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小学生編
ゆめの国 15
薄暗い室内で幻想的な海の生き物を見つめていると、ロマンチックな気分になったきた。
思い切って身体を寄せて……瑞樹の手に触れた。
そのまま左手薬指の指輪をなぞると、瑞樹は擽ったそうにふわりと甘く微笑んでくれた。
「宗吾さん?」
「瑞樹……」
その笑顔に射止められ、淡い初恋に似た感情がぶわっと沸き起こった。
「ずっと君に憧れていた。離婚して芽生を幼稚園に送るようになってから、いつも見ていたのだよ」
「は……はい」
「だから、まだ時々信じられないよ。これが現実なのが」
「現実です。でなければ……僕が困ります」
瑞樹からも手を握ってくれた。
手と手が繋がっているだけでも、心が穏やかになるんだな。
「パパー、おにいちゃーん」
イカやクラゲを追いかけて走り回っていた芽生が、手を振っている。
「芽生くーん!」
お兄ちゃんと呼ばれる度に、瑞樹は心から喜んでくれる。
俺の息子を心から愛してくれてありがとう。付き合ってから少しずつ知った瑞樹の壮絶な過去。君は幸せに臆病になっていたが、それを俺と芽生で払拭できたのなら嬉しいよ。
芽生も、瑞樹に呼ばれると笑顔が弾ける。
良い関係を築いているな。
可愛くて優しくて、芽生の目線に降りて話をしてくれる瑞樹は、ある意味、芽生にとって母親よりも頼りになる存在かもな。
さっき、芽生を瑞樹が抱っこしている光景を見て……あぁやっぱり瑞樹だからいいのだと確信した。
「お兄ちゃん、のどかわいた! おちゃ、のみたい」
「わぁ、芽生くん走り回ったから、汗びっしょりだね」
瑞樹がハンドタオルで芽生の額を拭けば、芽生は目を閉じて愛情を享受した。
「よーし、それを飲んだら、何か他の乗り物に乗るか」
「今度は、パパの好きなのでいいよ」
「おお! じゃああれにしよう」
パステルカラーのくらげ型の乗り物が上下するアトラクションには、幼い子供連れの親子が並んでいた。
「あ、これは二人乗りですね。じゃあ宗吾さんが乗って下さい」
「え、お兄ちゃんは?」
「下から手を振るよ。写真も撮ってあげるからね」
「わかった~ 次はお兄ちゃんと乗るからね」
「うん、ありがとう」
芽生は優しい……愛情を独り占めしないんだな。瑞樹に育てられるようになってから、もともと素直だった芽生がもっと素直に優しくなった。
瑞樹が撒く水は、栄養満点だ。
ふわりふわり……これは、まるで海中を漂うような乗り心地だ。
瑞樹が柵の向こうで、手を振っている。
ウサギの耳にぬいぐるみを抱っこした姿はどこかのアイドルみたいで、一人にしておくのが心配になる。瑞樹の目は俺たちしか見ていないのに、急にそわそわとしてくる。
「パパ~、お兄ちゃんがしゃしんとってくれてるよ」
「お、おう!」
「……パパ、お兄ちゃんひとりで大丈夫かなぁ」
「あぁ、それな」
瑞樹……?
一緒にいる時は気付かなかったが、一人になると急に儚げに見えるな。
普段の君より、ずっとずっと幼く見える。
スーツを着ている君は男らしく凜々しいと思う面が多いのに、今日は休日モードなのか、それとも……うさ耳が可愛すぎるせいなのか心配になった。
芽生も幼心に心配になったようで、乗り物から降りると慌てて瑞樹の元に駆け寄った。
「お、お兄ちゃん!」
「どうしたの? 楽しかった?」
「どこにもいかないで!」
しゃがんだ瑞樹の首元に手を回し、芽生が訴える。
「どうしたの? ちゃんといるよ。どこにも行かないよ」
「心配になっちゃったんだよぉ」
「え……」
俺は自分のクマ耳のカチューシャを外して、瑞樹につけた。
「瑞樹はこっちな。どうも可愛すぎて心配になる」
「何を言ってるんですか」
「暫くクマ耳の方になってろ」
「くすっ、よく分かりませんが、そうしますね」
瑞樹はクマ耳もつけてみたかったのか、満更でもないようだった。
「お兄ちゃん、もうお外に行こう! やっぱり三人でのれるのがいい」
「そうなの? じゃあ明るい所に行こうか」
「うん!」
芽生の気持ちが痛い程分かるから、俺たちは外に出た。
外に出ると、真っ青な青空が広がっていて気持ち良かった。
クマ耳にポッフィーを抱いた瑞樹は、やはり可愛いままだった。そうか、何をつけようが瑞樹は瑞樹で、瑞樹の可愛さは内面から滲み出たものなのだと理解した。
「次は爽快な乗り物がいいな。みんなで乗れるものがいい」
スマホをササッとチェックして次の乗り物を決めた。
「次は『マリンピア』という乗り物にしよう。これなら3人乗りだぞ」
「どんなのですか」
「三人乗りの水上ボードで、迷路のようなコースを進むんだ。どこに進むかは分からないから面白いぞ」
「わー、みんなで乗れるんだね。それがいい!」
「楽しそうですね」
あー俺たち、離れらんないな。
まだまだ、ずっと一緒だぞ、芽生! 瑞樹!
思い切って身体を寄せて……瑞樹の手に触れた。
そのまま左手薬指の指輪をなぞると、瑞樹は擽ったそうにふわりと甘く微笑んでくれた。
「宗吾さん?」
「瑞樹……」
その笑顔に射止められ、淡い初恋に似た感情がぶわっと沸き起こった。
「ずっと君に憧れていた。離婚して芽生を幼稚園に送るようになってから、いつも見ていたのだよ」
「は……はい」
「だから、まだ時々信じられないよ。これが現実なのが」
「現実です。でなければ……僕が困ります」
瑞樹からも手を握ってくれた。
手と手が繋がっているだけでも、心が穏やかになるんだな。
「パパー、おにいちゃーん」
イカやクラゲを追いかけて走り回っていた芽生が、手を振っている。
「芽生くーん!」
お兄ちゃんと呼ばれる度に、瑞樹は心から喜んでくれる。
俺の息子を心から愛してくれてありがとう。付き合ってから少しずつ知った瑞樹の壮絶な過去。君は幸せに臆病になっていたが、それを俺と芽生で払拭できたのなら嬉しいよ。
芽生も、瑞樹に呼ばれると笑顔が弾ける。
良い関係を築いているな。
可愛くて優しくて、芽生の目線に降りて話をしてくれる瑞樹は、ある意味、芽生にとって母親よりも頼りになる存在かもな。
さっき、芽生を瑞樹が抱っこしている光景を見て……あぁやっぱり瑞樹だからいいのだと確信した。
「お兄ちゃん、のどかわいた! おちゃ、のみたい」
「わぁ、芽生くん走り回ったから、汗びっしょりだね」
瑞樹がハンドタオルで芽生の額を拭けば、芽生は目を閉じて愛情を享受した。
「よーし、それを飲んだら、何か他の乗り物に乗るか」
「今度は、パパの好きなのでいいよ」
「おお! じゃああれにしよう」
パステルカラーのくらげ型の乗り物が上下するアトラクションには、幼い子供連れの親子が並んでいた。
「あ、これは二人乗りですね。じゃあ宗吾さんが乗って下さい」
「え、お兄ちゃんは?」
「下から手を振るよ。写真も撮ってあげるからね」
「わかった~ 次はお兄ちゃんと乗るからね」
「うん、ありがとう」
芽生は優しい……愛情を独り占めしないんだな。瑞樹に育てられるようになってから、もともと素直だった芽生がもっと素直に優しくなった。
瑞樹が撒く水は、栄養満点だ。
ふわりふわり……これは、まるで海中を漂うような乗り心地だ。
瑞樹が柵の向こうで、手を振っている。
ウサギの耳にぬいぐるみを抱っこした姿はどこかのアイドルみたいで、一人にしておくのが心配になる。瑞樹の目は俺たちしか見ていないのに、急にそわそわとしてくる。
「パパ~、お兄ちゃんがしゃしんとってくれてるよ」
「お、おう!」
「……パパ、お兄ちゃんひとりで大丈夫かなぁ」
「あぁ、それな」
瑞樹……?
一緒にいる時は気付かなかったが、一人になると急に儚げに見えるな。
普段の君より、ずっとずっと幼く見える。
スーツを着ている君は男らしく凜々しいと思う面が多いのに、今日は休日モードなのか、それとも……うさ耳が可愛すぎるせいなのか心配になった。
芽生も幼心に心配になったようで、乗り物から降りると慌てて瑞樹の元に駆け寄った。
「お、お兄ちゃん!」
「どうしたの? 楽しかった?」
「どこにもいかないで!」
しゃがんだ瑞樹の首元に手を回し、芽生が訴える。
「どうしたの? ちゃんといるよ。どこにも行かないよ」
「心配になっちゃったんだよぉ」
「え……」
俺は自分のクマ耳のカチューシャを外して、瑞樹につけた。
「瑞樹はこっちな。どうも可愛すぎて心配になる」
「何を言ってるんですか」
「暫くクマ耳の方になってろ」
「くすっ、よく分かりませんが、そうしますね」
瑞樹はクマ耳もつけてみたかったのか、満更でもないようだった。
「お兄ちゃん、もうお外に行こう! やっぱり三人でのれるのがいい」
「そうなの? じゃあ明るい所に行こうか」
「うん!」
芽生の気持ちが痛い程分かるから、俺たちは外に出た。
外に出ると、真っ青な青空が広がっていて気持ち良かった。
クマ耳にポッフィーを抱いた瑞樹は、やはり可愛いままだった。そうか、何をつけようが瑞樹は瑞樹で、瑞樹の可愛さは内面から滲み出たものなのだと理解した。
「次は爽快な乗り物がいいな。みんなで乗れるものがいい」
スマホをササッとチェックして次の乗り物を決めた。
「次は『マリンピア』という乗り物にしよう。これなら3人乗りだぞ」
「どんなのですか」
「三人乗りの水上ボードで、迷路のようなコースを進むんだ。どこに進むかは分からないから面白いぞ」
「わー、みんなで乗れるんだね。それがいい!」
「楽しそうですね」
あー俺たち、離れらんないな。
まだまだ、ずっと一緒だぞ、芽生! 瑞樹!
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