51 / 73
第2章
心は氷の如く 4
しおりを挟む
「うっ」
雷光が発せられない! 何故だ? キチの長い爪でなぞられた俺の首元に違和感を感じる。
「何だ?冷たい……」
キチが触れたところが氷のように冷え、どんどん躰が焼けるように冷たくなっていく。そこから発生する灼熱感やうずくような感覚、部分的・全体的なしびれ感、そして時に激しい痛み、これは凍傷の前触れだ。
俺は抵抗しようと剣を持つ指先に力を込めるが、すでにしびれは腕にまで達し動かない。まずい……このままではやられてしまう。
凍っていく躰をなんとか阻止しようと、指先に作っていた小さな稲妻を躰に巡らせようとするが、凍りつつある腕を雷光は通り抜けない。指先で稲光を発するのみだ。
「くそっ駄目だっ」
「んっ……ヨウ? もしやお前も※内功が使えるのか」
※内功……体内から生み出される気である内力(内勁ともいう)を使う技で、呼吸、血流など、身体の内部機能を鍛錬し、全身の経絡を巡る内息(真気、気)を自在に操るもの。これを体外に放出することで、攻撃や治療などに用いることができる。出典: フリー百科事典
「お前、こそっ!」
吐き捨てるように言うしかなかった。
甘かった。まさかキチも内功を使えるとは。それも恐ろしい程の力を持っている。
「キチ……お前は氷功か」
人間の躰を凍らせてしまう恐ろしい内功があると、師匠が言っていた。まさか今それを自らがこんな場面で浴びるとは!
悔しい!
油断していた!
「そういう近衛隊長は雷功か。実に魅力的だ。美しい顔と躰に宿る稲妻が官能的だぞ」
「やめろっ」
キチが舌なめずりしながら凍ってしまった俺の両腕をがしっと掴み、氷功できつく攻めてくる。
「うっ」
じんじんと躰が痺れて、握られた部分が黒ずんでくる。
「あうっ」
俺は目を閉じて、小さく唸った。喉元にも凍傷が迫ってきているのか声が上手く出せない。
「……お……れに……なに……をしたいんだ……」
「はははっ今からお前を女のように抱くぞ。雷功の力を持つお前と性的に交わって、わが能力をさらに高めたいのじゃ」
「や……めろ」
「内功は奪い合えるのだ。もしや知らなかったのか」
まただ。また俺の身体を弄んで破滅させようとするものが現れた。どうしてだ? どうして逃れられぬ。この呪われた運命から!
キチは立ち尽くす俺の両手を強く握り、氷攻であっというまに剣を握れないように麻痺させ、脚も氷攻で動かないようにした。
俺は無力だ。無念にも、その場で膝から崩れ落ちるしかなかった。
キチは不快な笑みを浮かべながら、俺の近衛隊長としての自尊心を鎧ごと剥ぎ取っていった。
雷光が発せられない! 何故だ? キチの長い爪でなぞられた俺の首元に違和感を感じる。
「何だ?冷たい……」
キチが触れたところが氷のように冷え、どんどん躰が焼けるように冷たくなっていく。そこから発生する灼熱感やうずくような感覚、部分的・全体的なしびれ感、そして時に激しい痛み、これは凍傷の前触れだ。
俺は抵抗しようと剣を持つ指先に力を込めるが、すでにしびれは腕にまで達し動かない。まずい……このままではやられてしまう。
凍っていく躰をなんとか阻止しようと、指先に作っていた小さな稲妻を躰に巡らせようとするが、凍りつつある腕を雷光は通り抜けない。指先で稲光を発するのみだ。
「くそっ駄目だっ」
「んっ……ヨウ? もしやお前も※内功が使えるのか」
※内功……体内から生み出される気である内力(内勁ともいう)を使う技で、呼吸、血流など、身体の内部機能を鍛錬し、全身の経絡を巡る内息(真気、気)を自在に操るもの。これを体外に放出することで、攻撃や治療などに用いることができる。出典: フリー百科事典
「お前、こそっ!」
吐き捨てるように言うしかなかった。
甘かった。まさかキチも内功を使えるとは。それも恐ろしい程の力を持っている。
「キチ……お前は氷功か」
人間の躰を凍らせてしまう恐ろしい内功があると、師匠が言っていた。まさか今それを自らがこんな場面で浴びるとは!
悔しい!
油断していた!
「そういう近衛隊長は雷功か。実に魅力的だ。美しい顔と躰に宿る稲妻が官能的だぞ」
「やめろっ」
キチが舌なめずりしながら凍ってしまった俺の両腕をがしっと掴み、氷功できつく攻めてくる。
「うっ」
じんじんと躰が痺れて、握られた部分が黒ずんでくる。
「あうっ」
俺は目を閉じて、小さく唸った。喉元にも凍傷が迫ってきているのか声が上手く出せない。
「……お……れに……なに……をしたいんだ……」
「はははっ今からお前を女のように抱くぞ。雷功の力を持つお前と性的に交わって、わが能力をさらに高めたいのじゃ」
「や……めろ」
「内功は奪い合えるのだ。もしや知らなかったのか」
まただ。また俺の身体を弄んで破滅させようとするものが現れた。どうしてだ? どうして逃れられぬ。この呪われた運命から!
キチは立ち尽くす俺の両手を強く握り、氷攻であっというまに剣を握れないように麻痺させ、脚も氷攻で動かないようにした。
俺は無力だ。無念にも、その場で膝から崩れ落ちるしかなかった。
キチは不快な笑みを浮かべながら、俺の近衛隊長としての自尊心を鎧ごと剥ぎ取っていった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
【完結済】王子を嵌めて国中に醜聞晒してやったので殺されると思ってたら溺愛された。
うらひと
BL
学園内で依頼をこなしていた魔術師のクリスは大物の公爵の娘からの依頼が入る……依頼内容は婚約者である王子からの婚約破棄!!
高い報酬に目が眩んで依頼を受けてしまうが……18Rには※がついています。
ムーン様にも投稿してます。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる