幸せな存在 ~歩み寄る恋をしよう~

志生帆 海

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小学生編

ひと月、離れて(with ポケットこもりん)1

こんにちは。執筆している志生帆 海です。
ここまで『幸せな存在』を読んで下さって、ありがとうございます。
今日は最初に挨拶をさせてくださいね。

昨日で夏のクロスオーバーを40話書き上げ、実は少しロスになっており、すぐに本編に戻れないので、少しだけ寄り道&息抜きをさせていただきます。

読者さま(まるさん)が作ってくれた菅野くんの恋人、月影寺の小坊主のこもりんのマスコットから浮かんだ可愛いおとぎ話になっています。

『ポケットにこもりん』をどうぞ! 瑞樹も出て来ますよ。

 このまま寄り道を続けるか、すぐに本編に戻るかは、まだ未定です。よかったら感想など気軽に反応して下さいね♡

中表紙まで作りました😂







****


「こもりん~ 悪い。実は……急な仕事で、明日から葉山と1ヶ月も大阪に行くことになってしまったんだ」
「え! えぇ~ 一ヶ月も!! じゃあお月見は? 約束していたあんこの食べ歩きは? ちがうちがう。菅野くんとずっと会えないんですか……ぐすっ」
「あぁ……泣くな。今日はずっといられるから」

 菅野くんのお家に遊びに行った途端に教えてもらったことに、かなりショックを受けてしまいました。

 それから、僕はずっとグズグズでした。

 どうしたんだろう?

 僕……菅野くんと離れることが不安です、寂しいです。

 だから僕は菅野くんがお風呂に入っている間に、『もしもし相談室』に電話をしてみました。

「あ? なんだ小森、どうした?」
「流さん~ あの、あの、菅野くんが明日から一ヶ月も大阪に行ってしまうんです」
「大阪? へー 京都も神戸も近いし、美味しいものばかりだぞ」
「あんこもあるんですか!」(食いつくところですよ)
「あんこだけじゃないぞ。関西はあらゆる甘味が賑わっている。そうそう新大阪駅には美味しいみたらし団子屋もあってだな」
「うわー! じゃあ僕も一ヶ月お休みもらっていいですか」
「アホっ、そんなわけ、いかねーだろ」
「ううう、瑞樹くんはずっと一緒なのに、僕は駄目なんですか。さみしいんですよ。それに不安で……」

『もしもし相談室』の流さんに、必死に訴えました。

「おいおい……そんなに付いて行きたいのか」
「はい! ポケットに入ってでも!」
「ははっ、そういえば、いいこと教えてやろうか」
「なんですか」
「月影寺には伝わる言い伝えで、月光をたっぷり浴びて、夜中の3時21分0秒に鏡に向かって逆立ちをすると、身体が小さくなれるんだとよ。ポケットサイズにな! そうなったら一緒に行けるんじゃねーか。もし本当になれたら1ヶ月休みをやるよ」
 
 そんな話を聞いてから、僕はずっとドキドキしっぱなし。

 菅野くんはいつものように僕を寝付かしてくれたので、必死に寝たふりをしました。

 そして夜中の3時21分0秒ぴったりに逆立ちをしました。


 それ!

 3……2……1……0!!!

 ピカッと辺りが光って……それからそれから、朝になっていました。

「おはよう、こもりん! って、どこだ?」

 菅野くんがキョロキョロしています。

 僕はここですよ~!
 あれれ……声が出ませんよ。

「トイレか?」
「いない!」
「風呂か?」
「いない……まさか俺に黙って帰っちゃったとか……」

 菅野くんは朝からドタバタと部屋を行ったり来たり。
 
 どうしたんだろう? 
 僕はここにいるのに、見えないのかな? 
 それにしても喉が変です……声が全然出ませんよ。

 手を振ってみると、ずいぶん辺りのものが大きく見えました。

「やば、遅刻する! こもりーん、どこだー?」

 まさか僕が見えないってことは…本当に小さくなってしまったのですか!

『もしもし相談室』の流先生が教えてくれたことは、本当だったのですね!

 すごい……!

 必死に枕によじ登って、手を振りました。

(かんのくーん、ここですよ。ここ!)

 ピタッと目があったのに、すぐに逸らされてしまいました。

(僕ですよー)

「え……なんだ……これ? こもりんのマスコットか」

 菅野くんが目を擦りながら、近づいてくる。

 わぁ、菅野くんが大きい。

 本当に僕はポケットこもりんになれました!

 やったー! やったー!

 ジタバタ手足を動かすと、菅野くんが腰を抜かした。

「こここここ……リアルに、こもりんなのか」

(はい、こもりんですよ)
 
「マジか……信じられない……あ……でも信じられるよ。俺がこもりんを見間違えるはずないからな」

 気を取り直した菅野くんが、ニコッと笑ってくれました。

 そのまま僕を両手で掴んで、手の平にのせてくれましたよ。

「へぇ……すごいな。小坊主姿のまま、小さくなったんだな。マスコットサイズで可愛い……」
 
(かんのくーん)

 口をパクパクさせるのですが、やっぱり声が出ません。

「声、出ないのか」

 コクコクと頷きました。

「困ったな。ここに置いておくわけにいかないし、新幹線の時間もあるし」

(ハイハイ! 僕もつれていってくださーい!)

 僕は床に転がっていた菅野くんのスーツのポケットに潜り込んでアピールしました。

「なるほど、よーし、そこに入ってろ。一緒に大阪に行こう!」

(やったー! やったー!)

「あ、でも黙ったまま連れ出すのはまずいよな、誘拐になる。ちゃんと家と寺に連絡しないとな」

 そこに『もしもし相談室』からの電話が鳴りました。

「お、菅野くんよ。小森はちゃんとそこにいるか」
「流さん、それが……小さくなってしまったんです」
「おー、そうかそうか、なかなかやるな。んじゃ1ヶ月頼んだぞ」
「ええ?」
「あー あいつの家には寺で泊まりの修行と説明しておくから安心しろ。こっちも気にするな」
「えー」

 さすが『もしもし相談室』の先生ですね!

 というわけで、僕は菅野くんのスーツのポケットに入って旅立ちます。

 ポケットこもりん誕生ですよー

「よし、こもりん、しっかり隠れていろよ」
 
(はーい!)
  
 菅野くんは、品川駅で瑞樹くんと待ち合わせをしていました。

「菅野、遅かったね」
「あぁ、出掛けにちょっとバタついて」
「もしかして……小森くんと別れを惜しんでいたの?」
「あー まぁな」

 瑞樹くんの優しい声が、ポケットの中にも聞えてきて心地良いです。

「それ……分かるよ。僕もね……大変だったよ。こんな急な出張、いや出向というのかな。突然一ヶ月もって、ちょっとないよね? 心の準備が」
「だよな、芽生くんも宗吾さんも、さぞかし寂しがっただろう」
「うん……でも一番寂しいのは僕の方かも」
「瑞樹ちゃんって……俺には素直になったよな」
「あ……ごめん……仕事中なのに」

 ふぉー菅野くんって滅茶苦茶、瑞樹くんに頼られているんですね!

 そして瑞樹くんも甘えているんですね。

「いいって、俺たちだけなんだから……えっと、たぶん」
「そうだね。ありがとう。菅野は僕の親友だから……つい本音を漏らしてしまうよ」

 ひゃあ……なんだかいいムードですね。

 かんのくーん、僕のこと忘れてないですよね。

 思わずポケットの中で足踏みをすると、菅野くんが呻きました。

 わ、僕、変な場所を蹴っちゃいました?

「うっ……」
「どうしたの? 腹痛?」
「いや……何でもない」
「そう? ならいいけど、さぁ新幹線の時間だ。乗車しよう」
「あぁ」
 
 ごめんなさい~ 瑞樹くんにやきもちやくなんて!

 菅野くんが何かを察したように、ポケットの中に指をそっと入れてくれました。

 かんのくん~ 大好きです!

 だから、ちゅちゅっと指先にキスをすると、菅野くんがまた呻いてしまいました。

「ううぅ……」
「菅野? 今の声は……ちょっとヤバくない? 一体……どうした?」
「いやいやいや……なんでもないって! っははっ、瑞樹ちゃん いくぞー」

 

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