1,245 / 1,865
小学生編
ハートフルクリスマスⅡ・11
しおりを挟む
洋くんが扉を開けると
そこには……
白銀の世界が広がっていた!
「え……どうして……雪が……」
ここは鎌倉だ。雪など欠片も降っていないのに、ホスピスの中庭だけが雪化粧していた。
「瑞樹くん、驚いたか。 実は旅行や混雑した場所に行けない患者さんの願いで、ホワイトクリスマスを企画したんだ。業者に五トンもの雪を用意してもらい雪景色を再現してみたが、どうかな? 北国育ちの瑞樹くんに最終的なアドバイスをしてもらいたくて」
アドバイスも何も……あまりに見事な雪原に、僕の胸は高鳴りっぱなしだよ。
「洋くん、すごいよ。本当にすごい……! 本当に雪国に来たみたいだよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。流さん、翠さん良かったですね」
洋くんが呼ぶと背後から、寒いのに作務衣姿の流さんと、しっかりコートを着込んだ翠さんが登場した。
「やぁ瑞樹くん、キャンプ以来だね」
「翠さん! 流さんお久しぶりです」
「元気だった?」
「はい!」
「よかった。今日は僕たちも総出で手伝いに来たんだ」
「あの……お寺はいいんですか」
「クリスマスにお寺に来る人は少ないし、両親が昨日から泊まっているのでね」
翠さんと流さんも、相変わらず仲睦まじい様子で癒やされる。
「お二人にも会えるなんて、最高のクリスマスです」
「おぅ! 俺たちも瑞樹くんたちに会えて嬉しいよ。何より洋が喜んでいる。実はこれからちょっとしたセレモニーをやるんだ。瑞樹くんたちにもぜひ見て欲しくて」
「楽しみです!」
「よし! そこで待っていてくれ」
僕はそっと雪に触れてみた。
純白の雪だ。
僕の故郷の冬景色だ。
じわりと懐かしい気持ちが溢れてくる。
「わぁ、お兄ちゃんの大好きな雪だね」
「うん、クリスマスに雪景色を見られるなんて幸せだよ。二年前にもこんなことがあったね」
「ボクがサンタさんにおねがいしたときだね」
「あの日の雪も今日の雪も……綺麗だね」
「お兄ちゃんとまた雪をみれてうれしいな」
「僕もだよ」
サンタ姿の芽生くんを抱き寄せて、一緒に雪に触れてみた。
「やっぱり、雪ってつめたいけど、あたたかいね」
「うん」
やがて中庭に入院中の子供や大人が集まって来た。
皆……雪を見ては目を見開き歓声をあげていた。
「すごい! ほんもののゆきだぁ」
「雪なんて、懐かしいな」
「もう二度と触れられないと思っていたのに」
思い思いの感想が飛び交っている。
そこに緊張した面持ちで、洋くんが登場する。
グレーのコートに白いマフラーをした洋くんは、まるで美しい氷の王子様のようで、皆、目を擦っていた。
少し緊張した様子で、口を開いた。
「皆さんにホワイトクリスマスをお届けにきました。そしてもう一つ贈りものがあります」
流さんが台車で白い布にかけられた物体を運んで来た。
なんだろう?
僕たちもじっと一部始終を見つめていた。
白い布をはらりと取り払うと……そこに現れたのは!
「あっ!」
氷の白鳥とユニコーンが向き合う氷のオブジェだった。
氷の彫刻は流さんが作ったのだろうか。
精巧に出来ており、まるで今にも動き出しそうだ。
「すごい!」
「天国にいるみたいだわ」
「ユニコーンの迎えが来るなら、怖くないわ」
皆、それぞれの想いを重ねている。
僕には、あの日大沼まで迎えに来てくれた宗吾さんの姿が重なって見えた。
「瑞樹、迎えに来たよ!」
あの日の逞しい声が、目映い光景が蘇ってくる。
……
焦げ茶のロングコートにマフラーを巻いて、黒髪がさらさらと北国の風に揺れている。大人っぽく艶めいた笑顔で、僕の心を一気に鷲掴みする!
「えっ!」
思わずカメラを落としそうになってしまった。
それ程までに、驚いた。
「な……んで、そ……宗吾さんが」
「瑞樹を迎えに来た」
「そんな……聞いていないです。今日だなんて」
「東京で、昨日桜が開花したんだ」
宗吾さんが、どんどん近づいてくる。
驚いて、呆然と立ち尽くす僕を、逞しい腕ですっぽりと抱きしめてくれた。
北の大地から、僕の足が浮くほど……強くしっかりと抱きしめてくれた。
「宗吾さん、会いたかったです!」
「瑞樹、会いたかった!」
……(北の大地で 19-1より再掲)……
あの時の感激が蘇り、あたたかい涙が頬を伝った。
あの日の僕はまだ、傷ついた鳥だった。
羽をむしられ、心も身体も傷ついて縮こまっていた。
指もスムーズに動かなくなっていた。
指が動いた瞬間と、宗吾さんと現れたタイミングが見事に重なって驚いた。
まるで魔法のような時間だった。
「宗吾さん、あの日を思い出しますね」
「あぁ……俺たちあの頃はしんどかったな。だが乗り越えてきたんだな」
「はい、ユニコーンみたいに宗吾さんが僕の前に現れてくれたんですよ」
ユニコーンは古くから『癒やしの存在』と言われている。
また、人を幸せに導く象徴とも。
「ユニコーンか。そんな風に思ってくれて嬉しいよ。君を守るために駆けつけたんだ。『希望』と『未来』をたっぷり抱いて……」
「はい、本当に嬉しかったです。まさか……あの日の光景を今日、見られるなんて」
「これは最高のクリスマスプレゼントだな」
そこには……
白銀の世界が広がっていた!
「え……どうして……雪が……」
ここは鎌倉だ。雪など欠片も降っていないのに、ホスピスの中庭だけが雪化粧していた。
「瑞樹くん、驚いたか。 実は旅行や混雑した場所に行けない患者さんの願いで、ホワイトクリスマスを企画したんだ。業者に五トンもの雪を用意してもらい雪景色を再現してみたが、どうかな? 北国育ちの瑞樹くんに最終的なアドバイスをしてもらいたくて」
アドバイスも何も……あまりに見事な雪原に、僕の胸は高鳴りっぱなしだよ。
「洋くん、すごいよ。本当にすごい……! 本当に雪国に来たみたいだよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。流さん、翠さん良かったですね」
洋くんが呼ぶと背後から、寒いのに作務衣姿の流さんと、しっかりコートを着込んだ翠さんが登場した。
「やぁ瑞樹くん、キャンプ以来だね」
「翠さん! 流さんお久しぶりです」
「元気だった?」
「はい!」
「よかった。今日は僕たちも総出で手伝いに来たんだ」
「あの……お寺はいいんですか」
「クリスマスにお寺に来る人は少ないし、両親が昨日から泊まっているのでね」
翠さんと流さんも、相変わらず仲睦まじい様子で癒やされる。
「お二人にも会えるなんて、最高のクリスマスです」
「おぅ! 俺たちも瑞樹くんたちに会えて嬉しいよ。何より洋が喜んでいる。実はこれからちょっとしたセレモニーをやるんだ。瑞樹くんたちにもぜひ見て欲しくて」
「楽しみです!」
「よし! そこで待っていてくれ」
僕はそっと雪に触れてみた。
純白の雪だ。
僕の故郷の冬景色だ。
じわりと懐かしい気持ちが溢れてくる。
「わぁ、お兄ちゃんの大好きな雪だね」
「うん、クリスマスに雪景色を見られるなんて幸せだよ。二年前にもこんなことがあったね」
「ボクがサンタさんにおねがいしたときだね」
「あの日の雪も今日の雪も……綺麗だね」
「お兄ちゃんとまた雪をみれてうれしいな」
「僕もだよ」
サンタ姿の芽生くんを抱き寄せて、一緒に雪に触れてみた。
「やっぱり、雪ってつめたいけど、あたたかいね」
「うん」
やがて中庭に入院中の子供や大人が集まって来た。
皆……雪を見ては目を見開き歓声をあげていた。
「すごい! ほんもののゆきだぁ」
「雪なんて、懐かしいな」
「もう二度と触れられないと思っていたのに」
思い思いの感想が飛び交っている。
そこに緊張した面持ちで、洋くんが登場する。
グレーのコートに白いマフラーをした洋くんは、まるで美しい氷の王子様のようで、皆、目を擦っていた。
少し緊張した様子で、口を開いた。
「皆さんにホワイトクリスマスをお届けにきました。そしてもう一つ贈りものがあります」
流さんが台車で白い布にかけられた物体を運んで来た。
なんだろう?
僕たちもじっと一部始終を見つめていた。
白い布をはらりと取り払うと……そこに現れたのは!
「あっ!」
氷の白鳥とユニコーンが向き合う氷のオブジェだった。
氷の彫刻は流さんが作ったのだろうか。
精巧に出来ており、まるで今にも動き出しそうだ。
「すごい!」
「天国にいるみたいだわ」
「ユニコーンの迎えが来るなら、怖くないわ」
皆、それぞれの想いを重ねている。
僕には、あの日大沼まで迎えに来てくれた宗吾さんの姿が重なって見えた。
「瑞樹、迎えに来たよ!」
あの日の逞しい声が、目映い光景が蘇ってくる。
……
焦げ茶のロングコートにマフラーを巻いて、黒髪がさらさらと北国の風に揺れている。大人っぽく艶めいた笑顔で、僕の心を一気に鷲掴みする!
「えっ!」
思わずカメラを落としそうになってしまった。
それ程までに、驚いた。
「な……んで、そ……宗吾さんが」
「瑞樹を迎えに来た」
「そんな……聞いていないです。今日だなんて」
「東京で、昨日桜が開花したんだ」
宗吾さんが、どんどん近づいてくる。
驚いて、呆然と立ち尽くす僕を、逞しい腕ですっぽりと抱きしめてくれた。
北の大地から、僕の足が浮くほど……強くしっかりと抱きしめてくれた。
「宗吾さん、会いたかったです!」
「瑞樹、会いたかった!」
……(北の大地で 19-1より再掲)……
あの時の感激が蘇り、あたたかい涙が頬を伝った。
あの日の僕はまだ、傷ついた鳥だった。
羽をむしられ、心も身体も傷ついて縮こまっていた。
指もスムーズに動かなくなっていた。
指が動いた瞬間と、宗吾さんと現れたタイミングが見事に重なって驚いた。
まるで魔法のような時間だった。
「宗吾さん、あの日を思い出しますね」
「あぁ……俺たちあの頃はしんどかったな。だが乗り越えてきたんだな」
「はい、ユニコーンみたいに宗吾さんが僕の前に現れてくれたんですよ」
ユニコーンは古くから『癒やしの存在』と言われている。
また、人を幸せに導く象徴とも。
「ユニコーンか。そんな風に思ってくれて嬉しいよ。君を守るために駆けつけたんだ。『希望』と『未来』をたっぷり抱いて……」
「はい、本当に嬉しかったです。まさか……あの日の光景を今日、見られるなんて」
「これは最高のクリスマスプレゼントだな」
11
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる