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ふしぎな目覚まし時計

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 はるくんは、早起きが苦手です。
 布団にもぐって、なかなか起きられないのです。
 おかあさんが、
「はるくん、早く起きなさい!」
と何度もからだをゆするのですが、それでもはるくんは、
「むにゃむにゃ」
と言って寝ているのです。
「いい加減にしなさい!」
 とうとう、おかあさんに布団をはぎとられました。
「うーん」
 やっと、はるくんは起き上がりました。
 でも、起きたのは、7時20分。
 いくら急いでも登校班には間に合いません。
 ひとりで、とぼとぼ歩いて学校に行くはるくん。
 途中で、めがねのおばあちゃんに会いました。
「遅れたのかい?」
「うん、朝、なかなか起きられないんだぁ」
「それなら、この目覚まし時計をあげるよ」
 小さな消しゴムくらいの大きさの目覚まし時計をくれました。
「えっ、いいの? ありがとう」

 次の日の朝。
 はるくんが寝ていると、
「起きて 起きて! くすぐっちゃうよ」
 目覚まし時計から声が聞こえました。
「むにゃむにゃ」
 はるくんが寝ていると、こちょこちょ こちょこちょ。
 消しゴムみたいな目覚まし時計が、はるくんのからだをくすぐってきます。
「ぐふふ。くすぐったーい」
 はるくんは、飛び起きました。
「おはよう!」
 台所のおかあさんに、大きな声で言いました。
「あら、早起きできたね~。すごいじゃない」
 おかあさんにほめられて、
「えっへん」
と得意顔のはるくんでした。
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