1,793 / 1,865
小学生編
春色旅行 19
しおりを挟む
窓一面に広がる長崎の夜景に、瑞樹はうっとりとした表情を浮かべていた。
「宗吾さん、この席から見える夜景、すごいです。あの、まるで星空が静かに街に降りてきたみたいに煌めいています」
「そうだな」
瑞樹の声はどこか夢見心地で、その感動がまっすぐに届く。
「パパ、ここは本当にスペシャルな席だね。お兄ちゃんのお誕生日だからだね」
芽生も嬉しそうにウィンクする。
家族の会話にも自然と花が咲き、美しい夜景を背に笑い声が小さな個室にやさしく響いた。
ここには、俺たちだけの静かな時間が流れていた。
瑞樹は椅子に深く腰を下ろし、眼前に広がる幻想的な光景をまだじっと見つめている。そのうっとりとした横顔があまりに愛おしくて、胸の奥がじんわりと熱くなる。
……俺は、本当に瑞樹が好きだ。
一秒ごとに、好きが増していく。
こんなにも人を愛おしく思えるなんて――それは、瑞樹だからだ。
「こんなに綺麗な夜景を見ながらのディナーなんて、感激しました。なんだか夢の中にいるみたいです」
瑞樹は頬をほんのりと染め、やわらかく微笑む。
その笑顔からは、言葉にしなくても心いっぱいの幸せが伝わってくる。
瑞樹は本当に満ち足りた気持ちになってくれている。
「瑞樹が喜んでくれてよかったよ。今日は、君だけの特別な夜だからさ」
そう言うと、瑞樹はまっすぐに顔を上げた。
彼の瞳はいつもあたたかいが、今夜はひときわ深い優しさに満ちていた。
「ありがとうございます。こんな素敵な場所を選んでくださって……」
心からの感謝が、言葉に滲んでいた。
俺はそっと手を伸ばし、瑞樹の手を包み込む。
「瑞樹がこの世に生まれてきてくれて、本当によかった。だから君の誕生日は、俺にとっていつも特別なんだよ」
瑞樹が幸せでいてくれること――それが、俺の一番の願いだ。
ディナーが進むにつれて、ほろ酔いの瑞樹はますますリラックスし、甘い笑みを頻繁に浮かべてくれた。
相変わらず、可愛いな。
可憐な男だ。
「その笑顔が見たかったんだ。やっぱり俺の演出は最高だな~」
冗談めかして言うと、瑞樹は顔を赤らめ、はにかんだように笑った。
「はい……宗吾さんの演出は、いつも最高なんです」
そう言って、瑞樹はグラスを少し掲げた。
「瑞樹、これからもずっと一緒に過ごそう」
「はい」
グラスが触れ合う澄んだ音が、静かな個室にやさしく響いた。
そのとき、スタッフがバースデープレートをそっと運んできた。
キャンドルの灯りに照らされた色とりどりの花びらと小さなショートケーキに、瑞樹の目がぱっと輝く。
「わぁ……これ、僕の……?」
その声はまるで子どものように無邪気で、可愛らしかった。
「瑞樹、ちょっと早いけど、誕生日おめでとう」
「お兄ちゃん、またひとつ大きくなったんだね!」
芽生の言葉に、俺はくすっと笑ってうなずいた。
「そうみたいだね」
ディナーを終え、俺たちは再びスロープカーに乗り込んだ。
貸し切りの車内で、スロープカーはゆっくりと夜の長崎の街へと降りていく。
その景色を眺めていると、ふと胸に寂しさがこみ上げた。
ああ、夢のような時間からまた現実へ戻ってしまうのか――
「はぁ……お互い、明日は仕事か~」
思わずため息まじりにぼやく。
「午前中には東京に戻らなきゃいけないのが悔しいよ」
「でも……名残惜しいくらいが、ちょうどいいのかもしれません」
「どうして?」
問い返すと、瑞樹は少し戸惑いながらも、そっと教えてくれた。
「……また一緒に来たくなりますから」
「……そうか、じゃあ、また来ような」
「ボクもまた来たいな~。だって、長崎すごく楽しかったもん!」
芽生の笑顔に、俺たちの心もふっとやわらいだ。
そうだな、また来ればいい。
俺は瑞樹と芽生の肩に腕をまわし、笑顔で宣言した。
「よーし、また来るぞー! 長崎、待ってろー!」
くすっと笑う瑞樹の声が、夜の静けさにやさしく溶けていく。
スロープカーの揺れに身を委ねながら、俺たちの未来を思い描けることの幸せを、確かに感じていた。
「宗吾さん、この席から見える夜景、すごいです。あの、まるで星空が静かに街に降りてきたみたいに煌めいています」
「そうだな」
瑞樹の声はどこか夢見心地で、その感動がまっすぐに届く。
「パパ、ここは本当にスペシャルな席だね。お兄ちゃんのお誕生日だからだね」
芽生も嬉しそうにウィンクする。
家族の会話にも自然と花が咲き、美しい夜景を背に笑い声が小さな個室にやさしく響いた。
ここには、俺たちだけの静かな時間が流れていた。
瑞樹は椅子に深く腰を下ろし、眼前に広がる幻想的な光景をまだじっと見つめている。そのうっとりとした横顔があまりに愛おしくて、胸の奥がじんわりと熱くなる。
……俺は、本当に瑞樹が好きだ。
一秒ごとに、好きが増していく。
こんなにも人を愛おしく思えるなんて――それは、瑞樹だからだ。
「こんなに綺麗な夜景を見ながらのディナーなんて、感激しました。なんだか夢の中にいるみたいです」
瑞樹は頬をほんのりと染め、やわらかく微笑む。
その笑顔からは、言葉にしなくても心いっぱいの幸せが伝わってくる。
瑞樹は本当に満ち足りた気持ちになってくれている。
「瑞樹が喜んでくれてよかったよ。今日は、君だけの特別な夜だからさ」
そう言うと、瑞樹はまっすぐに顔を上げた。
彼の瞳はいつもあたたかいが、今夜はひときわ深い優しさに満ちていた。
「ありがとうございます。こんな素敵な場所を選んでくださって……」
心からの感謝が、言葉に滲んでいた。
俺はそっと手を伸ばし、瑞樹の手を包み込む。
「瑞樹がこの世に生まれてきてくれて、本当によかった。だから君の誕生日は、俺にとっていつも特別なんだよ」
瑞樹が幸せでいてくれること――それが、俺の一番の願いだ。
ディナーが進むにつれて、ほろ酔いの瑞樹はますますリラックスし、甘い笑みを頻繁に浮かべてくれた。
相変わらず、可愛いな。
可憐な男だ。
「その笑顔が見たかったんだ。やっぱり俺の演出は最高だな~」
冗談めかして言うと、瑞樹は顔を赤らめ、はにかんだように笑った。
「はい……宗吾さんの演出は、いつも最高なんです」
そう言って、瑞樹はグラスを少し掲げた。
「瑞樹、これからもずっと一緒に過ごそう」
「はい」
グラスが触れ合う澄んだ音が、静かな個室にやさしく響いた。
そのとき、スタッフがバースデープレートをそっと運んできた。
キャンドルの灯りに照らされた色とりどりの花びらと小さなショートケーキに、瑞樹の目がぱっと輝く。
「わぁ……これ、僕の……?」
その声はまるで子どものように無邪気で、可愛らしかった。
「瑞樹、ちょっと早いけど、誕生日おめでとう」
「お兄ちゃん、またひとつ大きくなったんだね!」
芽生の言葉に、俺はくすっと笑ってうなずいた。
「そうみたいだね」
ディナーを終え、俺たちは再びスロープカーに乗り込んだ。
貸し切りの車内で、スロープカーはゆっくりと夜の長崎の街へと降りていく。
その景色を眺めていると、ふと胸に寂しさがこみ上げた。
ああ、夢のような時間からまた現実へ戻ってしまうのか――
「はぁ……お互い、明日は仕事か~」
思わずため息まじりにぼやく。
「午前中には東京に戻らなきゃいけないのが悔しいよ」
「でも……名残惜しいくらいが、ちょうどいいのかもしれません」
「どうして?」
問い返すと、瑞樹は少し戸惑いながらも、そっと教えてくれた。
「……また一緒に来たくなりますから」
「……そうか、じゃあ、また来ような」
「ボクもまた来たいな~。だって、長崎すごく楽しかったもん!」
芽生の笑顔に、俺たちの心もふっとやわらいだ。
そうだな、また来ればいい。
俺は瑞樹と芽生の肩に腕をまわし、笑顔で宣言した。
「よーし、また来るぞー! 長崎、待ってろー!」
くすっと笑う瑞樹の声が、夜の静けさにやさしく溶けていく。
スロープカーの揺れに身を委ねながら、俺たちの未来を思い描けることの幸せを、確かに感じていた。
65
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
勘違いへたれアルファと一途つよかわオメガ──ずっと好きだったのは、自分だけだと思ってた
星群ネオン
BL
幼い頃に結婚の約束をした──成長とともにだんだん疎遠になったアルファとオメガのお話。
美しい池のほとりで出会ったアルファとオメガはその後…。
強くてへたれなアルファと、可愛くて一途なオメガ。
ありがちなオメガバース設定です。Rシーンはありません。
実のところ勘違いなのは二人共とも言えます。
α視点を2話、Ω視点を2話の後、その後を2話の全6話完結。
勘違いへたれアルファ 新井裕吾(あらい・ゆうご) 23歳
一途つよかわオメガ 御門翠(みがと・すい) 23歳
アルファポリス初投稿です。
※本作は作者の別作品「きらきらオメガは子種が欲しい!~」や「一生分の恋のあと~」と同じ世界、共通の人物が登場します。
それぞれ独立した作品なので、他の作品を未読でも問題なくお読みいただけます。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
この冬を超えたら恋でいい
天気
BL
夜の街で、凪は人生の底にいた。
古いアパートに帰る途中、父の残した借金の取り立てに絡まれ、逃げ場を失う。
そこに現れたのは、大手企業の社長・鷹宮だった。
偶然の救い。年齢も立場も違う二人は、その夜を境に交わることになる。
事情を多く語らない凪は、不幸が当たり前のように身にまとい、誰かに頼ることを知らない。
一方の鷹宮は、完璧な成功者として生きてきた男だった。
危険から守るため、鷹宮は凪を一時的に自宅へ迎え入れる。
冬の同居生活の中で、凪は少しずつ日常を取り戻していく。
大学へ通い、温かい食事をし、夜を一人で怯えずに眠る。
しかし、守られることに慣れない凪は、距離が近づくほどに自分から一歩引いてしまう。
それは、失うことを恐れる、健気で不器用な選択だった。
一方、鷹宮は気づいてしまう。
凪が笑うだけで、胸が満たされることに。
そんな自分の感情から凪を守るつもりで引いた距離が、
凪を遠ざけてしまう。
近づきたい。
けれど、踏み込めば壊してしまうかもしれない。
互いを思うほど、すれ違いは深くなる。
2人はこの冬を越えることができるのかーー
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
君の想い
すずかけあおい
BL
インターホンを押すと、幼馴染が複雑そうな表情で出てくる。
俺の「泊めて?」の言葉はもうわかっているんだろう。
今夜、俺が恋人と同棲中の部屋には、恋人の彼女が来ている。
〔攻め〕芳貴(よしき)24歳、燈路の幼馴染。
〔受け〕燈路(ひろ)24歳、苗字は小嶋(こじま)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる