上 下
1 / 1

おばあちゃんとさつまいも

しおりを挟む
 森のおうちに、おばあちゃんがひとりで住んでいました。
 今は冬。
 木枯らしが吹いています。
「さむい さむい」
 おばあちゃんは、こたつに入ってじっとしています。
 トントン
 玄関をノックする音がしました。
「おや、だれかしら?」
 おばあちゃんがでてみると、となりのおうちのおじいちゃんが立っていました。
「さつまいもを持って来たんじゃ。食べとくれ」
 さつまいもを3本くれました。
「あら、ありがとう」
 おばあちゃんは、袋を持って、またこたつにすわりました。
 袋から、さつまいもを取り出してみます。
 3本のさつまいもは、それぞれ太さがちがいます。
 まるまる太っているさつまいも。
 ほっそりスリムなさつまいも。
 ながーいさつまいも。
「いろんなさつまいもだわね~」
 おばあちゃんが、手に持ってながめていると、さつまいもたちが話し出しました。
「おばあちゃん、ぼく、ふとっちょだから、細い芋けんぴにしてね」
 まるまる太っているさつまいもくんが言います。
「だったら、わたし、でっかくなりたいから、おっきなスイートポテトにしてね」
 ほっそりスリムなさつまいもちゃんが言うと、
「それなら、ぼくは、長すぎるから、天ぷらにしてね」
 ながーいさつまいもくんが言いました。
 おばあちゃんは、びっくりしたけど、
「よしよし、わかったよ。さっそく料理しようかね」
 おばあちゃんは台所にいくと、せっせと料理し始めました。
 まるまる太っていたさつまいもくんは、ほっそりやせてうれしそう。
 ほそくてスリムなさつまいもちゃんは、ぽっちゃりかわいいスイートポテトに変身して、るんるんです。
 ながーいさつまいもくんは、天ぷらになって、兄妹がふえて大喜び。
「みんなの期待にこたえられて、よかった」
 寒くて凍えていたおばあちゃんも、なんだかうきうきしてきました。
「料理って楽しいわね。元気がでてきたわ」
 台所で、せっせと料理をしています。
「おとなりのおじいちゃんに、ごちそうしようっと」
 おばあちゃんは、はりきっていますよ。
 さつまいもたちも応援しています。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...