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成就編
恋満ちる 10
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「菅野……ごめん。宗吾さんの悪ふざけは今回限りにさせるから、大目にみてもらえないか」
俺を心底心配する声が聞こえた。葉山から心配されるのは、悪い気はしない。
「気にすんなよ。でも今回限りではないだろうな~ははっ」
焼きもち彼氏にたっぷり愛されているみずきちゃん発見だ。しかし宗吾さんって自分の感情に素直な面白い人で、葉山と真逆だな。
「う……もう取っていいよ。 宗吾さんも気が済んだだろうし」
「いや大丈夫だ。これはこれで結構新鮮で楽しいぞ。俺も美味しい雑炊食べたいし、このままいい子にしているよ」
「えっ、いいの? 」
「あーでも、ビール飲みてぇ」
「あ、うん。ほら」
葉山がビールグラスを、手に持たせてくれた。
「お、サンキュ。しかし葉山の彼氏って若いな。いや、大人げないと言うのか」
「……ははは、菅野に見破られちゃった? 」
葉山の苦笑が聞こえる。
でも良かった。こんな風に自宅では面白可笑しく過ごしてるのが分かって、ホッとしたよ。社内ではいつも何でも卒なくこなす優等生だったから、少し心配していたんだ。
「葉山は今、幸せなんだな。すげー彼氏に愛されているな」
顔が見えないから、今なら普段、心で思っていることを、どんどん言えそうだ。
「は、恥ずかしいよ。あまりストレートに言われると。それより宗吾さんと僕の関係を受け入れてくれてありがとう。その……嫌悪感を持たれるかと、危惧していた」
「俺は大丈夫だ。全然平気だった。お前たちみたいなカップルが周りにいるわけじゃないんだけどさ、葉山が幸せそうにしているのを見ていると、なんかこう、じわじわっと嬉しくなるんだよな。そんだけ葉山の幸せそうな顔って、周囲を和ませているんだぞ! 」
これって人の幸せを自分のことのように感じるって感覚なのか。 葉山は職場でも、いつも周りの人の幸せを考え、周囲の人のために真っ先に行動していた。だから皆、葉山のことを好きで、幸せになってもらいたいと願っている。
つまり、それが密かに『みずきちゃん』と言われる所以なのさ!
「え、そうなの? 僕が……周りを……そんなことって……いいのかな」
葉山の声が、じわっと潤み出す。
「よせやい。おーい、泣くなよ」
「う、うん。僕は……実は子供の頃、家族を亡くしているから、自分だけ幸せになるのがずっと怖かったんだ。ずっと幸せに臆病だった。そんな僕が……」
「そうか。葉山がポジティブになってきたのは、宗吾さんの影響だな。いい相手と巡り合ったな」
「うぅ……う……」
「わ、よせ! 泣くな! 滝沢さんにコロサレルー‼ 」
すると雑炊の旨そうな香りが、突然ぷーんと届いた。
「あ、雑炊! た、滝沢さんっ、そのっ葉山が泣いているのには、理由があって、俺が泣かしてわけじゃ……」
手を顔の前で左右にブンブン振ると、滝沢さんの朗らかな笑い声が聞こえた。
「ははっ、さっきから話を聞いていたよ。ありがとうな。瑞樹に幸せな言葉を沢山贈ってくれて。瑞樹はいい友人を持ったな。菅野くん、もう取っていいよ」
うわ。またまた照れくさいシチュエーションだ。俺はこういうのに弱くて顔が柄にもなく火照った。
「いえ……もう少しつけてます。その代わり、葉山~あーん♡」
わざとおどけて、口を大きく開け『タベサセテクレ』のジェスチャーを大袈裟にすると、ふたりの笑い声が響いた。
楽しいな! いい飲み会だな! 居心地いいな!
見事に、幸せが3拍子揃っているぞ~
「ほぅ……なら、食え。あーん♡」
「ええっ、まさかの滝沢さんからの、アーンですかぁぁぁ」
「そうだ、甘えん坊の菅野くん! 」
「くすっ、くすくす」
「あーもう取りますってば! 」
アイマスクを取ると、俺の向かい側でふたりが楽しそうに肩を揺らして笑い合っていた。目尻に皺を寄せて、心の底から楽しそうに。
「さぁ飲め飲め」
「はい、飲みますよー! 」
その晩は、そこからまた盛り上がって沢山ビールを飲んでしまった。
で……俺はそのままソファで撃沈だ。
俺を心底心配する声が聞こえた。葉山から心配されるのは、悪い気はしない。
「気にすんなよ。でも今回限りではないだろうな~ははっ」
焼きもち彼氏にたっぷり愛されているみずきちゃん発見だ。しかし宗吾さんって自分の感情に素直な面白い人で、葉山と真逆だな。
「う……もう取っていいよ。 宗吾さんも気が済んだだろうし」
「いや大丈夫だ。これはこれで結構新鮮で楽しいぞ。俺も美味しい雑炊食べたいし、このままいい子にしているよ」
「えっ、いいの? 」
「あーでも、ビール飲みてぇ」
「あ、うん。ほら」
葉山がビールグラスを、手に持たせてくれた。
「お、サンキュ。しかし葉山の彼氏って若いな。いや、大人げないと言うのか」
「……ははは、菅野に見破られちゃった? 」
葉山の苦笑が聞こえる。
でも良かった。こんな風に自宅では面白可笑しく過ごしてるのが分かって、ホッとしたよ。社内ではいつも何でも卒なくこなす優等生だったから、少し心配していたんだ。
「葉山は今、幸せなんだな。すげー彼氏に愛されているな」
顔が見えないから、今なら普段、心で思っていることを、どんどん言えそうだ。
「は、恥ずかしいよ。あまりストレートに言われると。それより宗吾さんと僕の関係を受け入れてくれてありがとう。その……嫌悪感を持たれるかと、危惧していた」
「俺は大丈夫だ。全然平気だった。お前たちみたいなカップルが周りにいるわけじゃないんだけどさ、葉山が幸せそうにしているのを見ていると、なんかこう、じわじわっと嬉しくなるんだよな。そんだけ葉山の幸せそうな顔って、周囲を和ませているんだぞ! 」
これって人の幸せを自分のことのように感じるって感覚なのか。 葉山は職場でも、いつも周りの人の幸せを考え、周囲の人のために真っ先に行動していた。だから皆、葉山のことを好きで、幸せになってもらいたいと願っている。
つまり、それが密かに『みずきちゃん』と言われる所以なのさ!
「え、そうなの? 僕が……周りを……そんなことって……いいのかな」
葉山の声が、じわっと潤み出す。
「よせやい。おーい、泣くなよ」
「う、うん。僕は……実は子供の頃、家族を亡くしているから、自分だけ幸せになるのがずっと怖かったんだ。ずっと幸せに臆病だった。そんな僕が……」
「そうか。葉山がポジティブになってきたのは、宗吾さんの影響だな。いい相手と巡り合ったな」
「うぅ……う……」
「わ、よせ! 泣くな! 滝沢さんにコロサレルー‼ 」
すると雑炊の旨そうな香りが、突然ぷーんと届いた。
「あ、雑炊! た、滝沢さんっ、そのっ葉山が泣いているのには、理由があって、俺が泣かしてわけじゃ……」
手を顔の前で左右にブンブン振ると、滝沢さんの朗らかな笑い声が聞こえた。
「ははっ、さっきから話を聞いていたよ。ありがとうな。瑞樹に幸せな言葉を沢山贈ってくれて。瑞樹はいい友人を持ったな。菅野くん、もう取っていいよ」
うわ。またまた照れくさいシチュエーションだ。俺はこういうのに弱くて顔が柄にもなく火照った。
「いえ……もう少しつけてます。その代わり、葉山~あーん♡」
わざとおどけて、口を大きく開け『タベサセテクレ』のジェスチャーを大袈裟にすると、ふたりの笑い声が響いた。
楽しいな! いい飲み会だな! 居心地いいな!
見事に、幸せが3拍子揃っているぞ~
「ほぅ……なら、食え。あーん♡」
「ええっ、まさかの滝沢さんからの、アーンですかぁぁぁ」
「そうだ、甘えん坊の菅野くん! 」
「くすっ、くすくす」
「あーもう取りますってば! 」
アイマスクを取ると、俺の向かい側でふたりが楽しそうに肩を揺らして笑い合っていた。目尻に皺を寄せて、心の底から楽しそうに。
「さぁ飲め飲め」
「はい、飲みますよー! 」
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で……俺はそのままソファで撃沈だ。
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