ふしぎなエプロン

こぐまじゅんこ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ふしぎなエプロン

しおりを挟む
 今日は、日曜日です。
 ゆうくんのおかあさんは、朝から熱がでて寝込んでいました。
 ゆうくんは、おかあさんと遊園地に行く約束をしていたので、がっかりしています。
 でも、しんどそうに寝ているおかあさんをみると、心配になりました。
 おかあさんは、ごはんも全然食べないのです。
(おかあさんに何か作ってあげたいけど、作り方知らないしなぁ)
 ゆうくんは、しょんぼりしながら庭のお花に水やりをしていました。
 水やりは、ゆうくんの日課なのです。
 すると、どこからか、めがねのおばあちゃんがやってきました。
「お花に水やり、えらいわね~」
「うん」
 元気なく返事をするゆうくん。
「おや、元気ないね。どうしたの?」
「おかあさんが病気で寝込んでるんだ」
「それは大変だね。このエプロンをあげるよ」
「えっ、エプロン?」
 びっくりしている間に、めがねのおばあちゃんは、どこかに行ってしまいました。
 ゆうくんは、台所に行くと、エプロンをしてみました。
(おかゆ 作ってあげたいなぁ)
 心の中でつぶやいたとき、
「おかゆの作り方、教えてあげるよ」
 エプロンから声が聞こえました。
「えっ?」
 驚いているゆうくんにはかまわず、エプロンは話し続けます。
「お鍋に、ごはんと水を入れて」
「このくらい?」
 ゆうくんが、お鍋をみせると、
「そうそう!」
とエプロンが答えます。
「コンロの火をつけて、ぶくぶく泡がでるまで待って」
 ゆうくんは、言われたとおりにします。
「それから、小さい火にして、塩をちょっと入れて」
「こう?」
「いいね~。それから、ことこと炊いたら出来上がりだよ」
 とろっとやわらかいおかゆが、出来上がりました。
 お茶わんに入れて、おかあさんのところに持って行きます。
「あら、おかゆ作ってくれたの?」
 おかあさんは、ゆっくり起き上がると、ひと口食べました。
「おいしい」
 おかあさんは、ぱくぱく食べました。
「なんだか元気がでてきたわ。ゆうくん、ありがとう」
 ゆうくんは、うれしくなりました。
 エプロンに、
「ありがとう」
と言ったけど、エプロンはもうしゃべらなくなっていました。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...