ふしぎなまくら

こぐまじゅんこ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ふしぎなまくら

しおりを挟む
 まゆちゃんのおかあさんは、つかれてヘトヘトになっていました。
 なぜって、まゆちゃんが夜寝ないのです。
 ぐずぐず泣き続けるまゆちゃんをあやして抱っこしたり、子守り歌を歌ったり、ひと晩中、起きていたのでした。
(ふう~、ねむいねむい)
 それでも、おかあさんは、朝ごはんを作って、洗濯をして、部屋の掃除もしました。
 まゆちゃんをベビーカーにのせて、買い物にも行きます。
 お店で、野菜を選んでいるとき、めがねのおばあちゃんがやってきました。
「ずいぶんおつかれのようだね。この枕をあげるよ。この子にもあげようかね」
 そう言うと、ピンク色のふかふかの枕を、大人用と子供用、ふたつくれました。
「えっ、もらっていいんですか?でも……」
 おかあさんが、ためらっているうちに、めがねのおばあちゃんはどこかに行ってしまいました。
 おかあさんは、家に帰って、まゆちゃんにお昼ごはんを食べさせると、自分はカップめんを食べて、片づけはじめました。
(やっと終わった! さあ、お昼寝しましょう。まゆちゃん、寝てくれるかな? そうだわ、めがねのおばあちゃんにもらった枕をしてみようっと)
 布団をしいて、枕をおくと、まゆちゃんを寝かせました。
 すると、どうでしょう。
 すーすー
 まゆちゃんが寝はじめました。
(えっ、もう寝たの?)
 おかあさんは、びっくり。
(私もとなりで寝ようかな)
 もらった枕をして、横になったおかあさん。
 ぐーぐー
 あっという間に眠ってしまいました。
 ぐーぐー ぐーぐー
 ぐっすり眠っています。
 ふっと、おかあさんは目がさめました。
「ふわ~、よく寝た!」
 おかあさんは、大きくのびをして、となりで寝ているまゆちゃんをみました。
「かわいい寝顔だわ」
 やさしく微笑んで、つぶやきました。
「めがねのおばあちゃん、ありがとう」
 それから、おかあさんは、まゆちゃんの寝顔をずっとそばでみていました。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...