーダンの横をすり抜けて私の目の前に来る。
この距離で見ると、全体的にスッキリとした顔立ちでそこそこのイケメンだと言うのに気付いた。
「俺、ディーナン。よろしく勇者さま」
『祝福』の話が出たので、次の街に着いてから改めて自己紹介をし直すことにした。
「まずあたしからね」
ベッドに腰掛けながら手を上げるラーニカに頷いてあげると、なぜか彼女は私の方を見ながら話し始める。
「名前はラーニカ。ちょっと古臭い名前なのは、お察しの通り教会で名付けを受けたから。ちゃんと魔法学校卒業した認定魔法使いだけど、使えるのが炎魔法だから冒険者してるの」
私はカーゴ村でもう教えてもらっていた情報だった。
ということは、ディーナンに向けての自己紹介のはずなのに、ラーニカは彼の方をチラリとも見ない。
「勇者さま、炎の魔法使いなんて連れてるの?」
私の『祝福』が視えているならラーニカが炎魔法を使う事なんてとっくに分かっていただろうに、ディーナンの発言は明らかにラーニカを挑発するためのものだった。
「あ・た・し・は!リーアンにナンパされてパーティ入りしたの!」
挑発されれば、ラーニカも流石にディーナンを睨みつける。
窓際で壁にもたれながら腕を組むディーナンは、チラリとだけラーニカを見て、また視線を私に戻した。
「勇者さまこういう女が好みなの?」
「・・・少なくとも、他人の悪口言う人よりはラーニカの方が好きだな」
「ごめんごめん。炎魔法良いよね。野宿の時とか重宝するし」
「リーアン!こいつ捨てよ!あたしこいつ嫌い!」
どうやらラーニカとディーナンの相性はあまり良くないらしい。
パーティの不和は重大な問題だと、お父様も言っていたし、やっぱりリーダーとしてはどうにかするべきだろうか?
でも、一度仲間に加えた手前、すぐにディーナンとさよならっていうのも違う気がするし・・・。
「お前ら、リーダー困らせたいのか?」
静かに一喝しただけで2人を黙らせたコーダンは、さすが最年長と言うべきか。入り口脇のイスに腰掛けてるのは、もしかしたら盗み聞きをされないようになのかもしれない。
「俺はコーダン。冒険者歴18年のBランク。パーティランクを上げるためにリーアンに金で雇われてる。以上だ」
簡潔に自己紹介を終えると、質問は受け付けないとばかりに目を閉じる。
コーダンかっこいいなぁ。私が男の子だったら、彼みたいな冒険者を目指していたんだろうな。
「で、勇者さまは?」
「リーアンよりあんたが先でしょ」
一度口げんかが終わったとはいえ、ラーニカはディーナンを睨みつけるのを止めてはいない。
・・・あとでこっそりコーダンに仲裁の仕方を教えてもらおう。
あまり一般的に知られている魔法ではないが、やはり冒険者である彼らは知っているのか。
黒い瞳は、魔力をよく視ると言う。この男性はその深淵の様な黒で、最初から見抜いていた、という事だろう。
「今の話、本当?」
ラーニカに耳打ちされると、彼女の胸が腕に当たって何とも言えない気持ちになってしまう。
避けるのも失礼なので、胸が当たらないように体の向きを変えて彼女に向き合った。
「うん。そのうち話そうとは思ってたんだけどね」
祝福。それは、その名の通りこの世に生まれ落ちた瞬間に神から与えられる、奇跡の様な魔法。
平たく言えば、祝福を受けている人とパーティを組めば、そのメンバーは通常時よりも飛躍的に何かしらの能力が向上するという強化魔法だ。
普通の強化魔法との違いは、発動条件が「パーティを組んでいれば多少離れていても効果が持続する」ということと、「人数制限がない」ということ。そして、「使用するのに魔力が必要ない」ということ。
魔法というくくりには入っていても、神からの祝福としか思えない、そんな凄いものを、私は持っている。
「本当にいるのね・・・おとぎ話かと思っていたわ・・・」
ラーニカが目を丸くするのも無理はない。悪用される可能性が高いため、簡単に口にしていいものじゃないとお父様も言っていた。
お父様とお母様が『祝福』を持っているのも、勇者ローレン一行のパーティメンバーの他には限られた数人しか知らないくらいなのだから。
「で?うちのリーダーの『祝福』に一目ぼれしたってわけか?」
「うん。その『祝福』で何を成し遂げるのか見たい。だから俺も連れて行ってよ」
勇者ローレンが魔王を討ち果たしたように、『祝福』を持つ者は時代を変える力を持つとも言われている。
私が勇者を目指す理由の一つも、『祝福』を持っているからだったりしている。
怪しくはあるが、男性の動機は最もではあったし、黒目がパーティにいるのは重宝しそうだ。
どう、するべきか・・・。
「俺、結構役に立つと思うよ?」
ここまで熱烈に加入希望されると逆に気持ち悪いけど、『祝福』の希少さを考えるとそういう人がいてもおかしくはない。
ここは・・・ベテランの判断に任せるか。
「コーダン、どう思う?」
「いったん連れて行って、役に立たなかったり変なことしそうだったら捨てればいいんじゃないか?」
「・・・じゃあそれで」
「やったぁ」
言うなり、男性はコーダンの横をすり抜けて私の目の前に来る。
この距離で見ると、全体的にスッキリとした顔立ちでそこそこのイケメンだと言うのに気付いた。
「俺、ディーナン。よろしく勇者さま」
『祝福』の話が出たので、次の街に着いてから改めて自己紹介をし直すことにした。
「まずあたしからね」
ベッドに腰掛けながら手を上げるラーニカに頷いてあげると、なぜか彼女は私の方を見ながら話し始める。
「名前はラーニカ。ちょっと古臭い名前なのは、お察しの通り教会で名付けを受けたから。ちゃんと魔法学校卒業した認定魔法使いだけど、使えるのが炎魔法だから冒険者してるの」
私はカーゴ村でもう教えてもらっていた情報だった。
ということは、ディーナンに向けての自己紹介のはずなのに、ラーニカは彼の方をチラリとも見ない。
「勇者さま、炎の魔法使いなんて連れてるの?」
私の『祝福』が視えているならラーニカが炎魔法を使う事なんてとっくに分かっていただろうに、ディーナンの発言は明らかにラーニカを挑発するためのものだった。
「あ・た・し・は!リーアンにナンパされてパーティ入りしたの!」
挑発されれば、ラーニカも流石にディーナンを睨みつける。
窓際で壁にもたれながら腕を組むディーナンは、チラリとだけラーニカを見て、また視線を私に戻した。
「勇者さまこういう女が好みなの?」
「・・・少なくとも、他人の悪口言う人よりはラーニカの方が好きだな」
「ごめんごめん。炎魔法良いよね。野宿の時とか重宝するし」
「リーアン!こいつ捨てよ!あたしこいつ嫌い!」
どうやらラーニカとディーナンの相性はあまり良くないらしい。
パーティの不和は重大な問題だと、お父様も言っていたし、やっぱりリーダーとしてはどうにかするべきだろうか?
でも、一度仲間に加えた手前、すぐにディーナンとさよならっていうのも違う気がするし・・・。
「お前ら、リーダー困らせたいのか?」
静かに一喝しただけで2人を黙らせたコーダンは、さすが最年長と言うべきか。入り口脇のイスに腰掛けてるのは、もしかしたら盗み聞きをされないようになのかもしれない。
「俺はコーダン。冒険者歴18年のBランク。パーティランクを上げるためにリーアンに金で雇われてる。以上だ」
簡潔に自己紹介を終えると、質問は受け付けないとばかりに目を閉じる。
コーダンかっこいいなぁ。私が男の子だったら、彼みたいな冒険者を目指していたんだろうな。
「で、勇者さまは?」
「リーアンよりあんたが先でしょ」
一度口げんかが終わったとはいえ、ラーニカはディーナンを睨みつけるのを止めてはいない。
・・・あとでこっそりコーダンに仲裁の仕方を教えてもらおう。
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