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第1章
春の虹 ~重なる月・3~
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ヨウの引き締まった形の良い美しい唇を、私はそっと吸った。するとヨウもそっと吸い返してくれる。強く吸えば強く吸い返してくれ、鏡のように私と呼応してくれる。舌をそっと差し入れると、優しく迎え入れてくれた。
口づけとはこんなに甘美なものだったのか。
我を忘れてヨウの唇を吸い続け、そして形のよい喉仏も啄み、ヨウの長めの髪に見え隠れしていたずっと触れてみたかったうなじへと、髪をかき分けて口づけた。
ヨウの喉仏が緊張のあまり上下する度に、芳しい花のような香りが鼻を掠め、一層欲情した。
同じ男なのに、こうも違うのか。ヨウ……君は綺麗だ。続いてヨウの衣の胸元に手をやる。
「ヨウ、衣を脱がしていいか」
「あぁ……ジョウの想うままにしろ」
小さく頷くヨウの躰は、少しばかり震えていた。私の手も緊張で震える。女を戯れに抱いたときとは違う、同性の……心から欲する人を抱くという行為に緊張が漲っていた。
ヨウの腰紐を解き、上半身の衣の胸元から手を入れ、そっと下へ降ろした。月明かりに照らされたヨウのよく鍛えられた躰はしなやかで、息を飲むほど美しく、そして悲しかった。
想像通りその躰には、いくつもの細かい爪痕がついていた。
私の視線を感じたのか、ヨウは躰を見られるのを恥ずかしそうに布団の中へ身体を潜らせ、顔をそむけた。
そんなヨウの横に腰かけ、背けた顔をそっとこちらへ向けさせると、溜まらない程悲し気な表情を湛えていた。
「どうしてそんなに寂しそうな顔を?」
「それはお前があんまりにも優しく俺に触れるからだ。優しく衣を脱がしてくれ優しく口づけしてくれる。俺はこんなに優しく肌に触れてもらったことはないから戸惑うのだ。心を殺して受け入れる事しか知らぬ。どのように反応すればよいのか分からないんだ。それに俺には醜い痕が……」
そう答えるヨウが、愛おしくて溜まらなくなった。
「ヨウ、君は汚れてない!過去も含めて、私はヨウのことを想っている。躰に残ってしまった傷、それも私が愛おしむヨウの一部だ」
「ジョウ……ありがとう。本当に俺でいいのか」
「あぁ、もちろんだ。ヨウのすべてを見せてくれ」
口づけとはこんなに甘美なものだったのか。
我を忘れてヨウの唇を吸い続け、そして形のよい喉仏も啄み、ヨウの長めの髪に見え隠れしていたずっと触れてみたかったうなじへと、髪をかき分けて口づけた。
ヨウの喉仏が緊張のあまり上下する度に、芳しい花のような香りが鼻を掠め、一層欲情した。
同じ男なのに、こうも違うのか。ヨウ……君は綺麗だ。続いてヨウの衣の胸元に手をやる。
「ヨウ、衣を脱がしていいか」
「あぁ……ジョウの想うままにしろ」
小さく頷くヨウの躰は、少しばかり震えていた。私の手も緊張で震える。女を戯れに抱いたときとは違う、同性の……心から欲する人を抱くという行為に緊張が漲っていた。
ヨウの腰紐を解き、上半身の衣の胸元から手を入れ、そっと下へ降ろした。月明かりに照らされたヨウのよく鍛えられた躰はしなやかで、息を飲むほど美しく、そして悲しかった。
想像通りその躰には、いくつもの細かい爪痕がついていた。
私の視線を感じたのか、ヨウは躰を見られるのを恥ずかしそうに布団の中へ身体を潜らせ、顔をそむけた。
そんなヨウの横に腰かけ、背けた顔をそっとこちらへ向けさせると、溜まらない程悲し気な表情を湛えていた。
「どうしてそんなに寂しそうな顔を?」
「それはお前があんまりにも優しく俺に触れるからだ。優しく衣を脱がしてくれ優しく口づけしてくれる。俺はこんなに優しく肌に触れてもらったことはないから戸惑うのだ。心を殺して受け入れる事しか知らぬ。どのように反応すればよいのか分からないんだ。それに俺には醜い痕が……」
そう答えるヨウが、愛おしくて溜まらなくなった。
「ヨウ、君は汚れてない!過去も含めて、私はヨウのことを想っている。躰に残ってしまった傷、それも私が愛おしむヨウの一部だ」
「ジョウ……ありがとう。本当に俺でいいのか」
「あぁ、もちろんだ。ヨウのすべてを見せてくれ」
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