重なる月 ~いつの時代も月は見ていた~

志生帆 海

文字の大きさ
1,465 / 1,707
第3部 15章

2022年 特別番外編『Happy Halloween 月影寺・朝』

しおりを挟む

「もうすぐ10月も終わるね。あ……もしかして流、今年もやるの?」
「もちろんやるさ! 近所の評判にもなっているしな、お寺ハロウィンは最高だ」
「でも一昨年の衣装は破れて捨てたし、去年は流が鼻血で汚したし……」

 ぶつぶつ言っていると、流が快活に笑った。

「なあに心配するなって! 今年はすごいぞ。俺が皆のために衣装をデザインして、作ったんだから」
「え? まったく……夜な夜な何をしているのかと思ったら」
「翠? もしかして一人寝が寂しかったのか」
「さ……寂しくなんかないよ!」

 それは嘘だ。

 最近……朝夕、気温がぐっと下がり、人肌恋しかったんだ。

 流が来てくれいから、寒かったんだ。

「今夜は行くよ」
「よっ、呼んでない」
「翠、素直になれ」




 ハロウィン当日。

 寺の本堂に、一同が集められる。

「いいかい? 今日のイベントは寺の存命に関わる。皆、心して衣装を受け取り、なりきっておくれ」

 って……どうして僕がこんな台詞を?
 
 流がウキウキと一人一人に衣装を手渡す。

「きゃー! 僕はカボチャ饅頭のおばけですよ」

 まず喜ぶのは小森くん。

 は……鼻息が荒いね。

「住職さま~ 僕、もう二十歳です」
「うん?」
「その、菅野くんと出会い、ちょっと大人になりました」
「そうだね」
「だから今年の僕は、子供たちを泣かせますよ」
「はい?」
「かぼちゃのオバケは一番怖いんです!」

 フンと鼻を膨らませているが、あどけないだけだった。

 すると丈が隣で衣装を確認し、険しい声を出した。

「兄さん! これは、なんです?」
「流さん、ずいぶんひらひらしていますね」

 洋くんは冷ややかに笑っている。

「あー 丈と洋は織り姫と彦星な。お前達は七夕に結婚式をあげたから、今流行の中華BLの衣装からヒントを得て、アレンジしてみた」
「へぇ、成る程、俺もあのドラマは観ました。いいですね」

 洋くんは今度は感心した声を出した。
 
「私は……不安でしかないですよ」

 洋くんはまったく気にしていないようだが、丈は顔が引き攣っていた。

「流、ところで僕は何?」
「怖い怖い魔女はどうだ?」
「住職がそれはまずいんじゃないのか」
「そう言うと思った。じゃあ執事なんてどうだ?」
「なんだか投げやりだな。どうせ脱がせば同じだとか思ってないよね?」

 流がニヤリと笑う。

 はっ! 僕、今、何を言って……?

 は、恥ずかしい。

「そう怒るなって。翠は何を着ても可愛いよ。いや……着ていなくても最高だ」
「も、もう――そういう流は何を着るつもりだ?」
「翠と薙とお揃いで、メイド服にしようかと準備した」

 薙がワクワクした顔で近づいて来る。

「流さん、それイイネ! オレたちは今日は案内役だろ? 父さんも一緒に着ようぜ!」
「ははは、ノリがいいな」
「二人とも……全く」

 と言いつつ、流と薙と三人でお揃いの服を着るのは、嬉しかった。

 僕たちは親子だから……

 薙は、僕たちの子だから。

 さぁ、夕方には月影寺ハロウィンのスタートだ!



 

 夜に続く。




 
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

晴れの日は嫌い。

うさぎのカメラ
BL
有名名門進学校に通う美少年一年生笹倉 叶が初めて興味を持ったのは、三年生の『杉原 俊』先輩でした。 叶はトラウマを隠し持っているが、杉原先輩はどうやら知っている様子で。 お互いを利用した関係が始まる?

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

「先輩、その距離は反則です!」

静羽(しずは)
BL
新人社員の湊 海(みなと かい)は大手企業に就職した。 情報処理システム課に配属された。 毎日作成した書類を営業課に届けている。 海は情報処理システム課で毎日作成した書類を営業課に届けている。 そこには営業課に所属するやり手社員、綾瀬 (あやせ はると)の姿があった。 顔見知りになった二人は、会社の歓迎会で席が隣になったことで打ち解け遥斗は湊に一目惚れしていた事、自分のセクシャリティを打ち明けた。 動揺しつつも受け入れたいと思う湊。 そのタイミングで大学時代に憧れていた先輩・人たらし朝霧 恒一(あさぎり こういち)と卒業後初めて再会し、湊の心は二人の間で揺れ動く。

【完結】青春は嘘から始める

虎ノ威きよひ
BL
 4組の高校生カップル誕生までの物語。  光安、桜田、梅木、杏山の4人は教師に聞いた「告白ゲーム」を実行することにした。  それは、罰ゲームで告白するという罰当たりなゲームである。  「冗談でした」で済ませられるよう女子にモテモテの同学年のイケメンたちにそれぞれ告白する。  しかし、なんと全員OKを貰ってしまった!   ※1組ずつ嘘の告白からその後の展開を描いていきます。 ※3組完結、4組目公開中。 ※1組2万字程度の予定。 ※本当に一言二言ですが、どんなキャラクター同士が組み合わさるのかを知りたい方は「登場人物」を確認してください。

半分だけ特別なあいつと僕の、遠まわりな十年間。

深嶋(深嶋つづみ)
BL
 ヒート事故により大きく人生が変わってしまったオメガ性の水元佑月。  いつか自由な未来を取り戻せることを信じて、番解消のための治療に通いながら、明るく前向きに生活していた。  佑月が初めての恋に夢中になっていたある日、ヒート事故で半つがいとなってしまった相手・夏原と再会して――。    色々ありながらも佑月が成長し、運命の恋に落ちて、幸せになるまでの十年間を描いた物語です。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

処理中です...